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福島第1原発:4日でトリプル溶解 分析以上に損傷か
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110524k0000e040053000c.html
毎日新聞 2011年5月24日 12時01分
福島第1原発1号機に続き、2、3号機でも燃料の大半が溶融していることを東京電力が24日認めた。ただし、東電は注水停止後に全燃料が露出した、という最も過酷なケースを想定しても、「大部分の燃料は圧力容器内にとどまっており、圧力容器の損傷は限定的」と説明し、1号機に比べ損傷は軽いとの見方を強調。その原因について松本純一・原子力・立地本部長代理は「2、3号機では津波後に非常用の冷却装置(RCIC)が早期に起動し、原子炉に給水できていたことが大きい」と述べた。
だが、2、3号機では、圧力容器や格納容器の圧力がほぼ1気圧になっており、格納容器がある程度健全な1号機より、両容器の密閉性が失われていることが推定される。また、1号機よりもはるかに高濃度の放射性物質を含む汚染水がタービン建屋地下に大量に漏れ出し、現場の復旧作業が困難になっているなど、状況は1号機よりもはるかに深刻だ。こうした点から、東電の分析とは裏腹に、実際には圧力容器と格納容器は大きく損傷している可能性がある。
東電が公表した資料によると、2号機は14日午後、3号機は13日未明に冷却機能が停止し、共に注水を開始するまでの数時間で炉心の温度が2000度以上急上昇した。
吉田正・東京都市大教授は(原子炉工学)は冷却機能が失われた数時間について「この空白期間にかなりの事態が進行している。ターニングポイントだった」と指摘。「今だからこうしたことが分かるが、当時はおそらく把握できていなかったのではないか。その状況下で1分1秒が将来の何カ月にかかわるか、どれだけ意識できたか状況判断と準備の問題が問われている」と話した。
工藤和彦・九州大特任教授(原子炉制御工学)は「今回の解析結果によって、今後の収束作業が変わるとは考えられない。そもそも東電が4月17日に発表した工程表通りに作業が順調に進んでいるとは言えず、100度未満の冷温停止に持っていくために冷却作業を急ぐべきだ。【酒造唯、八田浩輔、足立旬子】
◇
福島第1原発:2、3号機も大半溶融「容器損傷、限定的」
http://mainichi.jp/select/today/news/20110524k0000e040044000c.html
2011年5月24日 11時36分 更新:5月24日 11時50分 毎日新聞
東京電力は24日、東日本大震災に伴う緊急停止後の福島第1原発2、3号機の原子炉の状態を解析した結果を報告書にまとめ公表した。1号機同様、核燃料の大半が溶けて原子炉圧力容器の底に落下する「メルトダウン(炉心溶融)」の状態になったと分析。一方で「圧力容器の損傷は限定的」としており、専門家からは推定が甘いとの批判の声も出ている。
東電は2号機では3月14日午後8時ごろ、3号機では13日午前9時ごろから炉心の損傷が始まったと推定。実際の原子炉内の水位計が不正確な可能性があるため(1)計測値通り水位が維持された場合(2)計測値より水位が下がり、燃料が露出した場合、の2通りを想定し、シミュレーションを実施した。
その結果、2、3号機とも(1)の場合は燃料が損傷して半分程度が落下するが、通常の位置にとどまる(2)の場合は、大部分の燃料が圧力容器の底に落下する、と結論づけた。一方で、現在の圧力容器の温度などから「損傷は限定的で、冷却を続ければ大規模な放射性物質放出につながるような事態の進展はないと考えられる」との見方を示した。
会見した松本純一・東電原子力・立地本部長代理は「断定的には言えないが、(計測値よりも実際の水位が大幅に低かった)1号機の状況を踏まえると、(現実の状況は(2)のような)計測値よりも水位が低いケースに近いと思われる」と話した。
2、3号機の水位については、非常時に原子炉を冷却する原子炉隔離時冷却系(RCIC)などが停止し、水位がいったん、燃料の下部まで低下。その後の注水作業により燃料頂部から3メートル程度低い位置で推移しているとみられる。
報告書は経済産業省原子力安全・保安院の指示を受け作成、23日夜に提出した。1号機の非常用冷却装置が津波到達前に手動で停止された点については「装置作動時に温度が急激に低下しており、手順書に従った妥当な操作だった」と報告。地震の揺れによる機器の損傷については「主要な設備では起きなかった」との従来の見解を踏襲した。
各号機で高濃度の汚染水が見つかっていることから、格納容器が損傷している可能性もあるが、東電は水漏れの原因を「(炉が冷却できなくなって)温度が設計値以上に上昇し、接続部のパッキンが損傷した可能性がある」と説明、大規模な損傷については否定した。【河内敏康、平野光芳、岡田英】
◆東京電力が経済産業省原子力安全・保安院に提出した報告書の骨子
・地震発生初期の設備状況や運転操作の情報を使い、事故解析プログラムで1〜3号機の炉心の状態を推定した
・1号機は津波到達の約4時間後に炉心損傷が始まり、原子炉圧力容器の破損に至る
・水位計のデータが正しいとすると、2号機は3月14日午後8時ごろ、3号機は同13日午前9時ごろに炉心損傷が始まり、圧力容器損傷には至らない
・実際の水位がさらに低い場合、2、3号機は圧力容器損傷に至る
・1〜3号機では相当量の燃料の溶融が進み、炉心の形状・位置は大幅に変化
・現在の圧力容器底部の実測温度は100〜170度で、安定的に冷却されている。注水継続により、今後大規模な放射性物質の放出はないと考えられる
・ほとんどの重要設備は津波の到達までは健全に機能した
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