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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/6246
原発で作業すべきなのは首都圏の中高年 佐川 光晴 結婚のかたち
2011.05.06(Fri)
福島第一原発の事故は、発生から1カ月半が経過しても、いまだ冷却化の見通しさえ立っていない。東京電力による事故の終息に向けた工程表が発表されたが、計画通りに進められるはずがないと疑っている人が大半だろう。
ニュースでは毎日のように、1号機から4号機までの4機の原発のそれぞれの水温とトレンチ内の放射能汚染水量の変化、それに放射性物質による周辺地域の汚染状況が事細かに報じられている。
現地では、1000人に及ぶ方々が作業を続けており、事故当初のような不眠不休に加えて、満足に食事も取れないという過酷な労働環境は幾分改善さ れてきたようだが危険であることに変わりはなく、強い緊張状態にさらされて、心身共に疲労が限界に来ているのではないかと思う。
被災して避難を余儀なくされた方々に対するケアも含めて、より長期的な視点で人材の活用を図らなければ、この未曾有の危機は決して乗り切れない。
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経済評論家の大前研一氏は、「週刊ポスト」(4月8日号)に掲載の「『ビジネス新大陸』の歩き方<特別版>」の中で、諸家に先駆けて今回の原発事故における解決の難しさを具体的に指摘していた。
「4月8日号」とあるが、実際には3月28日に発売されており、<本稿の執筆時点では、東日本大震災で損傷した東京電力福島第一原子力発電所への外部電源の復旧工事の傍ら、放水・冷却作業が続けられている>と前言で触れている。
同号には、「31歳自衛官は『俺が終わらせてくる』と子供に告げて原発に突入した」との記事も掲載されている。自衛隊とハイパーレスキュー隊により、使用済み核燃料プールへの至近距離からの放水が成功して、誰もがひとまず安堵していた時であり、私は大前氏のいち早い指摘に自分の不明を開かれる思いがした。
<だが、すべての冷却装置が正常に稼働しない限り、解決に向けての“最初の関門”すら突破できない。なぜなら、まだ新聞やテレビは報じていないが、今後最低5年間は原子炉と貯蔵プールにある使用済み燃料を冷やし続けなければならないからだ。>
として、大前氏は原発を完全に停止させるまでに必須な作業を5つの段階に分けて詳しく説明したあと、
<最後の難関は、炉心冷却のために注入された水を、できるだけ循環させた後、最終的には放射性を帯びた状態でどこかに排出しなければならないということだ。原子炉の1次冷却システムは、放射性物質を外部に漏出しないよう完全なクローズドループになっているのだが、外部からいくらでも水を注入できるということは、冷却システムのどこかでパイプが破断するなどして、水が漏れているということだ。そこから放射性を帯びた水が近隣の海に流れ出てしまうので、放射性物質によるダメージが水産業にまで拡大することは避けられない。>
私も、放水が成功したのはめでたいが、燃料棒に直接触れて高濃度に汚染した水をどうするつもりなのかと懸念していたので、大前氏の指摘は我が意を得た思いだった。
果たして、その後の推移は氏が予見した通りとなり、放射性を帯びた冷却水の処理が目下最大の懸案となっている。
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さて、ここからようやく本稿の主題に入るのだが、仮に汚染水の問題に解決のメドが立ったとしても、福島第一原発の処理には膨大な人手が必要にな る。現在は、以前から原発関連の仕事をしてきた経験者たちが作業に当たっているが、累積被曝量の問題もあり、やがて労働力が枯渇するのは目に見えている。
報道によれば、韓国内で福島原発の仕事への求人がなされたという。日本人の尻拭いをどうして韓国人がしなければならないのかと、もっともな反発が起こり、募集に応じた人はいなかったらしい。
しかし韓国が無理なら、もっと貧しい国の人たちに向けて求人を募る可能性はあり、金にあかせて「原発ジプシー」を雇うという原子力業界の慣行は、福島原発の事故の後もそのまま維持されようとしている。
そこで私が提案したいのは、東京電力の管轄区域に暮らし、福島第一原発の恩恵に与ってきた我々首都圏の住民による処理作業への参加である。
行きたいなら、ボランティアで行けばいいと言われるかもしれないが、ボランティアは善意による自主的な行為であるために、せっかく貴重な労力を提供しても権利が発生しない。ここで言う権利とは、労力に見合った賃金のことではなく、原子力政策に関わる権利のことである。
前福島県知事である佐藤栄佐久氏は、毎日新聞のインタビューを受けて以下のように述べている。
<──未曾有の事故に、東京電力は「想定外の事態」と繰り返した。
私でさえ安全と思っていた。経済産業省は「二重三重のチェックをしている」「自然災害による事故も絶対あり得ない」と言っていた。国がそれだけ言えば、地域社会が信用するのは当然だった。
──88〜06年の知事在任時、福島第一、第二原発で事故やトラブル隠しが発覚。安全管理に疑問を唱えていた。
原子力政策は、国会議員や福島のような立地県もタッチできない。政策の基本を定める長期計画策定会義のメンバーの大半は電力関係者の「味方」。政策を実際につくるのは経産省の官僚だ。彼らにとって、良いのか悪いのかは別問題で、一度方針を決めると後戻りしない体質だ。>
(「毎日新聞」4月4日夕刊より)
原発立地県の知事にさえ政策への関与を許さない経済産業省の官僚と電力業界の閉鎖的で独善的な体質が今回の事故を引き起こしたことを、我々は末代まで忘れるべきではない。
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そこで先の提言に戻れば、我々はボランティアとしてではなく、臨時ではあっても、あくまで正規の作業員として福島第一原発の処理作業に当たる。専 門的な作業は、それを行う資格を有する方にお願いするしかないが、資材の管理やデータのチェック、それに夜間の見回りなどは初心者にもできるはずだ。
実際、そうした仕事に携わっていた50代の女性が規制限度の3倍を超える放射線に被曝していたことが分かったとの報道が4月26日にあった。
あまり想像したくはないが、今現在福島第一原発で処理作業のために働いている人たちは、いずれ放射線の年間許容被曝線量に達してしまうだろう。
そうなった時、我々はどうするのか。原発は今すぐ止めろ。原発はいらないと、東京電力や経済産業省の責任を追及するのは当然だとしても、現に事故を起こし、いまだに暴走の危険性を胎む福島第一原発だけはなんとしても冷却化してしまわなければならない。
そこで私は、次のことを提言する。
(1)政府は福島第一原子力発電所で処理作業に当たる人材を広く募集する。
(2)勤務期間は1年間とする。その間の賃金は政府が支払い、元の職場での身分は保障される。
(3)募集に応じられるのは45歳以上の者に限る。周知のように放射線による悪影響は若年者ほど出やすい。また新生児への影響を考慮して、出産に関わる可能性がある年齢の者は原則的に参加させない。
(4)「原子力計画策定国民会議」を設置する。原子力政策の決定に際しては国民にあらゆる情報を提供し、幅広い議論を行う。過去の電力行政についても情報公開を徹底し、今回の事故を招いた原因と責任の所在を究明する。
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この提言の内容をひらめいたのはつい最近のことで、NHKテレビでの玄侑宗久氏の発言がヒントになっている。
4月23日土曜日に午後9時から放送された、NHKスペシャル「被災地は訴える」の中で、コメンテーターとしてスタジオに来ていた僧侶で作家の玄侑氏(東日本大震災復興構想会議委員でもある)が、「警戒区域」から避難した住民の一時帰宅に関連して、おおよそ次のように発言した。
<一時帰宅は1世帯1人に限り認めるというんですが、そうすると、どうしても力のある若い人やお父さんが行きますよね。しかし、若い人ほど放射線 の影響を受けやすいんです。反対に、年寄りは影響も少ないし、微量の放射線は影響が顕在化するまでに長い年月がかかるわけですから、いっそのこと50歳以 上の人は「警戒区域」への出入りを自由にしたらいいと思うんです。>
うろ覚えだが、発言の趣旨は曲げていないと思う。大変有益な指摘で、私は本当にそうだと賛成するのと同時に、それなら原発での作業も中年以降に限ればいいと思いついた。
私は現在46歳なので45歳以上としたのだが、私と同年代以上の人は皆、原子力発電所の恩恵を十二分に受けてきたはずだ。また選挙権を得てからも25年が過ぎ、いくら原子力政策が閉鎖的に決められてきたにしても、日本国民として責任の一端は負うべきだろう。
なにより、失業率の高い若年者たちが生活苦から福島原発の仕事に就いてしまい、結果的に被曝してしまうような事態は絶対に避けなければならない。
そうしたもろもろの条件をクリアする点からしても、45歳以上という限定は大変有効だと思う。
戦争中に、若人を戦場に送ってしまったと後悔する大人たちがいたが、原発に関してはその逆の手が使える。つまり、現在の日本の国情に責任を有する大人たちが、若者たちの前に回って現場に入れるわけで、こんなに理屈の通った話はない。
とっさの思いつきだが、かなり実現性は高いのではないだろうか。もとより素人の発想であり、ぜひとも多くの方々から知恵を借りて、修正すべき点は修正したい。
45歳以上の者による志願の原発処理というのは、東京に原発を造れというよりもよほど現実的で、政財界にも国民が睨みを利かせられるという意味で画期的な案だと、私は思っている。
この提言が受け容れられた暁には、私はもちろん現地に赴くつもりでいる。この10年程は机の前でしか働いていないが、私は自動車の大型免許を所持しており、実際にトラックで荷物を運んでいた経験もあるので、なにかしらの役に立つと思う。
こう書きながら、私はかつてない緊張を感じている。しかし、現にガイガーカウンターを身につけながら作業に従事している人たちがいることを思えば、彼らだけに危険を負わせて、安全な場所で政治家や東電関係者の悪口を言っているだけでは済まないのではないか。
こうした私自身の決意の当否も含めて、本気でこの問題について考えていきたいと思っている。多くの方よりご意見を賜りたく、議論への参加を重ねてお願い致します。
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