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残された時間は少ない! 最悪の事態 台風がフクシマを直撃する前に 注水ポンプが吹き飛び、セシウム砂が舞い散る {経済の死角 現代ビジネス [講談社]}
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2877
雨が降れば放射能汚染は拡大
「雨が降れば放射性物質が流されて、放射線量が下がるという専門家もいますが、これは完全に誤りです。放射線量は雨が降るほど加速度的に高まっていく。私はカドミウムが原因で起きた『イタイイタイ病』の健康調査に長年関わっていますが、様々な汚染物質の実験で、水量が増えるほど、土壌の放射線量が高くなることは間違いありません。
土壌だけでなく、灌漑用水などにも放射性物質が降り注ぎ、海に流れ込むのはもちろん、農地にも入り込む。雨が降り続けば汚染地域はいまよりも広がってしまうのです」
日本環境学会元会長・畑明郎氏はこう語る。
東京電力は福島第一原発について、放射性物質漏出を抑える冷温停止状態に持ち込むまで6ヵ月から9ヵ月という工程表を発表した。しかし、疲労と放射能汚染の恐怖の中で作業に当たっている作業員たちでさえ、工程表通りに進むと考えている者は少ない。
彼らが闘っているのは、放射能という目に見えない敵だけではない。現在、放射能に汚染された水を掻き出す作業が続けられているが、6号機では地下から溢れ出したと思われる水が建屋内に広がっている。今後、梅雨の季節が来れば、雨水と汚染水が混じり合い、作業は一層の困難を極める。
「雨が降れば防護服の上にビニールのカッパを着て作業しなければならない。ただでさえ、動きにくいうえに蒸し暑く、作業効率が悪くなるのは間違いない」(東電協力会社関係者)
冒頭で畑氏が言ったように、雨によって放射能汚染が拡大することは、各地のモニタリングの結果からも明らかである。
たとえば、東京都内で雨が降った4月18日~19日にかけてのセシウム137の検出量は1立方メートルあたり0・011ベクレル。19日~20日にかけては0・0002に下がっているから、いかに雨の影響が大きいかわかる。また、雨は局地的に降るケースも多く、近隣のモニタリングポストの数値が低くても安心はできない。
広島大学原爆放射線医科学研究所の星正治教授が語る。
「米ソが核実験を頻繁に行っていた冷戦期に、雨樋の下の土を調べると、他の場所よりもセシウムの沈着量が高かった。広島の原爆でも、雨量の多い地域は同様の傾向があります。また、雨というのは降り方が均一ではないので、チェルノブイリでも、ある家はセシウムによる放射線量が高いのに、その隣の家は通常レベルということがありました」
南向きの風が吹く
東電の工程表によれば、最短の6ヵ月で放射能漏れが収まったとしても、季節はすでに秋に変わっている。そこで気になるのが台風による影響だ。
台風が福島第一原発を襲った場合、どのような事態が想定されるのか。梅雨の雨でも放射性物質の拡散は確実なのに、強風を伴う台風では、その拡散範囲が広がるのはもちろん、原発本体にもダメージを与える可能性がある。
すでに1号機、3号機、4号機は建屋が爆発により破壊されており、巨大構造物である原子炉は強風の影響をモロに受ける。また、地震と津波、その後の余震により地盤はかなり緩んでいるが、台風によってもたらされる大雨が、更なる悪影響を与えてしまう。
「地盤というのは堅さが一定ではありません。地盤の柔らかい部分が雨の影響などで沈むと、ひずみができます。そういう場合にもっとも影響を受けるのは『管路』といって、電線ケーブルや水路の鉄管関係などです。また、正確な情報はわかりませんが、建屋に限らず配管や格納容器にもクラック(裂け目)が入っているようですから、降り注いだ雨が汚染されて、漏れ出ていくことも考えなければなりません。しかも、これが地下に漏出していくとなると、特に海側への漏出を防ぐのは難しいのではないでしょうか」(土木研究センター技術研究所)
原発が多くの配管で囲まれていることはすでに周知の通りだろう。現在、建屋の外部に取り付けた注水ポンプからはこうした配管を通して冷却水を送り込んでいるが、これらが爆発の影響で破損しているのは、汚染水が漏れだしていることからも明らかだ。
さらに、強風により注水ポンプが吹き飛ばされるような事態になれば、冷却そのものが不可能になり、東電の言う「冷却安定」どころか、再び炉内の温度が上昇し、再臨界という最悪のシナリオも現実味を帯びてくる。もちろん、これまでハイパーレスキュー隊や自衛隊の協力を得て、ひたすら注水を続けてきた苦労も無駄になってしまう。
原発そのものだけでなく、周囲への放射能汚染の拡大も、台風と梅雨の雨では比較にならない。
たとえば、福島第一原発から北西に約40km離れた飯舘村では、4月16日までの積算放射線量が1万マイクロシーベルトを超えた。土壌汚染もチェルノブイリ事故の際の強制移住基準値を上回った。京都大学原子炉実験所の今中哲二助教を代表とする「飯舘村周辺放射能汚染調査チーム」の調査によれば、これは3月15日に2号機で水素爆発が起きた際に吐き出された放射性物質が、北西方向の風に乗り、雨や雪によって同地に沈着したのが原因だという。
通常時の風でも、場所によってはこれほど高濃度に汚染されてしまうのである。しかもセシウム137は、一度地面に付着すると、地表から5pくらいのところに留まり、放射線を発し続ける。半減期は30年と言われるが、前出の星教授によれば、ソ連の核実験場などでは実験から50年近く経った現在でも、地表からセシウムが検出され続けるというから、一度汚染されたら土壌を丸ごと入れ替えでもしない限り、放射性物質はなくならない。
ここで、福島県の地理的条件について、簡単に説明しておく。山や谷がどこにあるかによって、台風の風向きは大きな影響を受けるからだ。東西に長い福島県は西に越後山脈、中央に奥羽山脈、東に阿武隈高地を抱える。そのため、風が東西に吹くことはほとんどなく、山脈や高地に沿うように南北に吹き抜けていく。
気象庁予報部太平洋台風センター元所長で、気象予報士の大西晴夫氏が語る。
「今年の台風がいつ、どれくらい来るかという予報は気象庁でも難しく、まだ何とも言えません。ただ、過去のパターンで言うと、福島県に台風が接近する場合は、太平洋沿岸を北上していくケースが多い。山の影響もあり、風向きとしてはまず北向きの風が吹き、次第に北西、そして最後に南向きの風になって、北上していく」
福島第一原発は、まさに太平洋沿岸に建っている。その半径20km圏内では、道路の補修すらできていない。作業員たちの拠点の一つである施設「Jヴィレッジ」から原発に向かうにも、最短距離の国道は地震で寸断されており、迂回路を通らざるを得ないほどだ。海沿いの地域では瓦礫が散乱し、船や車が無惨な姿をさらしているかと思えば、その脇にランドセルが落ちていたりする。土や砂はもちろん、これらにもすべて、放射性物質が付着している。
いつ台風が来るか
福島第一原発4号機の設計に関わった元原子炉設計技師の田中三彦氏が言う。
「設計の段階では台風については考慮に入れていませんでした。建屋などは重金属で作られているので、そう簡単に吹き飛ばされることはないでしょうが、福島の地形を考えると、そこに沈着した放射性物質は、台風の風でかなりの距離、飛ばされると思われます」
注意すべきは、台風は北上するが、影響を受けるのは福島以北の地域だけではないということだ。台風の目が過ぎると、これまでとは逆方向の風が吹く。戻り風や残り風と呼ばれるこの風で、放射性物質は福島以南の地域である関東地方にも拡散してしまうのである。
福島県は過去にも大きな台風被害を受けてきた。たとえば、'86年8月の台風10号では、河川が氾濫し、1万4193戸に床上浸水などの被害が出た(死者3名)。'89年8月の台風13号でも、死者12名を出している。6月から台風に見舞われた年もあり、残された時間は少ない。
台風による汚染拡大を防ぐ手立てはあるのか。関係各所に問い合わせたが、その答えは、はなはだ頼りないものだった。
「このまま工程通りにいけば、台風が来る頃には炉も安定しているはずです」(原子力安全委員会広報担当)
原子力安全・保安院や首相官邸の災害対策本部もほぼ同様の回答で、具体的な対策はまったく語られなかった。台風は毎年、必ずやってくる。「想定外」という言葉は通用しない。
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