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放出量予測システムも使えず 想定の甘さ浮き彫り
http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011050201000151.html
2011/05/02 11:31 共同通信
原発事故を遠隔地から分析し、放射性物質がどのぐらい放出されるかを予測する国の「緊急時対策支援システム(ERSS)」が、福島第1原発事故の発生直後から電源喪失のため使えなくなっていたことが2日、分かった。
原発事故を想定した国のシステムでは「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」も機能しなかったことが判明している。ERSSが放射性物質の放出量の予測を、SPEEDIが拡散の予測に使われることになっており、ERSSの不具合は効率的な住民避難などを妨げる一因にもなったとみられる。
ERSSの開発、運用には約155億円の予算が投じられ、SPEEDIと合わせ280億円以上。国の災害対策の根幹である防災基本計画でも、緊急時には両システムで分析、予測するとされていた。緊急事態に対する国の想定の甘さがあらためて浮き彫りになった形で、原発の防災対策が根本から問われそうだ。
ERSSは、経済産業省が原子力安全基盤機構(東京)に運用を委託。事故発生時、原子炉の圧力や温度などのデータを基に施設の状態を分析、事故がどう進展し、どれだけの放射性物質が放出されるかを予測する。
経産省原子力安全・保安院によると、緊急事態を想定して1987年に開発が始まったが、これまで実際の事故で稼働したことがない。今回初めて真価を問われたが、原発の電源喪失でデータを測れなくなり、事故直後に機能不全となった。福島第1原発1〜5号機ではデータを測れない状態が続いており、保安院は「今回、事故分析にERSSを使うことは考えていない」としている。
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