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(回答先: 福島原発、ベント難航で最悪想定 政府、大震災の翌日(共同)「著しい公衆被ばく」が発生するとの予測が政府内で示されていた 投稿者 赤かぶ 日時 2011 年 5 月 03 日 20:26:59)
↑の記事を読み考えると、菅首相が3月15日午前に東電本社を訪問して、1号機水素爆発の連絡遅れを理由に「一体どうなっているんだ」と叱責したわけがわかる気がする。
本来、東電は、何かあった場合、経産省の原子力安全・保安院に連絡する義務を背負っているのであって、官邸に連絡する義務を負っているわけではない。保安院を差し置いて直接官邸に連絡することのほうが問題なのである。
1号機水素爆発の連絡が菅首相に遅れた責任があるとすれば保安院なのであって東電ではない。東電が文句を言われるとしたら、連絡していない場合に保安院からであって、首相からではない。それが権力組織のかたちである。
まあともかく、その前日から「原子力緊急事態」を宣言し、1号機の爆発もテレビで“生中継”されていたというのに、東電で「一体どうなっているんだ」と叫ぶ姿は、パフォーマンスか精神錯乱のいずれかとしか思えない。
この記事をもとに考えれば、3月12日の“危機一髪”のストレスをすべて東電にぶちまけ責をすべて東電に押し付けたといえるだろう。
ところで、「格納容器の圧力上昇を止める「ベント」が難航していた際、同日深夜に格納容器が破損して敷地境界での「被ばく線量」が重大な健康被害を及ぼす「数シーベルト以上」となり、周辺で「著しい公衆被ばく」が発生するとの予測が政府内で示されていた」という状況で、菅内閣=枝野官房長官が国民向けに発したメッセージはどんなものだったのだろうか?
何もなかった。
菅内閣は、そのかん何らメッセージを発することなく姿を隠し、よく言えば、ただ黙って事態の成り行きを見守っていただけなのだ。
「格納容器の圧力上昇を止める「ベント」が難航していた際」という時間軸は、記事に従えば、「菅直人首相の現地視察が終了した直後の同日午前9時すぎ」からの「約5時間半」(午後2時半過ぎ)ということになる。
実際の1号機のベント開始は、効果(圧力の低下)のほどは別として、放射性物質を含む格納容器内部の蒸気(大気)が放出され始めた午前10時17分である。
菅首相がヘリで津波被害と福島第一の視察に向かっている時点で(午前7時前)、枝野官房長官は、避難対象地域の拡大・1号機ベントの予告・福島第二原発の15条事象発生(圧力抑制機能喪失)に関する記者会見を行っている。
その後は、午後3時36分の1号機水素爆発をはさんで、およそ10時間後の午後5時47分まで記者会見が行われることはなかった。
途中、保安院が、午後2時過ぎに1号機のメルトダウンの可能性を説明しただけだ。
↑の記事のような身体の安全にかかわる緊急事態が差し迫っていると考えていながら、菅内閣が国民に情報を発することはなんらなかったのだ。
記事に、「原子力安全・保安院は3月12日午後1時に、1号機で「ベントができない場合に想定される事象」を検討」し、「この時点で、格納容器の圧力が設計圧力の2倍近い0・75メガパスカル(約7・4気圧)に上昇。ベントができなければ、午後11時には設計圧力の3倍の1・2メガパスカル(約11・8気圧)に達し、格納容器が破損すると想定した」とある。
しかし、これは、福島第一原発敷地内の放射線量モニタリング値が、
10:10 正門 006.65μSv
10:20 正門 180.2μSv
10:30 正門 385.5μSv
10:40 正門 162.9μSv
と推移しているので、午後1時の時点では、1号機内部から放射性物質を伴う大気が放出されたことは察知できているはずである。
また、格納容器の圧力も、「設計圧力の2倍近い0・75メガパスカル(約7・4気圧)に上昇」とあるが、すでに12日未明(2:45)から明け方(5:20)までのあいだ0.941メガパスカル(約9.3気圧)まで圧力が上昇していた。
それが午前8時49分に0.74MPaまで下降したのは、ベントに係る二つの弁のうち1つが開いたことによるものなのか、格納容器内の蒸気を原子炉建屋に逃がすという別のベントを実施したことによるのかはわからない。
ともかく、世界が心配するほど厳しいスケジュールで記者会見を行っていた菅内閣=枝野官房長官が、記事が指摘する肝心なときに“沈黙”を守ったのは、「格納容器が破損すると想定」(大量の放射性物質が大気中に放出)にウロをきたしたとしか考えられない。
(4月になって、細野首相補佐官が「危機的状況があった」というのはこのことを指すのかもしれないと思っている)
結果として想定のかたちで1号機の格納容器が破損することはなかったが(現在の健全性は不明)、そのような想定を持ちながら、菅内閣は国民にまったくメッセージを発することなく成り行きに任せていたのである。
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