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ずっと気になっていて、会見で何度か聞いたこともあったのだけれど、いつも要領を得ない回答ばかりだったのが、アレバの水処理システムの中身だ。アレバのシステムは、基本的にセシウムを除去するためのもので、その他の核種についてどのような処理になるのかがわかっていなかった。
自分で最初に水処理システムについて聞いたのがいつだったのか失念したが、5月1日の会見で質問したことは確認できた。ヨウ素のような希ガスについては、そのまま放出するのではないかという話もあったので、確認の意味で聞いたら、やっぱりそのまま出すという回答だった。もっとも、現状では1号機と3号機の原子炉建屋の屋根が吹き飛んでいるので、東電としては、それほど大きな変化はないと考えているようだった。
もちろん、環境への放出低減という意味では問題なのだが、昨日(5月19日)の会見で明らかになったことは、それよりもずっと大きな問題だった。驚いたことに、東電はアレバの水処理システムの詳細については「契約上の問題で、非公開」だというのだ。この非常時に、またぞろ契約の問題が出てくるとは、この事故処理はどうなってるんだろう?
さらに驚いたのは、処理システムの詳細について細野豪志首相補佐官が認識していなかったことだ。付け加えれば、保安院も、よくわかっていない様子だったのには、開いた口がふさがらなかった。
以下、5月19日の会見での回答部分のみ要約してみる。
東京電力・松本氏
「(アレバの水処理システムは)セシウムの除去が主な目的。その他のガンマ、金属(元素の核種=ストロンチウムなど)の除去もできると聞いている。ただ、アレバとの契約で、これ以上、どういった核種をどれくらい取れるかは非公開。東電とアレバ社との契約の中でそういうことになっているそうです」
原子力安全・保安院・西山氏
「水処理システムつくるにあたっては、内容について安全性を確認する必要あるので報告必要。核種も検討の対象になる。契約上の公開との関係については整理してみたい」
細野氏
「私も初めて聞いた。一般的な関心はヨウ素とセシウム。これが下がればと、そのデータにばかり目が行っていたが、他にもさまざまな核種ある。アレバ社がそのデータがないといっているのか、わかっているのに出せないのか、いま初めて聞いたので、確認する。結果はとうぜん公表すべきと思う。アレバ社が持っていないとすれば、やってみて、とってみて、公表することを要請していきたい」
東電は、処理対象の中にストロンチウムが入っていることは認めているが、プルトニウムやウラニウムなどについては明らかにしていない。こうしたことについて、統合本部を代表している細野氏や、規制機関である保安院が状況を認識していないというのは、どうも理解ができない。
統合本部も保安院も、5月17日に公表された工程表の作成に主要な役割を果たしているはずなのに肝心の中身を知らなかったというのでは、いったい工程表は何を根拠にしていたのだろう? やはり、工程表は「ウィッシュリスト」なのだろうか?
核種の詳細情報がないということは、汚染水を処理した後に発生する放射性物質除去フィルターや、処理後に放射能濃度が落ちているとはいえ相変わらず通常レベルよりはかなり高濃度の放射性廃棄物である汚染水の処理方法が、確定しないということになる。
処理後の汚染水については、細野氏が会見で指摘したように、「(処理を)やってみた後で分析する」ということでもいいかもしれないが、後手に回っている印象は否めない。放射性物質を吸着したフィルターの処分は、いったい誰が、どこでやるのだろう? そして、事故収束までに処分しなければいけない汚染物質には何が、どのくらい含まれているだろう? こうしたことについて、工程表ではまったく考慮していないことになる。
疑問を感じることはもうひとつある。今回、1号機では冠水を断念して、地下に溜まっている汚染水をアレバのシステムで浄化し、炉心に戻すとしている。けれども浄化後の汚染水の成分がわからないまま、循環していていいものだろうか。循環すればするほど、水処理システムで対象にしていない汚染物質は濃度を増していく。
保安院も細野氏も、今のままでいいとは思っていないようだが、さて、詳細情報は公開されるのだろうか。アレバのシステムは、最終的な処理コストが十数兆円にもなるともいわれており、超高額なシステムの中身が公開されないというのは納得しがたいものがあるだけでなく、ほんとうに事故処理ができているのかどうかという疑念もふくらむ。
こうしたことを避けるためにも、早急に、東電以外の第三者が事故対策をチェックできる体制を作るべきだろう。原子力発電所は超がつく複雑なシステムになっている。素人の目を誤魔化すのは簡単だ。それをチェックするには、たとえば元プラント経験者などの経験者を入れることも必要なように思えるが、どうだろうか。
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