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(書評/転送・転載を歓迎します)
原発の「老朽化対策」は十分か
桜井 淳著
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反原発派は桜井淳氏を誤解して居る。, 2011/4/26
反原発派の人々の中には、桜井淳氏に好意的でない人が少なからず居る様である。私自身、反原発派なので、原子力発電に対する姿勢は、もちろん、桜井氏とは基本的に異なって居る。しかし、桜井氏は、誤解されて居ると、私は思ふ。その事を知ってもらふ為に、やや長文であるが、本書の一部を以下に引用したい。
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(以下引用)
多くの論者が将来の人口増を予測してエネルギーの必要性を主張し、現実的に対応できるのは原子力であり、石炭火力は炭酸ガスによる“温室効果”が問題であるとし、さらに自然エネルギーの利用については限界があるとしているが、これでよいのだろうか。人口はリニアーに増加するわけではなく、社会的な要因により左右される。飽和することも考えられる。温室効果についても、炭酸ガスやフロンなどが原因しているらしいことはわかっているが、くわしいメカニズムはわかっていない。石炭火力に頼った時、このまま大気中の炭酸ガスが増え、止めどもなく温暖化が進むかどうかも明らかではない。あるいは飽和するかも知れない。「温暖化により水没する」というのはヒステリックな強迫であり、質のよい議論ではない。そもそも温室効果問題というのは、チェルノブイリ事故を契機に世界的に脱原発が進んだために、先進国の権力側が仕掛けた政治効果によってもたらされたものであって、「いまなぜ温室効果、環境問題なのか」、その必然性が明らかではない。確かに温室効果も重要であるが、いまは“科学的” に解明すべき時期なのだと思う。いまはまだ、あまり悲観的に考えることもないだろう。
昨年の春、日本エネルギー経済研究所理事長の生田豊明氏にインタビューした時、「石油は少なくとも百年から百五十年はもつ」と言っていたが、こんなものであろう。帝京大学教授で技術評論家の星野芳郎氏によれば、「石油の次は石炭であるが、原子力が割りこんできた」(『エネルギー問題の混乱を正す』)のであって、もう一度ノーマルなエネルギー政策に戻せばよい。石炭は千年以上もつはずであって、積極的にガス化・液化して利用すればよい。このことにふれた論者が私以外にいないのもさびしい。原子力も確かに部分的には有効なエネルギーになり得るだろう。また、自然エネルギーの利用も開発の仕方によっては有効なエネルギー技術にはなり得る。総合すれば二十一世紀のエネルギー技術は、石油、液化天然ガス、石炭、原子力、自然エネルギーを目的に合わせて、部分的に利用していくことになるだろう。世の中でいわれているエネルギー危機は、石油や原子力産業の市場独占の危機でしかない。
(本書61〜62ページより)
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これを読んで、反原発派の方たちは、どう思ふだろうか?桜井氏は、単純な「原発推進派」だろうか?(そもそも、何の議論でも人を単純な区分けで二分する事は適切な事ではない)確かに、桜井淳氏は、原子力発電を条件付きながら肯定する論者である。しかし、桜井氏は、始めに結論ありきで「原発推進」を唱える様な論者ではない。上に引用した文章から分かる様に、例えば、「二酸化炭素による地球温暖化」と言ふ話が、実は、原発推進側のキャンペーンである事を平気で書いたり、「エネルギー危機」が、実は幻である事などをこれほどストレートに指摘し、電力側のキャンペーンを冷ややかに扱って居るのである。桜井氏の人柄を反映して居るのであろう。その文章には虚飾が無く、広瀬隆氏の様に読者に「読ませる」文章ではないので、注目されて居ないが、桜井氏の原子力批判は、時に、広瀬隆氏や高木仁三郎氏の批判よりも厳しい物に思へる時すら有る。桜井氏の姿勢は、安全と経済性が本当に確保されるのならば原子力を否定しない。しかし、安全と経済性が確保されないのなら原子力を支持しない、と言ふ物であり、原子力についての推進派、反対派、双方の主張に耳を傾けて来た人なのである。そして、立場は異なりながら、高木仁三郎氏を高く評価し続けて来た人でもある。もちろん、その桜井氏の意見には、妥当な部分も有れば、そうでない部分も有るだろう。私自身、桜井氏の見解の全てに賛成して居る訳ではない。しかし、桜井氏は、公平である。桜井氏は、徹底して個人主義的な人物であり、原子力業界の回し者などでは決してない。むしろ、その徹底した個人主義的な姿勢で、反原発派の発言を検証してくれる桜井氏の存在は、貴重な物であると、私は思ふ。福島第一原発の事故を巡る流動的な情勢の中で、桜井淳氏の役割は大きい。反原発派の一人として、桜井氏の発言の機会が増える事を期待する。
(西岡昌紀・内科医/チェルノブイリ原発事故から25年目の日に)
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