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東電の福島第一原発事故について政府により賠償の範囲と指針を定めるための審査会が行われていますが、議事の内容について日弁連会長が声明を発表しています。
これらは風評などにより被害を受けた人が東電に損害賠償を請求する際の参考になると思われることから、ここに転載します。
また、東電が原賠法3条のただし書(異常に巨大な天災地変の場合の免責)の適用が受けられるかが、株式市場などで注目されていますが、その事についても言及があります。
声明では原子力損害賠償紛争審査会において東電は免責の主張をしておらず、政府も東電に責任があるとの前提で同審査会を設置しているとされており、東電が免責されることは有り得ない状況になっています。
※公的な審査会において免責の主張をしないことは、法的には承諾した同等に看做されます。したがって東電が訴訟を起こしても法的に免責されることは有り得ません。ただし内閣が変わり、免責を方針としてしまえばそれまでですが・・・・・
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出典 http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/110428.html
原子力損害賠償紛争審査会における一次指針の策定に関する会長声明--(日本弁護士連合会)
福島第一原子力発電所の事故を受けて、本年4月11日に原子力損害賠償紛争審査会が設置され、これまで2回の審議が行われたところ、その議事において、4月28日にも、損害判定の目安となる第一次の指針が示される予定となっている。
まず、同事故を巡っては、当初、原子力損害の賠償に関する法律(「原賠法」)3条ただし書(異常に巨大な天災地変の場合の免責)の適用の可否が問題とされていたところ、東京電力からはその旨の主張はなされておらず、また、政府も東京電力に責任があるという前提で同審査会を設置しており、さらに同審査会においてもこれを前提に被害の一部の早急な賠償として一次指針が取りまとめられている。
東京電力の免責を認めないこの対応は、迅速かつ公正な被害救済として、評価できるものである。
2 第1回、第2回審査会の議事においては、一次指針として、以下の各点について合意された。
(1) 避難地域等の対象としては、避難・屋内待避地域(30キロ)だけでなく、計画的避難区域・緊急時避難準備区域を含む。避難費用や宿泊費については、手続の簡素化、定額化、月払いなど迅速かつ簡便な救済を考慮する。
(2) 農業・漁業の損害については、県単位(たとえば福島県産というだけ)で被害が出ているのであるから、その損害は、出荷停止措置がされた品目、地域、期間にとらわれることなく、損害として認めるべきである。
(3) 精神的苦痛に対する慰謝料も認めるべきである。
(4) 地震・津波による損害と原子力損害とが明確に分けられず、原子力損害であることが否定できない場合には、原子力損害と考えるべきである。
これらの各点についても、いずれも被害の実情に見合った適正なものであると評価できる。
3 当連合会は、同審査会が上記の議事内容を反映した一次指針を速やかにまとめ、東京電力が被害者に対して速やかに賠償義務を果たすことを要望する。
同時に、当連合会は同審査会に対し、以下の諸点に留意して、その他の事項についての指針も速やかに取りまとめることを要望するものである。
(1) 原子力損害賠償紛争審査会及び今後審査会内に設置される部会等には、被災地自治体の代表や被災住民の直接の法律相談を担当している弁護士や当連合会推薦の弁護士など、今回の原子力災害の複雑な実情を正確に把握している者を委員に含めること。
(2) 被害の実態について十分な調査を行うこと、被害者及び利害関係人等の意見を十分に聴取すること、また、被害の実情に関する情報公開が徹底されるようにすること。
(3) 放射性物質が広範囲に拡散したことによる放射能汚染については、土壌を除去するなどして原状回復する義務を第一次的義務とすべきこと。
(4) 地域社会のつながりを重視し、コミュニティの維持を図るために必要な費用についても賠償基準を設けること。
(5) 各種の事業損害の被害回復は、原則として売上げ額の減額金額を基準とすべきこと。
(6) 警戒区域・計画的避難区域・緊急時避難区域からの部品・農産物等の仕入れ不能及び出荷停止措置並びにそれに関連する農水産物の仕入れ不能による営業損害も、対象区域内の業者の営業損害と同様の基準で補償対象とすること。
(7) 工業製品や、観光業における風評被害についても、現実に被害が発生している実情をふまえ、賠償基準を設けること。
(8) 警戒区域・計画的避難区域・緊急時避難区域外の住民の自主避難による損害についても救済対象とすること。
2011年(平成23年)4月28日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児
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