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5月10日 私もシニア決死隊の一人です 小出裕章
2011年5月10日
http://hiroakikoide.wordpress.com/
2011年5月10日(火)午後、ジャーナリストの岩上安身氏が京大原子炉実験所にて小出裕章氏にインタビューし、その模様が生中継されました。中継が途切れがちだったため不完全ですが、取り急ぎお知らせします。
動画
※ いまのところ途切れたものだけが公開されています。後日、完全版が公開された場合は差し替えます。
http://www.ustream.tv/recorded/14602600
http://www.ustream.tv/recorded/14602854
http://www.ustream.tv/recorded/14603074
要約
※ 生中継中に何度か映像と音声が途切れたため、その部分を除いての要約です。(全体録画が公開された場合、不完全部分を補います。誤字脱字等ご容赦ください)
・(4月1日、4月10日に話を伺ったが、その時の内容が現実になってきた。東電、政府は認めていなかったことを追認する結果に。たとえば圧力容器の底から水が漏れていること。更に漏れることを前提として格納容器と一体化して冷やすということを先生は言っていた。水棺がそのことかと思っていたが、先生は水棺はダメだと言い続けている。一体化して冷やすことと水棺化の関係は?)圧力容器は厚さ16cmの圧力鍋。それに穴があいていることは確実。水をいくら入れても燃料棒が露出していることは東電も認めている。私は圧力容器で破れている場所は再循環系のパイプだと思う。その根拠は、露出している燃料棒の高さのデータが正しければ、炉心の水位が変動していないということ。注水の増減に関係なく燃料棒露出の高さが一定だということは、その高さのどこかから水が漏れていると推測する。いずれにしても穴が開いているのは確か。だから、正常な循環冷却はできないということ。そのため、圧力容器と格納容器を一体化して循環させて熱を取り除きながら冷却するという仕組みを提案した。
・(格納容器にたまった水をどのように循環させるのか?)既存の配管はかなりある。残留物除去系、崩壊熱除去系という系があり、格納容器から汲み上げる系もある。が、その途中で冷やす仕組みがないため、それを加える必要がある。いまある冷却装置を使おうとすれば新たな配管が必要。被曝を少なくするために既存の仕組みを使いたいが、既存のもので完璧に役立つものはない。だから生身の人間が行う工事は絶対に必要である。これは現場の人たちが最もよく知っているはずで、知恵を絞ってもらってどうにかしてほしいと願う。
・(水棺とどう違うか?)水棺は全体を水で満たすということ。可能であればいいが、できないと思う。たとえば2号機はサプレッションチャンバーに穴が開いているため水棺はできない。東電は2号機の穴を直すと言っているが、膨大な被曝が予想され、その作業は難しい。1号機も3号機も格納容器が損傷している。水をためることで破損が拡大しかねない。格納容器に何千トンもの水を入れることを前提にした設計になっていない。余震に耐えられるかどうかも分からず、とても心配だ。東電の水棺も、最終的に循環式の回路を作るという意味では同じことを言っているが、私は水棺はしない方がいいと思う。
・(どうしても被曝する人が出るということがポイント。福島原発暴発阻止行動プロジェクト(シニア決死隊)ということで山田恭暉さんという人が同志を募っている。若い人に被曝をさせないという趣旨。先日インタビューをした。2時間ほど話を聞いたが、反響が大きかった。これを統合本部の会見で東電にぶつけた。東電は一蹴したが、細野氏は検討すると言った。東電は渋々検討するとなった。山田氏は、合理的に考えたら経験のある技術者の自分たちが行くべきだと淡々と語った。後の世代を生かすために行くと言った。どう感じるか?)私もその一員だ。60人の志願者の中に入っている。
・(それは頼もしい。でも心配。複雑。どうして志願を?)私も60を過ぎていて放射線感受性は低い。私には原子力に携わってきた人間として責任はある。推進してはいないが責任はあると思う。事故収束にむけて自分にできることがあれば、したい。
・(政府は検討すると言うが、実現可能性は?)意気込みがあっても役立たない可能性はある。たとえば私の職場で事故が起きたら、収束に役立つのは現場をよく知っている実験所の所員。外部の人が来たとしても、私から見ると「危険もあるし、役に立たないかもしれないから、結構です」となるだろう。だから、福島の事故についても福島原発を知る人がいいだろうとは思う。ただ、被曝をさせるためだけに必要な作業というものはある。西成の労働者のことが報道されているが、そのように特別な能力がない人であっても出来る仕事はあり、そういうことであれば私も福島で役に立つかもしれない。ただ、一歩でもいい方向に向かうために私の力が使えるかと考えると、多分ないかもと思う。
・(副次効果が大きいのではないか。小出さん、山田さんが現地に入ったとき、目になり耳になるということになる。いま作業をしている人はみな匿名であり、現場の情報は出てこない。旧ソ連のチェルノブイリ事故のときでさえ、作業員の声はもっと外に出ていて、今の日本より開放的だったが、それでも閉鎖的と批判された。
【中継中断】
・(どの程度炉心が損傷しているか不明ということだったが、溶けたことによりどんなシナリオが考えられるか。いまどの段階か?)ウラン燃料は炉心にあるが、燃料棒が何十%も壊れているのは本当と思う。燃料棒は4メートルの細長いものだが、いま上部半分が水から出ている状態。上部が壊れていると私は思う。壊れた燃料棒から燃料ペレットが落ちてくる。下部は残っている。原子炉を支える構造の板も残っていると思う。ペレットが落ちてきても炉心から下には落ちていないというのが私の推測。途中でとまっていると思う。原子力学会の人たちは溶けたものが炉心部から流れ落ちていると推測している。圧力容器の底を貫通し、その下のパイプなどを溶かしているということ。でも、私は途中で止まっていると思っている。炉心の下半分が水につかっているから今は破局は避けられている。もし冷却のための水が止まると、下部も溶けるだろう。炉心全体が溶けると支えるものがなく、一度に落下する。その場合は圧力容器の底に残っている水に、溶けた炉心が一気に落下し、水蒸気爆発が起こり得る。一番おそれているのは圧力容器の中の水と燃料が反応して起こる水蒸気爆発。それにより、格納容器も吹き飛び、どうにもならなくなる。既に溶けて下に落ちているのであればまだいいが、私の推測のほうが悲観的。再臨界は起きないと思っているし、起きたとしても大したことはないと思っている。
・(3号機の温度が上昇している。これは何か?東電は原因不明としている。先日夜中に煙が上がった。)【音声中断】
333度ということだが、通常運転中も二百何十度にしかならない。300度以上は異常。温度は発熱と除熱のバランスで決まる。これまで何とか維持してきた温度が上がっているのは異常なことが起きているということ。水が入っていない可能性もある。東電はそう推測している。が、333度は尋常でない。たとえば原子力学会が推測するように、溶けたウランが圧力容器の底にきているとしたら、その部分の温度が上がるというのは考えられる。
・(劇的なシナリオは、水位が下がることによって起こるということだった。3号機で発熱の原因が増えているということかもしれない。または、水漏れがひどくなったという可能性もある。何らかの事情で破損が拡大した等。)その可能性もあるが、炉心の水位は変わっておらず、一定の水はある。データが本当とすればだが、水漏れがひどくなったとは考えられない。
・(3号機は3月14日に爆発したが、これが水素爆発ではなく核爆発だったという説が出ている。ベルリンで観測されたデータからして、水素爆発でないという見解もある。小出さんもコメントしていたが、この爆発について教えてほしい)塩素38は東電が検出したと言った。この元素は中性子と反応してできる。中性子は核分裂反応により大量にできる。だから1号機で再臨界が起きたと推測した。が、東電がデータを訂正した。今は再臨界はなかったと思う。再臨界はまず起こらないとも思っている。加圧水型は炉心が健全なときに臨界するようになっており、壊れてしまった炉心が臨界状態になる可能性は限りなく少ない。だから可能性は少ないと思っていたが、塩素38が本当に検出されたとしたら、それしか考えられないと言った。いま3号機についていろいろな推測が飛び交っている。私は水素爆発と思ってきた。ジルコニウムの被覆管が温度上昇により水と反応して水素を出す。それが酸素と反応して爆発を起こすのは当たり前。よって、水素爆発と思ってきた。が、1号機の爆発の様子との違いを見ると、不思議なことが起きたというのは本当と思う。即発臨界だったと言うが説もあるが、
【中継中断】
・20ミリシーベルトが大きな問題になっているが、政府はICRPを参照していると言う。ICRP以外にECRRも米国のアカデミーもある。『人間と放射線』という小出さんが訳した本があるが、その著者の見解はまた違う。被曝をどこまで受け入れられるかの基準について解説を)放射線の被曝の影響の出方には二つある。一つは急性障害。脱毛、やけど、吐き気、下痢など。枝野さんがただちに影響が出るレベルがないというのは急性症状が出ないという意味。もう一つは晩発性の障害。端的にいうと、癌。広島、長崎の原爆被曝者に米軍研究機関が聞き取りをして、毎年追跡調査をした。生存率、癌の割合、影響を何十年も調べた。その結果、被爆者では癌の発生率が高いことが分かった。時間が経つと、低い被曝の場合も癌が発生することが分かった。調査すればするだけ、もっと低い被曝の人のなかにも癌が発生していることが判明した。こうした疫学調査のデータは原爆、原発労働者、核実験、医療従事者などについていろいろあり、各機関の評価もさまざま。ICRPはそうした機関のひとつ。BIRというアメリカの委員会もECRRもその一つ。手法はさまざまで評価結果にはばらつきがある。人シーベルトという単位を使うと考えやすい。1シーベルトの被曝の人が10人いると10人シーベルト。ICRPは、1人シーベルトで1人。BIRは2人。4人という機関もある。ECRRだと従来と違う考え方で、もっと高い。
・(ECRRに言及しただけでカルトだと非難された)科学的といってもいろいろな仮定を使う。ICRPも山ほどの仮定を使っている。
【中継中断】
・(移住のコスト、ストレス、生活の困窮を考えてこうなっているのではないかと推測する。放射線のリスクと強制避難、疎開、移住のリスクはどうバランスすべきと考えるか?)これには答えられない。チェルノブイリ事故のときに旧ソ連は40万人を避難させた。その後ソ連政府は崩壊した。日本の法律の基準(放射線管理区域)をチェルノブイリに適用すれば、565万人を避難させなければならなかった。避難させてほしいと当時思ったが、40万人の避難民の行く末を見たら、とてつもない悲惨なことだと学んだ。それにより、放射線管理区域であっても避難すべきといいづらくなった。汚染地域で生きることも、避難して生活が崩壊することも、どっちにしても悲惨だということを学んだ。こういう選択をしないようにするには原子力を廃絶させるしかないと考えた。1ミリシーベルトという基準を適用すれば福島県内全域が住めなくなる。
・(除染は?)できない。校庭はできても、全域の除染はとてもできないと思う。
・(菅総理が浜岡原発停止を要請したが、これは一時停止。推進するための一時停止なのかとも思った。現在の菅政権の姿勢は原子力推進だという考え方もあるが、どうか?)私は全原発を即刻止めろと言っている。首相が一時的にせよ停止といったのは画期的。これが広がればいいとも思うが、これまでの政治をみると、ほとんどの勢力は原子力にぶらさがってきた。期待はしていない。
・(政府には期待しないとしたら、廃絶に向かうにはどうしたら?)分からない。分かっていたらやっていた。これからも自分のできることやっていく。どうしたら止まるかは私には分からない。でも若い人を中心に従来とは違う運動も出てきている。それが育ってきたら原子力に頼らない世界を作ることも可能では、とも考える。
・(原子力がなくても電力は足りるという説について、根拠は公開データに基づいているのかという疑問も出されているが?)即刻全原発を止めても問題ないということについては、公開データしか使っていない。私は政府統計局のデータ、経産省のエネルギー統計のデータ、電力会社の設備や発電実績のデータなどを使っている。私はあちこちでこの説明をしていて、資料もある。どなたにも差し上げる。ただ、日本全体で私はまとめているが、日本は50と60ヘルツの地域に二分される。それぞれについて立証することは必要だろう。と言っても、そんな細かいことには関係なく原発などやってはいけないというのが私の主張だ。
・(周波数の変換にはお金がかかるというが?)専門家でないので分からない。が、どこでも原子力比率はあまり変わらない。だから原則は同じだろう。関西は多少原発率が高いが、西日本で融通すれば大丈夫なはず。
・(敦賀原発で放射線漏洩があり一時的に止まった。大したことないと言っていたが、どうか?)燃料棒に損傷が起こるということはこれまでも何度もあった。制御棒を部分的に入れながら運転を続けるということもよくあった。今回の敦賀もその程度かもしれない。日本原燃はあまりにも悪いときにこんなことを起こしてしまったと思っているだろう。
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