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今朝の新聞報道であった1号機非常用復水器停止問題の説明内容には、はらわたが煮えくりかえりそうだ。
3.11以降何度もそんな気分にさせられたが、1〜3号機までがメルトダウンしたようだと認めた現時点でも、事故原因を“想定外の津波”になんとしても帰したいのか、とんでもなくデタラメな説明を平気で行っている。
そして、それに対応した枝野官房長官の説明は「東電との掛け合い漫才」か「無能の証明」の類である。
まず、東京新聞と朝日新聞から東電の説明内容を引用する。
「福島第一原発事故で東京電力は十六日、非常時に原子炉を冷やす1号機の非常用復水器が、本震直後から約三時間にわたり止まっていたとの調査結果を公表した。東電はマニュアルに従って止めた可能性を強調しているが、津波ではなく、地震の衝撃による不具合だった可能性がある」(東京新聞)
「東京電力が福島第一原発1号機に津波が来る前、冷却水を原子炉内に注入する「非常用復水器」を手動で止めていた可能性を示すデータを公表した」(朝日新聞)
おいおい、である。
このような説明がウソでないというのなら、福島第一の1号機では、もっと深刻で重大な事故が、津波来襲より前地震発生時に起きていたことになる。
1号機で問題になっている非常用復水器は、以前も書いたが、相対的に新しい2号機&3号機で今回も駆動したとされる隔離時冷却系がない代わりに、全電源喪失時でもバッテリーで駆動する最後の砦とも言える冷却機能である。
非常用復水器が動き出すのは、最初ではなく、最後の最後なのである。
津波の来襲を受ける前なら、全電源喪失ではなく外部電源喪失のレベルだから、予備電源である非常用ディーゼル発電が駆動し、緊急時炉心冷却系(ECCS:除く原子炉隔離時冷却系及び非常用復水器)が動くはずである。
全電源喪失時の冷却系は1号機:非常用復水器に対し3号機:隔離時冷却系と異なるが、交流電源で動くECCSは要の安全システムとして共通である。
だから、東電が「津波の前に本震直後から約三時間にわたり止まっていた」とか「福島第一原発1号機に津波が来る前、冷却水を原子炉内に注入する「非常用復水器」を手動で止めていた可能性を示すデータ」と説明したというのなら、
『“福島第一1号機では地震により緊急時炉心冷却系の機能が失われました。”そのため、最後の砦である非常用復水器が使われることになりましたが、操作員の意図的な操作なのか、とにかくよくわからないまま止まってしまいました』
と言っているのと同じなのだ。
これをズバリ言えば、1号機では“原発の安全システムが崩壊した”という話なのだ。
仮にほんとうにあったことで、「非常用復水器」に触れるのなら、そう説明しなければならないのだ。
それ抜きに、津波前の「非常用復水器停止」をあれこれ説明するのは重大な隠蔽行為なのだ。
今日のいくつかのテレビにも原発の専門家と称する人たちが出演していたが、「メルトダウンは専門家は知っていた」と東大の“口ひげ”岡本さんと同じようなことを揃って言っていた。
今回のこの問題も、「東電が言っているのがおかしいことは専門家だから知っていた」と言うのだろう。
そのような情報不毛状況のなか、「東電はマニュアルに従って止めた可能性を強調しているが、津波ではなく、地震の衝撃による不具合だった可能性がある」と書いた東京新聞には敬意を表する。
「非常用復水器」が津波前に止まった(止められた)ことよりも、緊急時炉心冷却系(ECCS)が動かなかったことのほうがずっと重大な問題なのに、専門家が誰も問題視しない(現在のところ)のは由々しきことである。
そして、枝野官房長官は今朝(17日午前)の記者会見でこの問題に触れ、
「【冷却装置の手動停止】
――福島第一原発事故をめぐり、津波襲来前に冷却装置を手動停止していたことが分かったが、当初官邸はどこまで把握していのか。
「私は今日の報道で初めて知った。保安院等で詳細な分析と報告をするように求めた」
――手動停止の判断の是非は。
「まず、その事実関係と経緯について詳細に東京電力に報告を求め、それを踏まえて評価、判断する必要があろう。報告がなされたら報告に先立ってかも知れないが、全面的にその内容については公開するよう求めたい」」
こんな悠長な受け答えをしているのは、わかっていながら東電のサポートをしているのか、あれだけ原発問題でコミットメントをし続けていながらまったく原発のことを知らないことを満天下にさらしているのかのいずれかである。
私は、枝野長官がどちらなのかは不明だが、東電は、地震そのもので1号機が重大な損傷を被ったことを隠蔽したいのではないかと推測する。
「非常用復水器」は、1号機で地震によって損傷した可能性が大と以前にも書いた再循環パイプにつながって圧力容器の冷却を行う仕組みになっている。
だから、再循環パイプが破断などしていると「非常用復水器」は動いても実効性のないものになる。
原子炉圧力容器から蒸気を「非常用復水器」で冷やして水にしてまた圧力容器に戻そうとしても、つながっている再循環パイプの下の方で破断があると水は格納容器にこぼれ落ちてしまうからである。
1号機でこの間説明されているようなペースでメルトダウンが起きたのなら、このような可能性がけっこう高いと判断している。
「非常用復水器」に限らず、ECCS全体が、配管などが地震で損傷してしまえば冷たい水が原子炉に届かないのだから、電源が生きていても有効に炉心を冷却することができなくなる。
東電(及び政府)は、
● 震源はM9でも福島第一の震度は6でしかないのに、配管が損傷して冷却機能を失ったというのでは、柏崎・刈羽をはじめ全国の原発に対する信頼性が一気に揺らぐことになる、それがイヤ。
●1号機が稼働開始から40年を経過しているので、老朽化問題が他の原発でも取りざたされるのがイヤ。
といったふざけた理由でこのような子供だましの説明をしたのではないかと推測している。
勝間さんはともかく、石川さんをはじめとする原発推進派の多くの技術者や評論家が「日本の原発はあれだけの地震でも立派に耐えて、きちんと自動停止した。ああなったのは想定外の津波のせいだ」と口々に言っていたことを思い起こせば、このようなウソが出てくるのも自然に思える。
最後に、ほんとうに、ふざけるな!ナメルな!
強制力を行使してでも、東京電力の一次データを根こそぎ手に入れ公表していただきたい。
これでもなお、東電と政府に事故の終息を委ねなければならないと思うとゲンナリする。
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