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本当にお茶の放射性物質の検査拒否というニュースに驚いていたら、同じことを痛烈に非難している武田先生の意見が出てきたので転載する。この国の政府だけがひどいと思っていたら、農業関係者自体の方に何の安全意識も道徳観もない自分勝手な考えしかない事がよく分かる。誰が風評被害なんて信じるのか、絶対に汚染野菜や魚介類を買ってはならない、実害なのだ。
科学者の日記110520 哀しい茶葉の検査拒否
今日は哀しいニュースが目につきました。
「厚生労働省が、生茶葉を乾燥させた「荒茶」の放射能検査を東日本の14都県に求めた問題で、神奈川、埼玉、栃木の3県は19日までに、検査をしない方針を決めた。
静岡県の川勝平太知事も18日、検査要請に応じないと表明しており、産地自治体の反発が広がっている。」
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お茶の葉っぱに放射性セシウムが付着していた問題は、大きな波紋を投げかけています。
お茶を生産している側の論理は、
「消費者が最終的に飲む時に安全ならばいいのであり、途中の段階で検査するのは嫌だ」
ということであります。
つまり、現在の東日本の放射線の汚染状況から言えば、かなり広い範囲でお茶の葉っぱにセシウムが検出される可能性があります。
従って、一度、セシウムが検出されると、「汚染されているというレッテル」が貼られるので検査をしないというのが生産者側の言い分のようです。
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今回の福島原発の件では、この例でも判るように、現在の日本社会の大人の論理というのがいろいろな面で出てきたと思います。
類似の話では、事故直後に茨城県の野菜が放射性物質で汚れたので、それに対して茨城県知事が農林水産省に出かけていって
「野菜の規制値を緩めろ1」
という要求をしたことです。
わたくしはこれにはびっくりしました。
茨城県には野菜の生産者だけがいて、それを食べる子供たちはいないのかと思いました。
野菜をなぜ作るかというと、野菜を食べる人がいるからです。従って生産者は、できるだけ安全な野菜を子供たち(もちろん大人も)に提供するというのが役割のはずです。
ところが、福島原発が爆発して、その責任は東京電力にあるのに、知事はそちらに行かないで、多くの放射性物質を含んだものを東京電力の代わりに子供たちに食べさせようというのですから。論理のすりかえという点ではかなり激しいものです。
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次に広がったのが、汚染された野菜を「地産地消」という名目のもとで、これもやはり関東や福島の子供たちに食べさせようとしたことです。
特に、汚染された野菜を給食に使ったり、スーパーが地産地消の野菜しか仕入れないというようなことも行われました。
これも東電の責任を「被爆という形で何も責任がない人たちに押しつける」という生産者の非常に自分勝手な判断のように思いました。
大人は野菜を選べますが、子供達は強制的です.なんと可哀想なことをするのでしょうか?
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わたくしは今まで農業の人たちは、「素朴なところはあるけれども、日本人としての誇りや、日本を大切にする心を持っておられる」と信じていました。
農業は、たとえそれが自分の所有する土地であっても、日本の大地をお借りしているのですから、日本に対する愛着が他の職業よりも強いと思っていたのです。
でも、今回のこの一連のことでわたくしはその考えを修正せざるを得ません.
お茶の生産者の考え方がわからないではありませんが、お茶を安心して飲みたいという多くの人たちの願いや、安全なお茶を子供に飲ませたいというお母さんの思いは全く考慮に入っていないからです。
お茶が売れなくなったら困る、放射性物質が検出されたらお茶が売れなくなるというような考えだけで、お茶を生産されたらわたくしはそんな食材は買いません。
その放射性物質の量がどのくらいということには関係ありません。
人間は「信頼性、誠実さ」です。だから、飲む人の心が判らないで生産する人の食材は口に入れたくないのです.
むしろ、お茶の業界は1度でもセシウムが検出されたならば、より積極的に「自主的にセシウムを検査する」という動きにでて、お茶の愛好者に安心して飲んでもらうのが筋です.
このような動きが続いたら多くの人は完全に日本のお茶から離れてしまうでしょう。お茶は美味しいものですが、私はそれより魂を大切にして、水を飲みます.
それはお茶の生産者にとっても長い間大きな打撃になります。
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食品は最も人間にとって重要なもので、福島原発のような事件が起こった時に、食料を生産する人それを流通する人が極めて強い信念を持って日本人を放射線の被曝から守って欲しいものです。
わたくしたちは、今度のことでお茶の葉を買うこともできなくなりましたし、また、お茶のペットボトルもできるだけやめて外国産の紅茶等を買わざるを得ません.
農業の生産者は、こんな信念しか無かったのですか?
(平成23年5月21日 午前11時 執筆)
武田邦彦
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