http://www.asyura2.com/11/genpatu10/msg/321.html
Tweet |
≪広瀬 隆 著『地球のゆくえ』 第11章 朝鮮半島と核兵器・原子力問題 より抜粋()≫
≪広瀬 隆 著『地球のゆくえ』 第11章 朝鮮半島と核兵器・原子力問題 より抜粋≫
Roentgenium:“経済発展とは、人類史数千年の全ての国家において見られたように、先ず第1に、享楽に溺れる成金になるということらしい。続いて反作用として、そこに少しずつ批判が生まれてゆく。文化と知恵者の反乱が起こってきた。しかし、こうした批判は必ず無視され、恥知らずの人間が知恵を踏み潰してきた。その為、経済成長による過度の機械化や公害、古来の瑞々しい文明の破壊、更には外国への優越感から侵略主義と戦争など、大きな悲劇が発生してきた。そして此処で立ち止まれるかどうかが、その国家の分岐点になる。
我々の前にも、いくつかの道しるべがある。
「人間は、考える葦(あし)である」
このパスカルの言葉は、2重の意味を含んでいるのかも知れない。1つは、私達自身が物事を考えることが出来る、という誰でもが知っている良い意味である。もう1つは、人間は他の動物のように単純な本能に従って生きる生物ではなく、自己の勢力を伸ばそうと考えながら、無数の係争を齎す生物だ、と注意すべき性格である。本書の内容は、恐らくその警告の一部をなしているだろう”(著者あとがき)――。今回は、広瀬 隆さんの著作『地球のゆくえ』から、原子力産業に纏わる第11章を紹介したいと思います。他にも幾つか取り上げたい章があるので、少しずつになりますが、著めていくつもりです。
◆ ◆ ◆
〔広瀬 隆 著『地球のゆくえ』 第11章 朝鮮半島と核兵器・原子力問題 より P.374−P.396〕
■朝鮮戦争の再発と自衛隊の出動
93年末の11月、韓国がアメリカからミサイル500基近くを購入する、というニュースが報じられた。大変な数である。一体、“朝鮮半島”で何が進行しているのだろうか。
その3カ月前に戻ってみよう。一連のニュースの特徴を読み取って頂きたい。
8月25日付けの韓国の英字紙“コリア・ヘラルド”が、次のような大ニュースを伝えた。時期は、日本で細川護煕が首相に選ばれてから19日後のことである。
〔資料〕The Korea Herald
http://www.koreaherald.com/
――北朝鮮で92年に、数百人の技術者が死亡した。それは、国際原子力機関IAEAの核査察を受ける前に、核兵器用の原子炉を隠そうとしている最中に事故が発生した為であった。この重大事故があったことを韓国情報部に伝えたのは、北朝鮮の第583工兵隊に所属するイム・ヨンスン(Im Yong-sun,a first lieutenant)だった――
続いて10月31日付け“ワシントン・ポスト”には、「北朝鮮の核兵器開発が、日本の核武装を刺激する危険性がある」という論文が掲載され、アメリカ議会で議論が巻き起こった。
11月初めには、アメリカの国防長官レス・アスピンが韓国を訪問した。そしてペンタゴン(国防総省)の幹部達から、「北朝鮮軍が、南北の境界線の近くに兵士を大量に結集し始めた・・・・このまま北朝鮮軍が南へ侵攻してくる危険性が高まってきた。現在の韓国軍では、北朝鮮が勝利を収める可能性が高い」というペンタゴンの極秘報告書を入手して発表した。
12月6日付け“インターナショナル・ヘラルド・トリビューン”は、「韓国の首都ソウルは、北朝鮮の攻撃によって恐ろしい悪夢を見る恐れがある」と報じた。
〔資料〕International Herald Tribune(前身は、New York Herald)
http://global.nytimes.com/?iht
既に賢明な読者には、これら一連の“ニュース”の意味がお分かりのはずだ。
“ワシントン・ポスト”は【系図16―国連に仕組まれたPKO―軍需産業とジャーナリズムの危険な関係〔省略〕】に登場したが、“インターナショナル・ヘラルド・トリビューン”も【系図16】、“ニューヨーク・タイムズ”も【系図16】である。“ニューズウィーク”は【系図2―ロスチャイルド家の全ユダヤ金融】の銀行家「ゴールドマン・サックス」一族ジェームズ・サックスが創刊した週刊誌であり、【系図16】にも示されている。戦後の日本の財閥解体を妨害した司令塔でもある。“コリア・ヘラルド”もこれらの同じファミリーの手中で、韓国で発行されてきた。
北朝鮮が韓国に攻め入る?
一体、日本人の誰がそのような話を本気で信じるだろうか。
しかし、アメリカ人は太平洋の彼方から、毎日こうした“ニュース”を読まされ、遥かに遠い朝鮮半島の“出来事”を聞かされれば、今にも朝鮮半島で戦争が再び勃発するのではないか、しかも今度は、北朝鮮が核ミサイルを保有しているのだ、といった妄想に取り憑かれても決して不思議ではない。そして本当に、銃を執って爆撃機に乗り、山のように爆弾を積み込んで出かけてしまう国民なのである。読者は、それをまだ信じていないだろうし、私自身にも、殆ど想像を超えた世界である。ところが同じことを、「ベトナム戦争」で実行し、「湾岸危機」と「湾岸戦争」でやってしまったのである。
彼らは、湾岸戦争ではイラクのフセイン大統領を悪玉に仕立て上げてから、フセインをクウェートに侵攻させ、計画通りに砂漠の大虐殺を実行した。朝鮮半島では、北朝鮮の金日成(キムイルソン)・金正日(キムジョンイル)親子を悪玉に仕立て上げ、同じように核兵器疑惑のマスコミ包囲攻撃をここ数年にわたって続けてきた。我々日本人が気付きにくいのは、「アメリカやヨーロッパの市民には、アジアの市民生活など全く関心が無く、従って殆ど誰も実情を知らない」ということである。軍需産業とジャーナリズムが、好きなように世論を誘導出来るのである。
中国も、朝鮮半島に紛争が起これば黙ってはいないだろう。
しかし日本の国民には、戦う意志も無ければ、実力も無い。日本人には、戦争など恐くて、出来ないのだ。もう何十年もやったことがない。大変に結構なことである。
今でも僅かに残っている戦争好きの連中でも、「自衛隊の実力は、米軍が動けば、厚木基地や横須賀などから危険物が飛んできて、首都・東京が一瞬で壊滅する程度のものだ」ぐらいは知っているのだ。
「国連の御旗を立てて、米軍と一緒に、朝鮮半島を戦場にして戦おう」と言っている馬鹿は、小沢一郎ぐらいのものだ(韓国紙の“朝鮮日報”93年9月23日)。この男には、馬鹿の三乗、ぐらいの形容詞が必要だ。過去、日本人は朝鮮半島で何をしたのか。北朝鮮と韓国は、同じ民族でありながら分断されてきた。しかもアメリカが介在する為に殺し合いをさせられる結果、どのように深い悲しみが再来するか。
戦闘や軍備によって問題を解決しようとするのは、社会科学や政治学しか知らない、浅はかな人間の思考法である。我々にとって大切なことは、北朝鮮という国家がどうなるかではない。何れの体制が勝つかでもない。朝鮮半島に生きている人達が如何にして自由に南北で交流し、離れ離れになっていた家族が一緒に生活出来るか、それが重要なことの全てである。まだかなりの貧困が北朝鮮の国民を苦しめ、北から南(韓国)への亡命者が急増しているという噂や報道も伝えられてきたが、それが事実であれば、国際市場にある米を日本人が買い占め、値段をつり上げてしまったことと無関係であるはずもない。具体的にはどうすれば隣国の人を苦しめずに済むかを、日本を振り返って議論しなければならないはずである。ところが全世界のジャーナリズムが、北朝鮮の人々を追い詰めて、自ら紛争の危機を生み出しているのだ。
北朝鮮の金日成たち幹部・首脳陣は、ここ数年にわたって〔本書は1994年7月刊行〕、東西ドイツが統合された後の経過をじっと見つめてきた。東ドイツの要人達の運命である。国家評議会議長エリッヒ・ホーネッカーが叛逆罪に問われて南米のチリに亡命したように、また秘密警察シュタージに33年にわたって君臨したマルクス・ヴォルフ長官が有罪判決を受けたように、結局このまま南北朝鮮が統一されれば、北朝鮮の幹部達は同じように国際社会の中で一方的に断罪されて、恐ろしい運命に遇うのである。ホーネッカーの犯罪とヴォルフの犯罪は、確かにドイツ人にとって重大なものであったが、それは、ドイツ人が裁くべきことである。
〔資料〕Erich Honecker エーリッヒ・ホーネッカー - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC
〔資料〕Markus Wolf マルクス・ヴォルフ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%95
先程示した利己的なファミリーによって、ありもしない国際世論の批判に晒され、北朝鮮が国際的な経済制裁を受けてゆけば、どうなるだろうか。やがて北朝鮮が経済的に自然崩壊する、という見方をする人もあるだろう。しかしそれは、ルールなしに南北朝鮮が統合され、北朝鮮の民衆が酷い苦しみを舐めることである。いま北朝鮮に生きている人達が、どれほど大きな恐怖感を抱いているかを想像出来なければ、我々は人間として終りである。東側と呼ばれる世界の中で、北朝鮮の人が過去に深い関係を持ってきた東ドイツの状況は、ベルリンの壁が崩壊して以来、北朝鮮に詳しく伝えられてきたはずである。
読者は、北朝鮮の人を恐いと思うだろうか。一糸乱れぬ党大会の拍手や儀礼をニュースで見ていると、全体主義が人間の存在を破壊していると感じるのが、日本での殆どの人の反応だろう。私も同じである。しかし私は、それと殆ど同じ姿を、ハリウッドのアカデミー賞授賞式にも見る。また私は、南北朝鮮の人が自由に交流したり、理想的な結果として“統一”された日のことを想像出来る。その暁には、かつて東ドイツ市民だった現在のドイツ市民と同じように、北朝鮮の人がやはり普通の人間であったことを私達は知ることになるだろう。普通の市民が、全体主義の檻の中で生活しているのである。北朝鮮の人は、同じように私達を見ているかも知れない。日本人は、企業の檻の中で過労死を強いられている、と。日本企業の内部もまた、経済中心の全体主義なのだ。だからこそ、一度仲良く生活してみることが大切だ。かつて統一を夢見た東ドイツ市民の多くは、今では自由化されたことを後悔し、ロシア人の6割はソ連崩壊後3年後に後悔し始めたではないか。
一方の韓国はどうであろう。
≪≪93年夏に、韓国を訪れた時、光州(クアンジュ)事件の現場に案内された。韓国南部にある光州で、此処では、民衆が1万人以上も虐殺された」と説明を受けた。
80年5月の事件である。しかもその虐殺が、米軍に先導された韓国軍人の手で行われたのである。朝鮮半島の統一と、民主化運動に立ち上がろうとした一般の市民や学生に向けて、空からヘリコプターなどで機銃掃射を行い、市街を血に染めた人殺しは、まだ生々しく人々の胸に焼き付いていた。殺された人が葬られている山野の広大な墓地では、ついこのあいだ息子や娘を殺された大勢の両親達が涙を拭い、唇を噛み締めながら花を供(そな)えていた。その人達が説明する言葉の中に、アメリカはここで何をしたのか、アメリカはここで何をしようとしているのか、と激しく叫ぶ声が聞こえた。朝鮮半島の軍閥に絶対的な権力を与え、民主化を妨げてきたのは誰なのか。それは、アメリカ人である。≫≫
〔資料〕華麗なる休暇 - 不 可 視 の 学 院 2008年5月12日
http://black.ap.teacup.com/fukashinogakuin/641.html
〔資料〕光州事件・補足 - 不 可 視 の 学 院 2008年5月19日
http://black.ap.teacup.com/fukashinogakuin/643.html
〔資料〕2つの光州事件 - 日韓会談文書・全面公開を求める会
http://www7b.biglobe.ne.jp/~nikkan/coffee/coffeebreak.files/noda_kwanju_sagon.html
韓国では、93年に金泳三(キムヨンサム)が大統領に就任してから民主化が進められたと国際的に報道されてきたが、現地で多くの人から聞かされた話は違っていた。
「民主化はまだジェスチャーに過ぎない。現在でも、大量の知識人が政治犯として連行されて消えてしまい、戻ってこない事件が続いている。それは、殆どの知識人が知っているように、韓国の軍隊とアメリカの軍隊が共同で行っている作業だ。金泳三が本当に民主化に手をつけなければならないのは、軍隊だ。しかしそれを行えば、彼はこの世から消えるだろう。その為、知識人は大統領と妥協することで忍従している」という話であった。
私には事実を確める術も無いが、もし北朝鮮に収容所や強制労働があり、韓国に政治犯の大量拘束があるなら、そうした緊張状態に朝鮮半島を追い詰めたアメリカをこそ、全世界が追及しなければならないであろう。朝鮮半島の人は、南北がお互いの敵ではなく、全く別な所に犯人がいることを議論し合ってほしい。羽田内閣の法務大臣・永野茂門(ながの しげと)が「南京大虐殺はでっちあげだ」と暴言を吐き、従軍慰安婦の人達を侮辱する発言をした時、韓国では激しい抗議のデモが行われたが、このデモを禁止したのが、“民主化された韓国政府”であった。韓国の人権を弾圧してきたアメリカが、いま北朝鮮の人権問題にまで及ぶ議論を展開している理由は何であろうか。
1つは、アジアが仲良くなっては困るアメリカ・ヨーロッパの金融財閥の要望である。自分達がこの大経済圏から弾き出されることが、非常に恐いのである。
≪≪1つは、それと手を組む日本の財閥からの依頼である。敗戦直後、重大な戦争犯罪人であった日本の財閥にとって、朝鮮半島の人から復讐を受けるのではないかという恐怖は、かなり大きかった。日本の財閥を復活させたアメリカ人が、日本との取引きとして朝鮮支配を続けてきた行動が、現代史の中に潜んでいる。≫≫
しかし最近のテレビ・ニュースを見ていると、更に現実的な北朝鮮叩きの動機は、国連職員の失業問題ではないかと、感じるようになった。彼らは、国際問題が無くなれば殆どする仕事が無くなってしまう。その点で、軍需産業と同じ性格を持っている。必ず“問題”を創作しなければならないわけである。従って、北朝鮮でなくても、何処でも良いことになる。
〔資料〕日中戦争の序章:盧溝橋事件・上海事変・南京攻略 - 鳥飼行博研究室
http://www.geocities.jp/torikai007/japanchina/1937.html
〔資料〕検証:南京事件 日中戦争の序章 - 鳥飼行博研究室 ※凄惨な写真多数あり
http://www.geocities.co.jp/torikai007/japanchina/nanking.html
〔動画〕Google.video - NHKスペシャル「日中戦争〜兵士達は何を見たのか〜 [109分49秒]
http://video.google.com/videoplay?docid=57662481377725235#
〔資料〕従軍慰安婦の真実
http://makizushi33.ninja-web.net/
〔資料〕国連加盟国数の推移(グラフ) - 我が外交の近況 1985年版 外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/1985/s60004801.gif
〔資料〕国際連合機構図(1977年4月1日現在)、他資料
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/1977_2/s52-fuhyou.htm
〔資料〕広瀬 隆 著『国連の死の商人』より要約 - 日本人が知らない 恐るべき真実
http://d.hatena.ne.jp/rainbowring-abe/20060813
〔資料〕資本主義と共産主義はユダヤの両建て主義 - truthseeker's archive 2010年7月27日
http://blog.livedoor.jp/truthseeker/archives/65388637.html
米軍が今、全世界のジャーナリズムを動員して、国際原子力機関IAEAを利用しながら行ってきた北朝鮮攻撃の数々に、日本のジャナーリズムまでが乗ってきたのは、一体どうしたことであろうか。カンボジアへの自衛隊派兵であれほど“アジアへの愛情”を強調したジャーナリズムが、今度は掌を返したように“アジアへの憎悪”を煽り立ててきた。
≪≪目を開いて、朝鮮半島の実態を調べてみる必要がある。IAEAこそ、ソ連のチェルノブイリ原発事故の大被害を隠す為、西側のアトム・マフィアを動員した秘密機関ではなかったか。公式の記録を調べてみよう。
チェルノブイリ事故の直後に開かれたIAEAの総会で、議長を務め、ソ連の偽報告を全世界に認めさせたのが、スイス人のルドルフ・ロメッチであった。ロメッチはその直後の88年、ドイツからパキスタンへウランなどの核物質を密輸した事件、ヨーロッパ全土を揺るがした恐るべき核スキャンダルで断罪されることになった。平和利用の原子力産業が、原爆用のウランを密輸して、パキスタンでの核兵器開発を密かに行っていたのである。プルトニウム4キロを運んでいた張本人が、IAEAの議長だったからである。このような人間が、実際にはIAEAの歴代議長を務めてきた。
そのロメッチが、日本の科学技術庁の招きで、国際放射性廃棄物会議で講演していたのは、87年10月、東京での出来事である。読者は、そのIAEAが、北朝鮮の核疑惑を追及する行為を、理解出来るだろうか。
「北朝鮮」より核兵器を実戦で使う可能性が遥かに高いのは、秘密の原爆を大量に持つ「イスラエル」であり、既に原爆実験を行なったことを認めた「南ア」であり、同じように核開発が行われてきた「パキスタン」であり、「アルゼンチン」であり、「ブラジル」ではなかったか。これらの危険な国には、何故IAEAが査察を行わないのか。日本のジャーナリズムが北朝鮮の核兵器を問題にしながら、日本の青森県・六ヶ所村で建設中の“世界最大規模のプルトニウム抽出工場”を問題にしないのは何故なのか。
この問題には、大変な裏がある。それは、ウランを世界的に支配するロスチャイルド金属財閥の所業である。
イギリス・ロスチャイルド家のナオミ・ロスチャイルドと結婚したベルトラン・ゴールドシュミットが、この国連の国際機関IAEAの原料(ウラン・プルトニウム)部門を支配し、牛耳ってきた。従ってIAEA議長のゴールドシュミットに楯突くことは、誰にも出来なかった。アメリカ大統領でも出来ないことである。それは、ロンドンとパリのロスチャイルド銀行に歯向かうことを意味したからである。既に見てきた金投機の胴元――世界の金融総本山である。
この地球上で、次に大量に殺されるのはどの民族か。
大きな不安がある。
北朝鮮の政治情勢に付け込んで、アメリカ人は朝鮮半島で何かを企んでいる。そのアメリカ人というのは、黄色人種と黒人の血を見るのが好きな、僅かな人数の民族ではないのか。そこに、この章の冒頭で述べたように、93年11月、韓国がアメリカからミサイル500基近くを購入する、というニュースが報じられたわけである。続いて年が明けて94年1月、韓国に駐留している米軍が、湾岸戦争で有名になったパトリオット・ミサイルを配備すると言い始めた。そして3月21日、クリントン大統領は、その配備を決定したと発表した。
一方ロシアは同じ94年1月、韓国に大量殺戮用の最新鋭兵器の売り込みにかかった。ミサイル、戦車、ミグ戦闘機、攻撃用ヘリコプターなど山のような兵器である。北朝鮮で製造されていると言われるミサイル「労働1号」、「労働2号」を迎撃出来るミサイルを買え、と言うわけだ。私は、このミサイルの名前を聞くと、北朝鮮の疲れ切った労働者の姿が目に浮かんで、空に発射されても直ぐに落下するような気がしてならなかった。その後、94年3月29日の朝日新聞が報道したところでは、アメリカが北朝鮮のミサイル発射場の地名「蘆洞(ノドン)」に因んで命名したところ、誰かがそれと同じ読みの言葉「労働(ノドン)」を当ててしまったもので、そもそもこのミサイルが実在するかどうかさえ確認されていないといういい加減な軍事情報に基づいて、全世界の報道がされてきたと言う。
そのようなミサイルが実在したと仮定しても、冷戦時代を生き抜いてきた各国の軍隊にとって、脅威であるはずは無いのだ。余りにも人を馬鹿にした話である。それが、日本海を渡って飛んで来るかも知れない、などと真顔で解説する頭のおかしな人間まで日本に現れてきた。そのようなことをすれば、北朝鮮は一夜で無くなる。金日成には、それぐらいのことは分かっている。
しかし、このように着実に進行する地球の軍事経済がある。しかも、その中心地がアジアに移動してきたのだ。≫≫
■アジアの兵器マーケット
≪≪先ほど第3世界の兵器購入リストで、イラクに次いで世界第2位がインドであったことを示した。そしてカシミール紛争などのように、このインドと隣り合わせのパキスタンやスリランカとの間で、紛争が続いてきた。そこにバングラデシュの紛争が加わる。ここにミャンマーの内乱も加わる。何れも、かつて1つのインド帝国だった国である。
94年1月、このインドが、自前のミサイルを初めて公開した。しかし実際には、インドの軍需産業は、イギリスやスウェーデンのノーベル財閥と深い関係を持ち、ここに莫大な金銭の受渡しがあり、大量の武器輸出が絡んでいた。これが、ガンジー首相暗殺の原因だと言われている。そこに現在では、アメリカ企業が大量に進出し始めた。
アメリカやヨーロッパ、ロシアの兵器が大量に流れ込むことによって、アジアの戦争が引き起こされてきた。日本だけが兵器を買わされてきたのでなく、アジアの国々はそれより遥かに具体的に、人を殺す為に、兵器を買わされてきた。
〔資料〕広瀬 隆 著『赤い楯―ロスチャイルドの秘密 下巻』 要約 第5章 キュリー夫人のパトロン より、【今も弾丸を作るノーベル財閥】
http://www.oct.zaq.ne.jp/poppo456/in/b_rothschild2.htm
〔資料〕広瀬 隆 著『赤い楯―ロスチャイルドの秘密 下巻』 要約(未完) - 日本人が知らない 恐るべき真実
http://www.anti-rothschild.net/truth/part3/find.html
南沙諸島(なんさしょとう、英語でスプラトリー諸島)の紛争もある。
カンボジアの隣は、ベトナムである。このインドシナ半島の東に広がる海域は、南沙諸島と呼ばれ、軍事衝突の危険性を秘めた火薬庫と見なされてきた。その大陸棚は、海底油田と天然ガスの宝庫である。中国とベトナムが実際に武力衝突を起こし、ベトナムの感染が撃沈されて大量の死者を出した所だ。この2カ国だけでなく、南沙諸島の北にはもう1つの重要な国がある。台湾も当然のことながら、南沙諸島の領有権を主張している。そこにフィリピン、マレーシア、ブルネイが利権を主張し、南からはインドネシアが手の伸ばそうとしてきた。こうなると、シンガポールも無縁ではない。南シナ海は、これらアジア諸国にとって、最大級の海底油田を巡る紛争地であり、同時にそのため最も戦争に近い軍事戦略海域になりつつある。ASEAN外相会議で度々議論が交わされ、紛争を避ける努力が続けられてきたが。話はそれで終らない。
ここに何とか戦争を起こしたいと熱望しているのが、アジア諸国でなく、断崖絶壁に立つアメリカとヨーロッパの軍需産業であるからだ。
石油の利権を握っているのは、エクソンやシェルなどセブン・シスターズ」と呼ばれる欧米の石油メジャーだが、彼らが油田を探査し、採掘した後、巨大タンカーに積み込んで世界各地の先進国に運び、化学工場で精製してガソリンや重油を生み出す。更にその後、やはり彼らの手の中で、石油製品が販売され、消費されるのも大部分がこれらの先進工業国である。つまり南沙諸島を巡る石油利権争いは、既に中国〜アメリカの契約、ベトナム〜フランスの契約、ベトナム〜日本の契約、という形で、日米欧の利権争奪戦に様相を変えているのである。これは、決してアジアの紛争ではない。いつかどこかで見た構造である。
〔資料〕石油の歴史 No.40 中東地域と世界石油市場を独占したセブンシスターズ - 痩田肥利太衛門残日録
http://blogs.yahoo.co.jp/futoritaimon/48207575.html
〔資料〕石油の歴史 No.1〜No.62 - 痩田肥利太衛門残日録
http://blogs.yahoo.co.jp/futoritaimon/folder/1441972.html
〔資料〕第4章:イギリスのユダヤ人マーカス・サミュエルの成功物語 - THE HEXAGON ※日本とロスチャイルド財閥、日露戦争にも絡む
http://inri.client.jp/hexagon/floorA6F_he/a6fhe200.html
〔資料〕Daniel Yergin著、日高義樹、持田直武 共訳『石油の世紀―支配者たちの興亡』要約
http://www.oct.zaq.ne.jp/poppo456/in/b_oil.htm
〔資料〕仏ダッソー社 ミラージュF1(戦闘機) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A5F1_(%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F)
〔動画〕YouTube - Dassault MIRAGE 2000 FORCE 4 [6分15秒]
http://www.youtube.com/watch?v=X4wRIE_CvAA
〔動画〕YouTube - Dassault MIRAGE 2000 N [11分22秒]
http://www.youtube.com/watch?v=gKnyQSmhVzc
〔資料〕米ゼネラル・ダイナミックス社 F-16(戦闘機) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-16_(%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F)
〔動画〕YouTube - F-16 vs. MiG-29 fighter jet dogfight - Deblin 2010 [9分57秒]
http://www.youtube.com/watch?v=c-UHWJf0Gk0
〔資料〕YouTube - Northrop F-5E TigerU - SWISS AIR FORCE TEAM [6分32秒]
http://www.youtube.com/watch?v=JVeq7AYB6HI
まさしく中東の湾岸戦争で見た欧米の石油利権争いが、そっくりそのままアジアの海域に移され、密かに事態が進行してきたのだ。
湾岸戦争で主役を演じたイラクとクウェートは、何れもフランスからミラージュ戦闘機を大量に買わされ、同じ戦闘機で戦いを展開した。ところが台湾に対して売込みが始まったのが、同じミラージュ戦闘機だった。フランスは、軍需産業で大量の失業者を出してきたからである。続いて、数千人の首切りを決定したアメリカのゼネラル・ダイナミックス社が、台湾にF-16戦闘機の大量売り込みにかかった。中国はフランスに強く抗議して、ミッテラン大統領に台湾との商談をやめさせたが、まだまだこうした作業は続く。
台湾だけでなく、フィリピンは南沙諸島の防衛強化に走り出し、近くのパラワン島に陸軍特別大隊を配備した。ロシアの兵器メーカー「オベロン」がフリゲート艦など危険な商品をそのフィリピン海軍に売りつけ、紛争を炊きつけてきた。しかもロシアは、台湾とマレーシアにも、かなりの兵器売り込みを計画している。
〔資料〕ノーボスチ・ロシア通信社
http://jp.rian.ru/
最近では94年1月、イギリスがマレーシアの東海岸に秘密の軍事基地を建設中と伝えられた。97年に香港が中国に返還された後、マレーシアが東南アジアでの重要な戦略基地になると言う。つまり香港は、イギリスの重要な軍事基地だったのである。
≪≪こうして今や、アジアが世界最大の武器輸入市場となった。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が発表した92年の軍事年鑑によれば、既に91年の武器輸入でトップを占めるまでになったのが、我がアジアであり、その数字は、全世界の3分の1(34%)にも達した。その危険物を輸出した責任者が、「平和」を口にする国連の安保理常任理事国5カ国であった。
〔資料〕ストックホルム国際平和研究所(SIPRI) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A0%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%B9%B3%E5%92%8C%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80
アジアの紛争は、アジアの兵器輸入と重ねて解析されたことがない。≫≫
日本はどうなのか。
■自衛隊の実態と人員
自衛隊は、既に実質的にアメリカに次ぐ世界で第2位の軍事費を誇る、れっきとした軍隊である。グラフ〔省略〕を見て頂きたい。92年度で見ると、中国の国家予算は9兆9413億円だが、日本の防衛予算は、4兆5518億円である。あの大国家・中国の国家予算の半分近い大金を投じて〔本書は1994年7月刊行〕、日本が毎年最新型のミサイルや戦闘機、戦車、軍艦を買い続けてきた【図6―日本の防衛予算とアジアの国家予算】。
けいざいを成長を続けてきた韓国と比べてみよう。その国家予算は5兆4769億円だが、殆どそれと同じ金額が、日本では軍隊を育てる為に使われ、しかも毎年その防衛予算が増加してきた。東西対立が消えた後、OECD諸国の中で防衛予算が増加した国は、世界でただ1つ、この日本だけであった。それでも毎年、「今年の防衛予算の伸びは極めて小さい」といった書き方の新聞見出しが掲げられてきた。これは、「いまだに防衛予算が増え続けている異常事態」と、大きく書かれるべき現象である。
〔資料〕OECD(経済協力開発機構) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%8D%94%E5%8A%9B%E9%96%8B%E7%99%BA%E6%A9%9F%E6%A7%8B
一体、アジアの人は、この異常な軍備強化を続けている日本人を、どう見ているのだろうか。
「日本は、軍備を強化しているだけでなく、今や軍事技術に直結するエレクトロニクス技術では世界でトップにある。自動車の技術を、軍事用に転用することは、極めて容易である。更にフランスから大量のプルトニウムが日本に向けて輸送された。その量は、これからイギリスから輸入される分も合わせて、今後20年間に、実に30トンにも達する。プルトニウムは、最も容易に原爆・水爆に転用しやすい核物質であり、長崎に投下されたクラスの原爆1個を製造する為に必要なプルトニウムは、僅か10キログラムである。30トンは、その3000倍を意味する。このプルトニウムは、高速増殖炉で使用されるエネルギー用だと言われているが、実際にこの地球上で、実用化された高速増殖炉は1基も存在しない。世界でトップにあったフランスの高速増殖炉スーパーフェニックスが増殖運転を停止した現在、日本の原子力界の説明は、極めて疑わしい。日本人は、何を目論んでいるのか。北朝鮮の核疑惑どころではない、巨大な核開発が進行しているのではないのか。充分に巨大な軍隊が一人歩きを始めようとしているのだ」
これが、アジアの声である。
その為に、アジア全土が、武器市場でますます燃え盛っている。
〔資料〕高速増殖炉 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E9%80%9F%E5%A2%97%E6%AE%96%E7%82%89
〔資料〕福島原発以上に危険性のある高速増殖炉『もんじゅ』で今起きていること - Dive into the Tech World! 2011年4月6日
http://getnews.jp/archives/109213
アジア全土の人は、日本の自衛隊の海外派兵にも強く反対している。このような状況の中で自衛隊が海外に出てゆくことに、日本人以上に大きな不安を抱いているからである。
日本人にとっては、アジアと地球全体を考えてゆかなければならない時期にある。アメリカとヨーロッパだけに敬意を払う日本人では、とてもアジアでの信頼関係は望めない。またアメリカとヨーロッパに住む財閥ではなく普通の市民は、同じようにプルトニウム利用と自衛隊の海外派兵に強く反対している。少なくとも私の友人は、全員がそうである。これまで日本で進められてきたPKO出陣の決定は、日本人がアメリカやヨーロッパの利権者から良く見られたいという「日本人の、日本人による、日本人の為の」ものでしかなかった。はっきり言えば、韓国で人殺しを重ねてきたアメリカの軍隊出動と殆ど同じ性格を持った偽善である。
アジアの人が恐れているのは、我々日本の市民に対する恐れであると言ってもいい。私の友人である在日の韓国・朝鮮系の人達は、「日本人に対して、関東大震災当時の恐怖を感じるようになった」と、異口同音(いくどうおん)に語っている。当時、デマ〔正力松太郎が関与〕に煽動された日本人が、各地で朝鮮人を虐殺したからである。その恐怖を理解出来ずに朝鮮半島の危機を煽ってきたジャーナリストは、良識を疑われるであろう。
〔資料〕征矢野仁(木村愛二)著『読売新聞・日本テレビ グループ研究』 Web無料公開
http://www.jca.apc.org/~altmedka/group-00.html
〔資料〕木村愛二 著『読売新聞・歴史検証』 Web無料公開
http://www.jca.apc.org/~altmedka/yom.html
〔資料〕工藤美代子 著『関東大震災―「朝鮮人虐殺」の真実』(産経新聞出版 2009年12月刊行) ※産経による異論
http://www.amazon.co.jp/%E9%96%A2%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD%E3%80%8C%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E4%BA%BA%E8%99%90%E6%AE%BA%E3%80%8D%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F-%E5%B7%A5%E8%97%A4%E7%BE%8E%E4%BB%A3%E5%AD%90/dp/4819110837
〔資料〕義烈団 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%A9%E7%83%88%E5%9B%A3
ここに、日本の憲法問題がある。
憲法を変えようとしている人達にも、憲法を守ろうとしている人にも、また何故「実生活には何の意味もなく感じられる憲法」をこれらの人が議論しているか不思議に思う人にも、みな、次のようなアジアの人々の感情を知って頂きたい。
日本の国会で、戦乱地域における国連のPKO活動に協力する為の軍隊出動法(PKO協力法)が、92年6月15日夜、過半数の国会議員の賛成によって成立した。しかし、日本の憲法は、「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と明記してきた。
つまり世界各地に派遣される日本の自衛隊は、明らかに違法という国家の大原則を破って存在し、海外でのPKO活動に参加する。この事実は、誰でも知っているが、外国から見て深刻な問題は、そのことにあるのではない。「過半数の国会議員が、憲法を破ることに何一つ疑問を抱かない異常な国家」が日本であり、その議員を選挙によって支えてきたのが日本の国民であり、その日本人の中で育てられた軍隊が海外に踏み出そうとしている関係こそ、アジアに最大の不信感や不安や恐怖を与えている点である。
〔資料〕国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%A3%E5%90%88%E5%B9%B3%E5%92%8C%E7%B6%AD%E6%8C%81%E6%B4%BB%E5%8B%95%E7%AD%89%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8D%94%E5%8A%9B%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B
憲法というものは、少なくとも殆どの国においては、日本のように勝手に捻じ曲げて解釈する為に存在するのではなく、その国家の行動の原則を定め、理想を謳っているはずのものだからである。最近、憲法の下に置かれるものとして、“平和基本法”を制定しようという動きが有識者の間で高まってきた。現在の捻じ曲げられた憲法の精神を甦らせる為、実質的な軍隊である自衛隊の存在を認識した上で、これを縮小して全世界の平和をつくり出そうという法律である。この法が、軍隊の縮小を明確に定めることが出来るなら、大きな意味を持ってくるだろう。
これまで、従軍慰安婦や強制連行の問題が絶えずニュースに流れながら、こうした理性を中心にした考え方が、PKO問題について日本のジャーナリズムでは殆ど見られなかった。それは何故なのか。
日本のジャーナリズムの特徴は、新聞のコラムが充実していることである。そこで筆を執っていいる人の意見は、ユダヤ人問題を除けば、殆どが見識の高いものである。豊かな経験と、かなりの洞察力を持って、国際的な論調に警告を発してきた。ところが、同じ新聞の報道記事や論説は、いつでも危険な、或いは曖昧な口調で、アメリカ・ヨーロッパに追随する内容を無批判に大きく掲げてきた。これは、調査分析する作業に問題があるからだと思われる。コラムに執筆する人は、ニュースに惑わされないが、現場の記者達が外電に躍らされているのである。善意に解釈すれば、決して悪質なのではなく、解析する時間がなく、多くが無知による間違いを犯しているのだ。
そのような状況の中で、もう1つの可能性が日本に残されている。
最も身近で、恐らく避けきれずに起こるのは、原発の大事故だろう。
(2頁へ続く)
(1頁からの続き)
■原子力産業の絶望的状況
何年も経たずに、第2のチェルノブイリ事故が、全世界の何処かで起こることは間違いない。その可能性が一番高いのは、日本である〔本書は1994年7月刊行〕。原子炉は酷く老朽化して、国民はそれを知らずにいる。
日本人の3大危機は、原発事故、戦争に巻き込まれること、自然が崩壊してゆくことに尽きるが、戦争と自然破壊は、これから日本人が高い意識を持って行動すれば、人間の意志でかなり食い止めることが出来る。最も近い将来の悲劇として必然的に起こるのは、原発事故だろう。既にチェルノブイリ事故の後、福島と福井で、日本人が奇蹟的に大惨事を免れる断崖絶壁の危機を体験してきた。
〔資料〕国内外の原子力事故 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E4%BA%8B%E6%95%85
〔資料〕福島原発以上に危険性のある高速増殖炉『もんじゅ』で今起きていること - Dive into the Tech World! 2011年4月6日
http://getnews.jp/archives/109213
この原子力産業全体の状況は、次のように要約出来る。
≪≪1つは“希望的状況”である。86年のチェルノブイリ原発事故は、全世界の原子力産業を経済崩壊させたと述べたが、特にその結果が鮮明に現われたのは、全世界のトップを走っていたフランスの原子力産業だった。フランスでは、原子炉を「フラマトム」という国営会社が一手に製造する独占的な産業シンジケートを形成してきた。中心にあったのは、勿論、全世界の鉱山利権を独占するロスチャイルド財閥であり、【系図2〔省略〕】と【系図6〔省略〕】の支配者が国家ごと動かしてきた。業界ではウラン・カルテルと呼ばれ、「フラマとム」の最大株主として、ロスチャイルド傘下の民間企業「アルストム・アルカテル」社が44%の株を保有していたが、94年1月に発表された93年の決算では、この企業グループが大損失を計上したのである。
しかもこれから94年以降にかけては、更に急激な売上げの減少が予測されていた。原子炉の受注がゼロになり、展望のないところまで落ち込んだ同社は、このままでは国家財政に悪影響を与える為、民営化の対象としてエリゼ宮〔フランス大統領官邸〕の窓から投げ出されることになった。
〔資料〕Areva SA アレヴァ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%B4%E3%82%A1
〔資料〕Areva NP(Areva SAの傘下企業。Framatomeを母体とし、三菱重工と提携) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%B4%E3%82%A1NP
〔資料〕海江田通産相は、アレバに協力要請? - THINKING LIVE 2011年4月7日
http://blog.goo.ne.jp/thinklive/e/af1805543481c824640a577542cb49bd
〔資料〕原子力の維持・拡大に向けた主な動向 - 2007年(平成19年)11月16日 内閣府原子力政策担当室(全39頁中8〜9頁、他)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/vision/siryo/vision04/siryo2.pdf
ドイツの原子力産業も同様だった。原子炉の製造を独占してきたジーメンス社の決算が93年に深刻な数字を示した。しかしドイツでは既にこの状況を予測し、また、増加の一途を辿る処分不能の高レベル放射性廃棄物の問題を考えて、2大電力会社の「フェーバ」と「ラインヴェストファーレン電力」が92年10月にコール首相に実質的な原発撤退政策を提唱したのである。
石油火力などによる酸性雨の実害が、ドイツでは日本より遥かに深刻だったが、原発と石油火力の両方を削減する方向へ、ドイツは歩み出した。しかも極めて深刻と言われるドイツ経済の中で、その電力会社「フェーバ」の決算は、殆ど無傷と言ってもよい数字を93年に示した。
「原発がないと停電する」という言葉が、原発推進用の宣伝文句に過ぎなかったことを、原子力の帝王と見なされてきた電力会社自身が証明し始めたのである。ジーメンスのような原子炉メーカーが暴利をむさぼる為の、一種の脅迫に過ぎなかったのだ。
むしろ、原発の事故1つが、ソ連のように国家の経済を根底から崩壊させる危険性について、ドイツ人実業家の認識は極めて高い。日本の政財界は余りに不勉強である。方針を変更すれば、人間はどの方向へでも進むことが出来る。
〔資料〕Siemens AG ジーメンス - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%B9
〔資料〕再生可能エネルギーと原子力発電に関するEU、ドイツの政策に注目 - 北海道大学演習林研究報告 2006年3月
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/21491/1/63(1)_P1-32.pdf
ウラン・カルテルの中核企業も、大打撃を受けてきた。ユーゴ内戦に登場した「国連の武器密輸事件」のロスチャイルド・ファミリー会社、ドイツの巨大なメタルゲゼルシャフトは、93年に倒産寸前の危機にまで陥った。石油事業に手を出して大きな欠損を記録したのが直接の原因だが、その穴埋めを出来ないほど本来の金属事業が弱っていたからである。同社の社名はただの「金属会社」を意味するドイツ語だが、イギリスの「リオ・チント・ジンク」社と共に、全世界の鉱山カルテルの総元締めとなり、250の企業を擁するコングロマリットである。かつて70年代には、天然ウランがキロ当たり100ドルまで上昇したが、92年にはその5分の1以下にまで暴落してきた。
〔資料〕デリバティブ利用の失敗例に学ぶ―メタルゲゼルシャフト社のケース― - 一橋大学 花枝英樹
http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/11934/1/ronso1200500420.pdf
〔資料〕Rio Tinto-Zinc - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%88
〔資料〕講演録:ロスチャイルド関連の世界史1900〜現在 - Anti-Rothschild Alliance
http://www.anti-rothschild.net/lecture/rothschild_04/04_next.html
こうした中で94年1月、ウクライナの核兵器を解体して出てくる濃縮ウランをアメリカが引き取ることになった。クリントン大統領は、捨て値のウランを買う取引きを結んだわけだが、恐らくその背後には、暴落するウラン価格を必死で維持する為の底上げ効果も含まれていただろう。しかし94年2月に、オリアリー・エネルギー長官のもとで原子炉予算の大幅な削減を決定したクリントン大統領である。業界全体は、地獄にまで来ている。
チェルノブイリ原子炉周辺の住民についての健康追跡調査は、IAEAが大きな壁として立ち塞がり、妨害行為を続けてきた。その為、公式には現在まで一度も疫学的に実施されていないという重大な問題を残している。しかしヨーロッパ資本を中心としてオーストラリア・カナダ・南アの鉱山業者が組み立ててきたウラン・カルテルはこの事故によって経済崩壊し、それがアメリカ・イギリス・フランス・ドイツの原子力先進国に原発撤退の政策を選択させつつある。
日本においても、若者が原子力産業に就職しなくなった為、業界では内部崩壊が深刻である。
このような状況にあって、原子力産業が自然消滅する運命は、もはや決定的になっている。以上が、我々人類にとっての希望的な動きである。しかし、自然消滅する迄には、まだかなりの時間がかかる。そこに、“悲観的な状況”が展開しているのである。
原子炉の老朽化によって、全ての国で、大事故の危険性が日毎に高まってきたからである。それに対して、経済的な事情が悪化しているこの産業では、効果的な対策が殆ど取られていない。むしろ逆に、追い詰められた原子力産業が国際的な運命共同体として、事故や放射能被害の隠蔽(いんぺい)と過小評価に奔走(ほんそう)してきた。市民が、非常に危ない状況に置かれているのである。
一方、ソ連の核兵器・原子力産業の崩壊は、これを受け継いだロシアの上に暗い雲として圧し掛かっている。93年4月におけるシベリアの再処理工場「トムスク7」の爆発事故、10月における日本海への放射性廃棄物の海洋投棄に象徴されるように、極めて深刻である。このロシアの核兵器・原子力産業の失業者を救済する為、アメリカのゼネラル・アトミック社(ウラン・カルテルのシェル系列)とヨーロッパ復興開発銀行(東ヨーロッパ救済の金融機関)の手によって、G7の莫大なロシア救済資金がシベリア原子力産業に投入されようとしてきた。その為これが、アジアや中東へのウラン・プルトニウム輸出の突破口になる危険性が残されている。
日本国内の問題は、大事故の危険性だけではない。
全世界で完全に破綻した技術をアメリカ・ヨーロッパ・ロシアから導入して、壮大な生体実験がスタートしようとしているのである。92年に始まった青森県・六ヶ所村の再処理工場の建設⇒94年における福井県の高速増殖炉「もんじゅ」の臨界⇒94年末にフランスからの返還が始まる高レベル廃棄物の処分不能の問題、という結末が待っている。全て絶望的な技術であることが明らかになったこれらの「核燃料サイクル」に、電力会社が借金の10兆円を投資して、回収不能になることが既に分かっているのである。その実態は、『ドイツの森番たち』に詳しく報告したので、株価に不安を持つ人は是非一読されたい〔本書は1994年7月刊行〕。
兜町には、こうした事情が全く知らされていない。その為、未だに電力会社は安定株だと見なされているが、電力会社の不良投資10兆円を背負っている日本人に対して、全世界の人が「大丈夫か」と質問してくる状態である。日本では、原子力に関して正常な判断を出来ない状態にある。
〔資料〕六ヶ所再処理工場・使用済み燃料貯蔵プールにおける事故時の放射能放出に関する計算書 - 原子力資料情報室(CNIC)
http://cnic.jp/files/rk-sf_acc2006.pdf
〔資料〕福島原発以上に危険性のある高速増殖炉『もんじゅ』で今起きていること - Dive into the Tech World! 2011年4月6日
http://getnews.jp/archives/109213
〔資料〕日本の原子力発電の概要 主契約者、他データ(2010年5月現在)
http://www.jaif.or.jp/ja/joho/presskit2010-10-18.pdf
〔資料〕映画レビュー:『核分裂過程―ヴァッカースドルフ再処理工場を止めた5万人の闘い』 - Actio 2008年5月29日
http://actio.gr.jp/2008/05/29063606.html
〔資料〕南ドイツ・バイエルン州の田舎で核工場から森を守った人々―広瀬 隆 著『ドイツの森番たち』(集英社 1994年)より要約
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~kwatanab/Ztaikai/2000.html
〔資料〕核大国 フランス、そして日本 - 細野豪志ブログ 2007年5月6日 ※細野氏曰く“MOX for Peace”なのだそうだ
http://blog.goo.ne.jp/mhrgh2005/e/5145286532dbd6f02b42cd1885d4cb59
〔資料〕原発推進の正体は「日本列島を核の墓場にする計画」だったのではないか - 反戦な家づくり 2011年4月1日
http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-1011.html
〔資料〕AC(アド・カウンシル)ジャパンの洗脳広告は、直ぐにプロパガンダに転用出来る - Kaleidoscope 2011年4月1日
http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-414.html
〔資料〕二次災害を誘発している被災者に無関心な人間達 - Kaleidoscope 2011年4月20日 ※ここで目を覚まさなければ、本当に“終り”だろう。
http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-457.html
〔資料〕そして誰もいなくなった・・・・ - Kaleidoscope 2011年4月28日
http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-483.html
〔資料〕東電、御用学者、クズ記者、原発文化人、これで終わりです - Kaleidoscope 2011年4月30日
http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-491.html
〔資料〕私の通ってきた道 - 与謝野 馨 ホームページ
http://www.yosano.gr.jp/myload/04.html
〔資料〕財団法人ジョン万次郎ホイットフィールド記念 国際草の根交流センター 役員名簿(平成23年4月現在) ※理事に勝俣恒久・東京電力取締役会長、他
http://www.manjiro.or.jp/jpn/foundation/index02.html#directors
日本だけで、このままゆけば広島原爆の死の灰を120万発分も生産し、それをこの国内で少なくとも1万年以上管理しなければならないが、その技術はこの地球上に存在しない。その最終処分場の候補地が47都道府県の何処になるか、ということさえ決定していない。
いやそれ以前に、フランスやドイツ、ロシアから輸入した“過去の破綻した技術”で第一歩を踏み出した福井県の高速増殖炉「もんじゅ」は、大事故の危険性が余りに大きいので、直ぐにもプルトニウムが北陸から日本の中心部を壊滅させる可能性が高い。その結果、日本経済は完全に破綻する。現在のロシア人より、100倍も悲惨な国民になるのだ。アメリカ、フランス、イギリス、ドイツが相次いで撤退したのは、その為である。
地球のゆくえ、それは「何処にゆくか」ではなく、「何処に向かわせるか」の選択だというのが、私達ごく普通の市民の道だろう。
〔資料〕「原爆ホロコースト」の実態 - HEXAGON
http://hexagon.inri.client.jp/floorA4F_ha/a4fhc700.html
〔資料〕広瀬 隆 著『地球のゆくえ』(集英社 1994年7月刊行)
http://www.amazon.co.jp/%E5%9C%B0%E7%90%83%E3%81%AE%E3%82%86%E3%81%8F%E3%81%88-%E5%BA%83%E7%80%AC-%E9%9A%86/dp/4087751759
◆ ◆ ◆
(全2頁完)
※一度資料を飛ばしてざっと文章だけを読み、二度目に資料に目を通しながら読み進めると、読みやすいのではないかと思います。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素10掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。