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東電原発事故は、チェルノブイリを超えたのか?
5月6日夕方4時から始まった合同会見。今日は岩上さんチャンネルでのまとめがなかったので、ブログに残しておきます。
今日の最大のポイントは、なんといっても航空機モニタリングの調査結果。この数値が正しければ、チェルノブイリの強制移住地域をはるかに超える量の放射性物質が沈着している地域が存在し、しかもそのエリアの中には、今でも人が住み続けていることになるのだ。
航空機モニタリング結果は最後にまとめるとして、まず、魚について書いていく。ポイントは、1)水産庁が魚の分析をする、2)分析は(セシウムなどが蓄積しやすい)筋肉部分を中心にやっていく、3)ガンマ核種以外の核種は、放出が確認されたら分析をしていく・・・というようなこと。
分析する部位については、まずは筋肉部分に蓄積しやすいのでここから分析していくとのこと。ホール(全部)をまとめて分析するという考え方もあるが、これをやると蓄積の少ないアタマや内臓を一緒くたにしてしまうので、結果として放射性物質濃度が低く出てしまう。安全側に振るのであれば、筋肉部位からやることが適当と考えていると、水産庁。
ところで、魚でのガンマ核種以外の核種分析について、水産庁は「放出が確認されたら」と回答していたが、実際には文科省も東電も核種分析をしていないのであって、出ていないわけではない。この点、早急にやるべきではないかと聞いてみると、以下のような回答。
文科省「海洋は燃料に触れた液体が出ている可能性ある。海洋については、他の核種もやる必要ある。そうはいいながらもヨウ素とセシウム多い。まずはそれをはかって拡散状況をはかっている。今後については専門家の意見も聞いて始めたい。日常的に行っている中で、この問題も取り上げたい」
ということで、やるのかやらないのか、まだ明確ではないので、これについては引き続き確認していく必要あり。
このほかに僕が聞いたのは、ずっと疑問だった海洋モニタリングの区分け。沿岸部から15kmまでは東電が実施して、それ以遠は文科省という分担が、なぜ継続しているのかを聞いてみたところ、しばら〜く沈黙が続いた後に、「関係者の話し合いでそうなっている」という文科省の回答。
詳細は確認するということだが、要するに事故発生当初からの流れで、なんとなくそうなっていたということらしい。これが本当なら、なんといい加減なモニタリング調査だったのかと驚くばかり。モニタリング調査は、環境への影響や原子炉内部の状況確認をするうえで、極めて重要な要素。
ところが東電はこれまで、海が荒れていたという理由で断続的なモニタリング調査しかできていないことが多かった。おまけに、福島の原発内で核種分析をしている。それが原因かどうかはともかく、これまで数度の間違いがあり、その訂正や確認のために調査結果が数週間も滞っていたこともあった。この非常時に、ありえない対応だ。
おまけにアルファ核種の分析に1カ月以上もかかっている。文科省は一昨日の会見で、アルファ核種は1週間で結果が出るとしていた。だったら東電でやるより、文科省がやったほうがいい。ストロンチウムなどのベータ核種は、いまだに東電からなんの発表もない。
これではモニタリングができているとはいえない。けれども文科省は、これについて何か手を打つこともない。安全委員会は、継続的にやることが望ましいといいながらも、とくに勧告をするわけでもない。
そうした、いい加減ともいえそうなモニタリングが許されてきた理由のひとつが、前述したような「なあなあ」で始めた区分けにあるような気がしてならない。
このほか、NPJ日隅さんからの質問では、年間20mSvの被ばくの影響をどう考えるのかということ。全米科学アカデミーは、低線量域の被ばく影響について、低いからといって影響がないわけではなく線量に応じた健康への影響があり、例えば年間20mSvでは、1000人に1人がガンで死亡する可能性があるとしているらしい。
この点の認識を安全委員会に質すと、あっさりと「全米科学アカデミーのレポート読んだ。100mSv/h以下のレベルで、放射線影響がそれより高いとも、低いともいうことが正しくないということが説明されている文献と認識。ICRPも、低い領域でも比例関係が成り立つという考えにたっている」と認めた。
加えて、「ICRPも、低い領域でも比例関係が成り立つという考えにたっている。リスクはあるが、発ガンといった場合、ある国の人口集団でガンになる割合は非常に小さいということで、事実上、健康への影響はないと考えている」とのこと。
これ以降のやりとりは、こんな感じ。
日隅:0.1%のガンが増えるのは、問題ないのか? 許容すべきものなのか?
安全委員会:「正確にいえば、放射線防護の世界では、受容できるという意味あいになる」
日隅:そうであれば、1000分の1がガンで死亡するという説明がなければ、許容できないという人もいるので、正確にいわなければ、逆のデマになるのではないか?
安全委員会:「1000分の1の人がガンで死ぬという言い方は適当ではないとICRPの勧告にもあると承知している」
日隅:許容できる人も、できない人もいる。そういう問題がありうるということを、政府としていうべき。それを健康上影響がないというのはデタラメではないか。何分の一という数字はいいが、科学的に正しい発表をしてほしい。
安全委員会:「リスクについては適切な説明に務めてまいる」
ということで、今後はきちんと、リスクと利益を説明していくことになるかもしれない。
さて、最後になったが、個人的に大きな問題だと思ったのは冒頭で触れた航空機によるモニタリング結果。文科省のHPに結果が公表されているので見てほしい。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/05/06/1305820_20110506.pdf
(PDF開きます)
問題なのは、この中の放射性物質濃度のページ。チェルノブイリやセミパラチンスクなどを取材してきたNHKの石川一洋氏が「この単位は間違っていないのか?」と確認し、その後で、「この数字は驚くべきもの。僕は本当に驚いている」と繰り返したたほど、異常な数値が出ているのだ。
資料にある地図中で、もっとも放射性物質濃度が高い赤い部分は、セシウムの濃度が300万ベクレル/m2を超えるエリア。安全委員会によれば、「チェルノブイリは、半径30kmで、148万〜370万ベクレル/m2がもっとも高いレンジだった」ので、今回の資料が正しければ、軽くチェルノブイリを超えていることになる。
さらにいえば、京都大学の今中哲二助教(原子炉工学)によれば、チェルノブイリで強制移住地域に指定された場所の濃度は、旧ソ連で148万ベクレル/m2。1990年にベラルーシが移住対象にしたのは55万5000ベクレル/m2だということなので、6倍超になる。
とんでもない数値だが、今中助教が3月に実施した現地調査では今回の航空機モニタリングと同じような値が検出されているため、それほど大きな間違いではない可能性もある。
京都新聞 3月28日
土壌汚染「チェルノブイリ強制移住」以上 京大助教試算
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20110328000068
NHK・石川氏の質問に対し、原子力安全委員会は、「チェルノブイリとの比較含めて、(安全委員会)委員の先生には評価してもらう」と回答。つまり、今回の数値の異常性を認識していたことになる(当然ではあるが)。
この会見中、中部電力の浜岡原子力発電所について、菅首相が停止要請をしたという情報があり、官邸は会見を開いた。このニュースは、おそらく明日の新聞紙上やテレビを賑わすだろう。
しかし、航空モニタリングの影響は、浜岡を上回るものだと、個人的には思う。もちろん浜岡原発は重要であるが、単なる要請で停止が決まったわけではない。一方でチェルノブイリを超えたかもしれない福島の事故は、現在進行形であるという意味でも規模の面でも、世界に与えるインパクトは計り知れなく大きい。
しかも(数値が正しければ)、チェルノブイリでは強制移住とされた地域に、いまだに人が住んでいる。300万ベクレル/m2を記録している地域は、避難対象の半径30km圏外に拡がっているのだ。
政府は大至急、この詳細を確認し、必要な措置をとる必要がある。その際、正確なモニタリングが重要なのは論を待たない。低い数値しか出ないアスファルトなど舗装路の上で測るなどはせず、きちんと土の上で計測すべきだ。必要があれば、集団疎開も含めた対応も検討しなければならないだろう。
願わくば、この数値が間違っているといてほしいものだが・・・調査結果は、数日中に出るものと思われる。
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