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日本の原発、テロ攻撃対策も不十分−ウィキリークスの米外交公電
2011年 5月 9日 8:28 JST
【東京】福島第1原子力発電所の事故は、地震と津波に対する日本政府の原子炉安全対策上の欠陥を露呈した。しかし内部告発サイト「ウィキリークス」が先週末発表した米政府の外交公電によれば、米当局者は近年、テロ攻撃に対する原子力施設防衛でも日本政府が十分な予防策を講じていないと懸念していたことが 明らかになった。
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Reuters
福島第1原子力発電所
ウィキリークスの公表した一連の外交公電では、米当局者は日本政府側に対し、安全対策を強化するよう繰り返し促していたが、そのたびに日本側から拒否されていたという。
米国務省はコメントを拒否している。日本政府のコメントは8日現在、得られていない。
2007年2月26日、東京の米大使館は本国の国務省に送った公電で、「原子力施設の物理的な保護をめぐる米国の懸念」を伝えている。こうした懸念に対し、日本の文部科学省の原子力安全担当者は米側に対して「地元のニーズと資源から判断して、現場に武装警官を配備しなければならないほどの脅威はない」と述べたという。
問題となったのは、茨城県東海村の核燃料再処理工場で、プルトニウム貯蔵施設の役割も兼ねている。
ウィキリークスの公表した米外交公電によると、日本では一部の原子力施設に武装警官を配備しているが、東海村の施設を含む54カ所の原子力発電所の警備状況をみると、民間の警備会社と契約している場合、武装していなかった。日本では民間の警備会社の武装は禁じられている。
同じ公電によれば、日本側は、扱いに注意を要する情報に触れることのできるすべての原発職員に対する素性調査をするよう求めた米側の要求も拒否した。一部の原発運営会社は自主的に職員の履歴を検査したが、こうした素性検査は日本の憲法上、法的に義務付けられなかった。また、極めて微妙なプライバシー問題を提起しかねないと懸念する日本政府の意向もあったという。ただし、文科省当局者は、「非公式ならば」職員の素性を検査できるかもしれない、と譲歩したという。
北朝鮮が不安定で攻撃的な核政策を追求していることと、イラク、アフガニスタンでの米国主導の作戦に対する日本の役割を受けて、日本政府は近年、テロ対策を強化した。しかし、一部原子力施設で物理的な対策を強化したとはいえ、東京の米大使館から送られた公電では、欠陥と考えられる点が詳述されている。
例えば、日本はテロ攻撃に対してどう対応するか大規模な訓練を実施しているが、2006年に訓練を見学した米当局者は、訓練の台本があまりに周到に計画され過ぎていて、訓練の現実味がかえって薄れてしまっていると公電で書き送っていた。
日本が初めて政府肝いりで核テロに対する訓練を実施したのは2005年11月のことで、福井県の美浜原発で2000人近くが参加した。
この訓練の模様を詳述した2006年1月の公電によると、東京の米大使館当局者は訓練前に現地を訪問した。その際、福井県の当局者は米側当局者に対し、北朝鮮の潜水艦が周辺水域に出没していたことがあると述べ、北朝鮮によるテロ攻撃の脆弱性を懸念していると語った。米当局者は「この期間中、警備体制が敷かれたが、欠陥があるようだ」とし、「訪問した当日、商業原子力施設で警官がいたのを目撃したが、6人ばかりの警官の乗った軽装備車両で、警官の一部は居眠りしていた」と伝えた。
また、一部の原子力業界の幹部の中には2005年にこうしたテロ対策訓練を開始した際、その意味を疑う向きもあった。
例えば、2006年9月の訓練後に送られた米大使館員の公電によれば、東海村のトップは「私見」として「現地の住民にとって放射性物質の放出のほうがテロ以上に現実的な脅威だ」と述べ、どちらのシナリオを優先すべきか迷うと語ったという。
記者: Yoree Koh
http://jp.wsj.com/Japan/node_233102/?nid=NLM20110509
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