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(平成23年4月29日 午前10時)
(この記事は、ある市の給食問題を取り上げたものを書き直したものです。書き直した理由は、私はこれまで、
「個人を批判せず、意見を批判する」
というのが信条で、今までも首相、東大総長など限られた人以外は、個人の批判を控えてきました。
しかし、このところ、市長などが市民に被ばくを強制する例が目立ち、つい具体的な市長の名前で批判をしました。
でも、やはり個人を批判すると論点が曖昧になりますので、書き直しました。内容はほぼ同じです.)
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食材が汚染し、子供が被ばくしています。
その中で、福島を中心として学校で「地産地消」の食材を使った給食を実施しているようです.
福島ばかりではなく、東京などでも「災害地の農産物を使おう」というキャンペーンなどがあり、給食に「規制値内の野菜」が「安全なもの」として使われて、お母さんを心配させています.
給食の問題は複雑で、これまでもいくつかの論争がありました。
それらは、いずれも学校というものが「集団の規律を教えるところ」なのか、「自由な個人を育てるところなのか」でした。
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給食は児童が一斉に食べますから、一人の児童が「わがまま」を言うと、給食自体が成り立たないという面があります。
一方では、憲法で「思想信条の自由」が認められていて、たとえば宗教上の理由で豚肉が食べられない児童に対して、どのように考えるかという問題があります。
このように給食の問題は、二つの見方がありますが、
「放射線で汚染されている食材を使った給食を児童に強制できるか?」
「市長、教育委員会、校長、給食担当専門家は、それを決める権限があるか?」
について考えてみたいと思います.
なお、「汚染されている野菜」とは、
「規制値内だが、普段に比べて汚染が見られる場合」
とします。つまり、規制値を超える野菜はもともと販売されていないと仮定します。
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従来からの給食問題の議論は、アレルギーの子供の場合と、給食費が払えない親の問題です。これを「行列のできる法律相談所(2006年)」から見てみましょう。
問題は「アレルギーのある子供は当然、弁当が許されるが、アレルギーのない児童の給食拒否、弁当持参を禁止する教師は違法なのか」という設問です。
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【橋下徹弁護士】
弁当禁止は違法ではない。義務教育というのは英数国理社の科目を教える場ではない。
集団ルールを教えるのが義務教育で一番重要な事。アレルギーの場合は食べない自由は当然であり、弁当は許されるが、そうでない時に給食を食べない自由を許すと、授業を受けない自由や、体育の科目ごとに授業を受けない自由など、どんな自由でも許されるのかという事になる。 自由、自由と言っていたら集団ルールを守れるような子供には成り立たないので、弁当は禁止するべき。
【北村晴夫弁護士】
弁当禁止は違法である。給食を強制するため弁当を禁止するのは違法! 学校給食の目的は、集団行動を教えるためではない。 子供の成長の為、栄養を補給させる為である。
経済的理由や母親が弁当を作る時間がない子供の為に支給している。 集団行動を教えるために「これを食べなさい」と強制するのは本末転倒であり、目的を取り違えている。
学校は「人はそれぞれ違うのだからいじめてはいけませんよ」と教えるべき。「イジメにあうから主義・主張と違うものを食べなさい」というのはおかしな話である。
【住田裕子弁護士】
弁当禁止は違法である。今の世の中の流れとしては「多様性」。
健康上や宗教上の理由、ライフスタイルの信念など、ある意味では正当な理由があってやりかたも相当である限り、弁当持参は認めるべき。
【丸山和也弁護士】
弁当禁止は違法である。教育というのはそれぞれの生徒の個性を引き出してそれを発展させていくことが目的であって、画一的な教育というのは、日本の場合、強すぎるので、そう言うところは自由にしていったほうがのびのびした人間に育つ。
学校が弁当を禁止するのが違法という弁護士が多いのが現状です。
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この議論で判るのは、
1. 法律違反をしてまで学校側が弁当を禁止できない(レベル1)、
2. 児童の健康に影響がある時は弁当を禁止できない(レベル2)、
3. 社会は多様化しているのだから、合理的な理由があれば弁当を禁止できない(レベル3)、
4. 給食は家庭の事情で弁当を持って来ることができない児童のための栄養補給であり、弁当禁止などはまったくできない(レベル4)、
という感覚の差があり、昔でも「レベル1合格」は当然で、今は「レベル3合格」ぐらいのところが社会通念だということも判ります。
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これから見ると、「地産地消」という意味で、福島県の小学校が「福島産」の食材を給食に使うときに、保護者がそれを拒否できるかと言う問題を考えてみたいと思います。
まず、文部省が所轄する法律「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」によると、
1. 放射線の被曝はできるだけ少なくすること、
2. 児童(一般人)の被ばく限界を、食品からの内部被ばくも含めて1年に1ミリシーベルト以内にすること、
としています。
また、左の図は文科省の通達ですが、文科省(科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室)は現在のホームページに法律の改正で被ばくをみだりに増やす行為に対する罰則規定を強化しています.
ここでは、「一般公衆の線量限度」を1年間1ミリシーベルトとし、かつ「放射性廃棄物」を排気するときの「クリアランスレベル」として、「1年間10マイクロシーベルト以下」としています.
つまり、「被ばくはいろいろなことが原因して起こるので、1つのことで規制するときには、規制値の100分の1」という通常、食品安全などに使われる考え方をそのまま踏襲しています。
(機会を見て「社会の安全を保証する100分の1のルール」についてお話しをします。)
だから、
1. 今、文科省が勝手に「1年1ミリシーベルト」を「1年20ミリシーベルト」にしているが、これは「有罪」で、1年以下の懲役刑になる、
2. 「この食材は大丈夫」というためには、1年間10マイクロシーベルト以下(規制値の100分の1)でなければならない、
と文科省自身がそのホームページで言っていることです。
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つまり、福島産、茨城産のように、現在は1年に10マイクロシーベルト以上の野菜や牛乳が多いので、その食材を給食に使用することは「文科省の法律違反、懲役になる」ことであり、議論の余地無く、学校は給食に「汚染されている可能性のある食材」は使えない事になります。
よく「安全です」という用語が使われますが、給食の食材のような場合は、この文章で出てくる「クリアランス・レベル」を満足していなければなりませんから、「規制値以下」ではありません。
また、給食担当者は単に「安全なものを使用している」というのではなく、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムの量を具体的に示さないと、民主主義ではありません。
文科省も先生方も、文科省の法律を犯してまで、児童を被ばくさせようとしないでください。
また、市長や教育委員会は「お殿様」ではなく「公僕」ですから、自分の考えで勝手に行動はできませんし、市民を指導することなどもっての他です。
(平成23年4月29日 午前10時 執筆)
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