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小佐古参与は12年間ICRP委員をしていたと書いてある。ICRP勧告の意味を良く知った上で解釈して提言をし、勝手な官僚的解釈とぶつかったと思われる。
以下はICRP2007勧告から
(1)被ばくの分類
職業被ばく、医療被ばく、公衆被ばくの3つ
公衆被曝に付いて考えると
(2)被ばく状況の種類
・計画被ばく状況
線源の意図的な導入、その運用を伴う状況であ り、通常の被ばくと潜在被ばくの両方を生じされ
ることがある=線量限度と線量拘束値の適用
・緊急時被ばく状況
計画された状況において、悪意のある行動及び予 測しない状況から発生する
好ましくない結果を 回避又は減少するための緊急の対策を必要とす る状況=参考レベル
・現存被ばく状況
被ばく管理に関する決定が必要となる時に、既に存在する被ばく状況であり、
事故後に長期間受ける被ばくも含む=参考レベル
(3)拘束値及び参考レベルは 3 つのバンドで示される
・1mSv 以下
計画被ばく状況に適用され、被ばくした個人に直接 的な利益はないが、社会にとって
利益があるかもしれない状況(例:計画被ばく状況の公衆被ばく)
・1~20mSv 以下
個人が直接、利益を受ける状況に適用(例:計画被 ばく状況の職業被ばく、
異常に高い自然バックグラ ウンド放射線及び事故後の復旧段階の被ばくを含 む)
・20mSv~100mSv 以下
被ばく低減に係る対策が崩壊している状況に適用 (例:緊急事態における被ばく低減のための対策)
(参考レベル)
参考レベルは、緊急時被ばく状況及び現存の制御可能な被ばく状況に適用され、
そのレベルより 上では、最適化すべきと判断されるような線量及び リスクのレベルを示す
・その値は、被ばく状況をとりまく事情に依存
(線量拘束値)
・線量拘束値は、計画被ばく状況において 1 つの線源から受ける個人被ばく線量に対する予測的
でかつ線源関連の制限であり、その線源に対する防 護の最適化における予測線量の上限値
・線量拘束値は、線量限度以下の値
線量拘束値は、規制機関が定めた規制上の限度 として用いない
(線量限度)
計画被ばく状況での公衆被ばくの限度 実効線量 年間1mSv
(特別な状況のみ年間1mSvを超えることも許容されるが、5年間の平均で1mSv
政府の20mSvが現存被曝レベルからきていて、「1~20mSv 以下」を適用していると思っていたが、なんと緊急時被ばく状況 とみなし「20mSv~100mSv 以下」を適用した事になる。つまり、「被ばく低減に係る対策が崩壊している状況」の措置をとっているのである。その状況で子供たちを学校に通わせているのである。いつ何時原発が爆発するか判らないような、原発を制御できる手だてがたっていない状況といっているのである。一方で原発を制御する工程表を出している。
20mSvという線引きは、ICRPが全体の致死リスク係数(1Sv 当たり約 5%)からくると推察される。20mSvでは全体の致死リスクは1000人に1人である。決して少なくはないがぎりぎり低リスクと見なせる値である。それを超えるとハイリスクとなる。しかし、政府は「20mSv~100mSv 以下をとっているので、ハイリスクを良しとしているのである。また、ICRPは急時被ばく状況でも、ICRPは「1~20mSv 以下」をとっても良いとしている。参考レベルというのは状況が改善すれば次の段階に行きなさいというときの参考にするための上限だけが決められているレベルと見なしていいはずである。目的を考えればそれが当たり前。
子供の被曝について
(1Sv 当たり約 5%)というのは平均であって、
10歳以下は3倍
10−20歳は2倍
20−30歳は1.5倍
30−50歳は0.5倍
50−80歳は0.3倍
80歳以上は無視できるリスク
である。
子供の事を考えると、仮に平均20mSvを認めたとしても6mSv以下にしないといけない。学校では荘あるべきである。
小佐古参与辞任の真相 教え子・空本議員語る 提言聞かぬ官邸、徒労感
2011年5月15日(日)08:00
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20110515102.html
(産経新聞)
福島第1原子力発電所事故対応のアドバイザーだった小佐古敏荘(こさこ・としそう)東大大学院教授(放射線安全学)はなぜ内閣官房参与を辞任したのか。小佐古氏の教え子で、自身も原子力の専門家である民主党の空本誠喜(せいき)衆院議員が真相を語った。(小田博士)
小佐古教授が参与を辞めた理由は、被災者のための提言を官邸が採用してくれないことによる「徒労感」だった。3月15日夕、菅直人首相から電話で「あなたは原子力をやってきたのだろう。官邸をサポートしてほしい」との依頼が来た。ちょうど民主党の先輩議員や私は、教授と一緒に「陰の助言チーム」を作ろうとしていたので教授を参与に迎えてもらった。
教授は、国際放射線防護委員会(ICRP)の委員を12年間務め、日本の原子力安全委員会の専門委員でもあった。放射線防護を熟知している。
◆悲劇を招いた公表遅れ
私と教授は、原爆が投下された広島出身ということもあり、「子供や妊婦に無用な被曝(ひばく)をさせてはいけない」「数値と対策をパッケージで示す」という思いで、いろいろ提言した。
しかし、官邸は動かない。原子力安全委員会も機能しなかった。とにかく法令通りに動いてくれない。3月の時点で「辞めようか」と言い合ったことさえあった。
教授が特に問題にしていたのは2点あった。
1つは、放射能拡散を予測する緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)の数値を政府がなかなか公表しなかったことだ。避難区域の設定にはSPEEDIが有効で、法令集にも活用しろとあった。SPEEDIの結果を早く公表するよう求めたのに、やらなかった。これが避難指示が遅れた「飯舘(いいたて)村の悲劇」につながった。
もう1つは、文部科学省が定めた小学校などの校庭利用の「20ミリシーベルト基準」が高すぎることだ。
ICRPは事故発生などの緊急時は一般人の年間被曝限度量を20〜100ミリシーベルトとしている。政府はこの最も厳しい値にしたという。しかし、子供たちが普通に登校している状態を「緊急時」の基準で扱っていいものか。
しかもICRPは事態が収束に向かう段階では「年間1〜20ミリシーベルトの下方部分から選定すべきだ」とも指摘している。
官邸側はこれらの提言を理解してくれなかったばかりか、「小佐古教授は飲料水に含まれる放射性ヨウ素の摂取基準はもっと高くしてもよいと言った」という人まで出てきた。教授が、事故発生からの数週間は1キログラム当たり3千ベクレル(政府基準は300ベクレル)でもよいと言ったのは、国際基準に沿ったものだ。
しかも教授は、そこから徐々に下げていかなければならないとも言っていた。それなのに前段の言葉だけをかいつまんで話されては誤解を招く。
◆無用の被曝「犯罪行為」
浜岡原発の停止は菅首相の英断だが、正しい政治主導で進めてほしかった。
日本は法治国家だ。本来なら原子力委員会、原子力安全委員会などの助言を得て対策案をまとめ、業界団体の電気事業連合会とも打ち合わせるのが筋だ。しかも、停止要請だと、停止した責任は電力会社が負うことになる。首相による指示、行政命令で行い、国が責任を負うべきだ。法的根拠がなければ法令を作ればいい。
今回の原発事故は、天災と人災の両面がある。人災としては、避難指示が足りず住民に無用の被曝をさせてしまったことが挙げられる。官邸の犯罪行為とも言われかねない。事故の検証機関は内閣ではなく、政党の枠を超えて国会が対応すべきではないか。
【プロフィル】空本誠喜
そらもと・せいき 昭和39年、広島県生まれ。民主党衆院議員(当選1回)。東大院修了。工学博士(原子力工学)。東芝で原発プラントの設計などを担当。平成21年、広島4区で初当選。
【用語解説】小佐古教授の参与辞任
小佐古敏荘東大大学院教授(放射線安全学)は3月16日、原発事故対応のため内閣官房参与に就任。政府が福島県内の学校、幼稚園、保育園の屋外活動を制限する基準を「年間積算放射線量20ミリシーベルト」と決めたのは高すぎるとして首相官邸に見直しを求めたが入れられず、4月29日に抗議の辞任会見をした。
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