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http://openblog.meblog.biz/article/4554876.html(Openブログ)
◆ 校庭 20 mSv は妥当か?
子供への放射線の許容量として、年間 20 mSv という値が指定されたが、この値を「妥当でない」と批判する声が強いが、私はそれを否定する。なぜ? 「年間 20 mSv は安全だ」という意味ではなく、「もっと本質に目を向けよ」という意味で。
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子供への放射線の許容量として、年間 20 mSv という値が指定された……と思われている。だが、正確には、「学校の校庭の放射線量」である。
また、年間 20 mSv というのは、積算値ではなく、瞬間値である。(年間 20 mSv に相当する 3.8μSv/時 → 出典http://response.jp/article/2011/04/19/155157.html )
さて。この値は妥当だろうか? 「妥当ではない」と批判するのは、先ほど辞任した小佐古敏荘だ。
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http://www.webdice.jp/topics/detail/3037/
今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間 20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間 1mSv,特殊な例でも年間 5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせいぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。年間 20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間 10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。
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一見、まともなことを言っているようだが、計算ができていない。
(1) 彼は「年間 1mSv」という値を示しているが、これは自然状態(2.4 mSv)よりもずっと低い。そんな値を満たす土地は、ほとんどない。彼の言うとおりにしたら、世界中のどこにも住めなくなってしまう。
(2) 小学生が校庭に出るのは、1日に何時間もない。せいぜい、体育の時間とか、朝礼の時間とか、昼休みの時間だろう。このうち、昼休みは校庭を禁止して、朝礼は体育館でやることにすれば、体育の時間だけで済む。それは週に4時間(コマ)程度。平均して、1日に 30分程度。1日に半時間だけなら、24分の 0.5 だから、「一年中ずっと浴びている」という計算にはならない。彼はどうも、「一日中ずっと校庭にいる」というふうに計算しているようだが、とんでもない計算ミスだ。「一日中ずっと校庭にいる」のではなくて、「1日に30分間だけ校庭にいる」が正しい。当然、その 30分だけなら放射線は「年間 20mSv」に相当するが、それ以外の時間では、その値に達しない。総計すれば、「年間 20mSv」よりも低い値になる。
(3) 問題は、校庭にいる時間じゃない。通学時間の方が多いのだから、その時間に浴びる放射線を忘れていたら、どうしようもない。
(4) 屋内にいる時間だって、問題だ。屋内にいても、木造では半分、コンクリートでも数分の1の放射線を浴びる。ゼロになるわけではない。そのことを忘れていたら、どうしようもない。
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では、どう評価するべきか?
「年間 20mSv」というよりは、「 3.8μSv/時」で考えた方がいい。この値が、校庭だけでなく、外部の空間全体に当てはまるのだ。校庭にいなければいいという問題ではない。子供以外の大人だって、外にいる間、ずっと浴びている。
さて。
「年間 20 mSv を許容するのはけしからん」という人が多いが、年間 20 mSv というのは、そもそも、「計画的避難区域」に指定されている領域だ。( → 首相官邸 )
とすれば、計画的避難区域の場所に「1年間ずっと住み続ける」ということは、ない。5月末までの1カ月程度だけのことだ。当然、「年間 20mSv」という値にはならない。だから、校庭の「年間 20mSv」の問題だけなら、たいして騒ぐ必要はないのだ。
問題は、むしろ、「年間 20mSv」の外側の地域である。「年間 20mSv」未満の領域は、「計画的避難区域」に指定されていない。したがって、ずっと放射線を浴びることになる。
かといって、この領域の人々をやたらと避難させるとしたら、対象領域が広くなりすぎる。( → 地図 )
ま、「年間 20mSv」でなく「年間 10mSv」にしても、範囲はある程度は限定されるから、この範囲の人々も、本当ならば避難した方がいいのかもしれない。とはいえ、今後、放射線の垂れ流しが収束すれば、避難する必要はなくなる。
何しろ、避難というのは、その住民の生活を破壊してしまう、ということに留意しなくてはならない。あっさり「避難すればいい」というものではないのだ。(あなただって、今すぐ家を出ろといわれたら、困るだろう。)
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結論。
(1) 「年間 20mSv」という数値は、実際にその数値になることを意味しない。小学校の場合には、校庭にいる時間だけだ。
(2) 大人の場合は違うが、それにしても、計画的避難地域にいるのだから、あと1カ月ぐらいのことにすぎない。
(3) どうせ心配するなら、1カ月後以降も避難しない、「年間 20mSv」未満の領域の心配をする方がいい。
《 以下、加筆。(最後まで) 》
さて。よく考えてみよう。
現在の 3.8μSv/時 という値は、いかにして生じているか? コメント欄で指摘されたが、「今は原発からは飛散していない。以前に大量放出されたセシウム(半減期が長い)が原因だ」と言われる。
なるほど。私もこれを書いたときは、そのことを考えていた。ただ、本項を書いたのは、寝る前の30分間ぐらいだったから、思いつきのアイデアを考慮不足のまま書いてしまったようだ。(そのせいで、上記のように、全面削除するハメになった。 (^^); )
改めて調べると、たしかに指摘の通りだ。次のサイトに詳しい説明がある。
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http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/51949057.html(toshi_tomieのブログ)
3月中は、放射線強度が急激に減衰しましたが、4月になってからはほぼ横ばいになりました。この変化は、減衰定数6日(半減期4日)と減衰定数400日(半減期280日)以上の、二つの減衰曲線でフィッティングできます。短半減期と長半減期の成分比は、6箇所全てで20:1でした。
3月中は、核崩壊の半減期が8日のヨウ素131が主でしたが、その放射能がほぼ消えた後は、核崩壊の半減期が30年のセシウム137の放射線が主になっていると考えられます。
4/25に報告した、つくばと、原発敷地内の放射線強度も、ヨウ素131とセシウム137と考えられる二つの成分で説明できる経時変化をしました。
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なかなか有益な情報だ。
なお、このサイトでは指摘していないが、問題は、外部被曝の場合である。内部被曝の場合には異なる。
内部被曝はどうかというと、雨によってすでにセシウムは土中にしみこんだと思える。だが、土が乾燥すれば、部分的に浮遊することもありそうだ。
そのことへの対策としては、マスクが有効だろう。これによって放射性物質の9割を除去できるからだ。
「通勤・通学時や、校庭に出るときは、マスクをしろ」
という方針を示すといいだろう。
→ 外部被曝と内部被曝(http://openblog.meblog.biz/article/4552837.htmlの [ 付記2 ])
まとめ。
(1) 現在の放射線は、すでに飛散したセシウムの分である。セシウムの半減期は長い。なかなか減らない。/政府の測定値は 20メートルの高さの測定値なので、1メートルの高さでの測定値では 50 mSv となる。
(2) 50 mSv という値は、短時間のうちに受けるのであれば少し問題だが、1年間をかけて受けるのであれば危険水準には達しない。(同じ累積量でも、原発作業員ならば少し危険だが、飯舘村では危険ではない。)
(3) 問題は、内部被曝だ。それを避けるには、当面、マスクをするといい。
(4) 5月末以降は、計画的避難区域の外に出るので、校庭がどうのこうのという問題はもともと存在しなくなる。
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[ 付記1 ]
では、避難した6月以降はどうか?
政府の方針では、「時間がたって放射線の量が減ったら、飯舘村に戻ればいい」ということらしい。
しかし、セシウムの半減期は 30年。ヨウ素と合わせた減衰曲線では、半減期が1年以上だ。となると、1〜2年以上も避難し続ける必要が出そうだ。
それを避けるには、表土の除去が必要となる。だが、そのためには、莫大な費用がかかる。あまりにも巨額となり、負担できそうにない。それよりは、1〜2年ぐらい避難してもらった方が、コスト的に見合う。
[ 付記2 ]
いろいろと難しくて、「これだ」という正解は見つかりそうにない。
( 注。次項ではそれなりに名案を出している。)
ここで、私なりに推奨策を出すなら、次のようになる。
・ 外部被曝の分は「危険でない」と割り切る。
・ 内部被曝の分は、当面はマスクでしのぐ。
・ 6月以降には、9月末まで避難する。その理由は次のことだ。
「8月中は土が乾燥するので、砂塵を吸い込む内部被曝の可能性がある」
では、戻ってもいい時期は、いつか? 10月とも言える。だが、12月頃には、空気が乾燥しそうだ。その一方で、このころにはセシウムは(地下にしみこんで)かなり減少していそうだ。また、冬に近づけば、「風邪の防止のためにマスクを付けるといい」ということも成立する。
いろいろと考えると、大人ならば、10月には戻ってもいいと思える。ものすごく危険だということもなさそうだ。いくらかは危険はあるが、他のことでも同じような危険にさらされることもある。(慣れない土地では、交通事故に遭いやすい。そのことの死亡率の方が高い、ということも考えられる。)……というわけで、大人の場合は、「迷惑料」の負担だけで、10月には戻ってもらってもよさそうだ。仕事や生活の問題もあるし。
また、マスクさえすれば、最初から避難しなくてもいい(出たとしてもすぐに戻っていい)とも言える。
ただ、子供は別だ。子供はしばらくこの地を離れた方がよさそうだ。特に、成長期に当たる年齢(中学生に当たる年齢)では、外部に出た方がよさそうだ。大人の場合と違って、子供ならば一定期間を下宿などで暮らすことも可能だろう。
あまり簡単ではないが、私としては、以上のように考える。
[ 付記3 ]
放射線の量だけなら、「中学生以外は避難しなくてもいい(マスクをすれば)」と言ってもいいかもしれない。(できれば小学生・高校生も避難した方がいいが。)
しかし、現状の放射線とは別に、将来の危険がある。それは4号機の爆発という危険だ。(大きな余震にともなって発生する危険がある。)それはプルトニウムの飛散を意味するので、とても危険だ。そうなったら、また同じ領域が被災するかもしれない。また、現在の計画的避難区域とは別の領域が被災するかもしれない。
この危険性を考えると、「できれば1年間ぐらいは避難した方がいい」と言える。(福島原発が安定するまで。)
私の立場としては、「現在の放射線よりも、将来のプルトニウム爆発の方を問題視するべきだ」という理由で、避難をお勧めする。ただし、それは、強制ではない。「万一の場合にプルトニウムをかぶってもいい」と思うのであれば、現在地に留まってもいいだろう。
私としては、「 20mSv/年 の地域で避難するかどうか」よりも、「プルトニウム対策をちゃんとやれ」という問題の方が大事だ、と考える。
→ プルトニウム爆発の危険(http://openblog.meblog.biz/article/4547533.html)
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