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圧力容器の底から見た写真(挿入棒が雑然としている---CNICの動画から)
東電は以前一号機の燃料損傷率が55%としていたが、 5月12日水位計の調整後、燃料棒は全部露出しておりメルトダウンの可能性がある事を認めた。本来メルトダウンの定義はあいまいな点が多いが、燃料が溶けだして圧力容器の底部に塊になっているとすれば、次の段階で圧力容器の底が抜け格納容器の底部に落下する恐れがあると云う事だろう。
原子炉の構造はあまりにも複雑なため、わかりやすくポンチ絵で説明することが多い。このためメルトダウンの構造を上記のように単純化してみる傾向が強い。
この誤解を解くため原子炉の実際の構造を写真で見ていただきたい。上の写真は動画から切り取ったため鮮明ではないが、圧力容器の底から寫したもので、16cm厚鋼鉄製で堅牢と云われる圧力容器には制御棒が97本のほか中性子観測用センサーケーブル30数本の貫通穴が開いておりそのスリーブは何と溶接されているのだ。
皆さんが良く見るポンチ絵は制御棒の動作原理をモデルで説明するためのものだ。安全神話はこんなところからもその欺瞞性が見えてくる。ポンチ絵からは原子炉の危険性は見えてこない。
上の写真のように制御棒を下から実写した状態を見ると、雑然さにあ然とし不安を感じざるを得ない。
圧力容器の底部だけでもこれが地震に襲われたらどうなるかと恐ろしくなる。そして少なくとも安全神話は吹き飛んでしまう。
不安は底部だけではない側面の多数の配管(一部吊り構造)の貫通部、測定用ケーブルの貫通部(エポキシ樹脂)、上部の蓋のガスケット(シリコンゴム)等々、およそ16cmの鋼鉄製に相応しくないアンバランスが露呈するのだ。これを見れば東電が云う「塊になって水没している」と云うような単純なものではないことが分かる。
おそらく溶解していることは間違いないが、途中で引っかかりながらポロポロ落ちていると見た方が適切だ。
従って危機は去ったと見るのはまだ早い。水蒸気爆発の危険性はまだ残されているのだ。
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