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2011年11月24日 (木)
戦争と経済崩壊への道
Paul Craig Roberts
2011年11月23日
感謝祭の祝日前日に、三つの目ざましいニュースがあった。一つは共和党大統領選挙戦討論の報道。一つはロシアを取り囲むワシントンのミサイル基地へのロシアの対応に関するロシア大統領声明。そして、もう一つはドイツ国債の入札割れ。
売女マスコミは、こうしたことがどういう意味なのかを説明しようとしないので、小生が説明してみたい。
いずれの党の中でも、アメリカ大統領になるべき資格がある唯一の候補者ロン・ポールを除き、彼以外の共和党大統領候補者達は、国を背負うべき大統領でありながら、アメリカ人を特別利害関係者に売り渡したオバマよりもひどいくらいだ。
記憶の中の、新たに選出されたどの大統領も、ジョン・F・ケネディでも、ロナルド・レーガンでも、その選出に対して、バラク・オバマほどの並外れた反響はなかった。記録破りの膨大な人数の人々は、大統領就任宣誓を見るため、寒さをものともしなかった。テレビ放送される巨大画面以外では式典を見ることができないアメリカ人で、米国国会議事堂から何マイルにもわたり、モールは一杯だった。
有権者を、自分は、戦争を終わらせ、アメリカ政府による法律違反をやめさせ、違法な拷問をする政権を終わらせ、グアンタナモの拷問監獄を閉鎖させるし、軍/防衛産業複合体のポケットを、納税者のお金でふくらませるのではなく、アメリカ人が本当に求めているものに耳を傾けたいと、オバマは説得したのだ。
大統領の座につくと、オバマは、ブッシュ/チェイニー/ネオコン戦争を、再開し、拡大した。ブッシュ政権の米憲法に対する攻撃を、彼は正当であると認めた。彼は、ウオール街に、アメリカの経済政策をまかせきりにし、ブッシュ政権の犯罪を赦し、超富豪の経済的福祉を維持するのに必要な財政負担を、アメリカ国民に押しつけた。
これほど全く目茶苦茶な大統領なら、打ち負かすのは容易だろうと人は考えがちだ。歴史的機会を得て、共和党は、党の支持を得ていないロン・ポールを除き、アメリカ人がこれまで出会ったものの内で、驚くべきほど愚劣で下劣な候補者の一群を、有権者の前に差し出した。
11月22日の大統領選"討論"で、ロン・ポールを除く候補者達は、自分たちが警察国家を支持する無教養な主戦論者の一群であることをさらけ出した。ギングリッチとマケインは、イスラム教徒は"アメリカ国民を皆殺しにしたがっており"、"アメリカ人全員が、これからずっと危険に瀕するのだ。" と述べた。
バックマンは、アメリカの傀儡国家、パキスタンが"存亡の脅威以上のもの"だと述べた。能なしのバックマンは、"存亡の脅威"というものが一体何か分かっていないのだ。とはいえ、以前に、今は亡きソ連がアメリカに対する今日の脅威であると、宣言した候補者の言い分にしては、賢い言い分として、重く響く。
アメリカ人と世界にとって不幸なことに、アメリカの有権者には、警察国家の住人としての自分たちの苦境を理解して、デニス・クシニッチ下院議員と並ぶ、米憲法の最後の擁護者ロン・ポールを選ぶという、知性と認識が欠如している。とはいえ、共和党議員の阿呆連中の一人が、"世界唯一超大国"の大統領に選出されることにも良い面はあるだろう。戦争に狂った大ばか者が、核兵器発射ボタンを押す立場にあることを、アメリカ以外の世界中が悟れば、ワシントンの恐ろしい人物が地球上の生命を絶滅させる前に、アメリカ以外の世界が団結して、止めるだろう。
共和党大統領候補者討論会を見たり、読んだりした鋭い感覚を持ったアメリカ人なら誰でも、感謝祭という祝日が近づく中、一体感謝すべきものなどあるのだろうかと。
軍よりも経済に、自国資源を使うことを優先しているロシア政府は、平和の名において、余りに多くのリスクを背負ってしまったと判断したのだ。感謝祭前日、ロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領は、ロシア国民に対するテレビ放送された演説で、もしワシントンがロシアを取り囲むミサイル基地計画を更に進めるのであれば、ロシアは、ファシスト的アメリカの基地と、ヨーロッパ諸国の首都を標的とする新たな核ミサイルで、自ら対応するつもりだと述べた。
ロシア政府は、アメリカのミサイル基地は、ロシアへの脅威を意図したものではないという法的拘束力のある保証を、ワシントンに要求したが、ワシントンはそのような保証をすることを拒否したと、ロシア大統領は語った。
メドベージェフ声明は理解しにくい。"もしワシントンが更に進めれば"とはどういう意味だろう? アメリカのミサイルとレーダーの基地は既に設置済みだ。ロシアはとっくに包囲されている。メドベージェフ、既に設置済みのものに、ようやく気がついたとでもいうのだろうか?
ワシントンの攻撃に対する、ロシアと中国の遅ればせながらの対応は、この二国が共産主義を経験しているとい文脈でのみ理解可能だろう。共産主義の下での、ロシア人と中国人の苦難は大変なものであり、これら国々の国民の中でも、物を考える人々は、アメリカを、理想的な政治体制と見なしているのだ。この錯覚がロシアと中国の進歩的思想家の精神構造を依然支配しているのだ。ロシアや中国で、国民がアメリカに同調するようになれば、大惨事になるのかも知れない。
ワシントンが信頼できるものであるという信仰は、どうやらメドベージェフの声明によれば、ワシントンによる"法的拘束力のある保証"で、安心するらしい、ロシア政府にすら行き渡っている。21世紀にワシントンがついた膨大な嘘、"大量破壊兵器"、"アルカイダとのつながり"、"イランの核兵器"があるのに、一体ワシントンによる"法的拘束力のある保証"など信用する理由などあるまい? 保証には何の意味もない。一体どのようにして実行されるだろう? そうした保証など、ワシントンの世界覇権追求のための、単なるもう一つの詐欺だ。
感謝祭前日には、もう一つ驚くべき出来事があった。ドイツ国債の入札割れという、前代未聞の出来事だ。
一体何故、EUで、唯一財政的に健全なメンバーであるドイツが、10年物国債売り出しの35%を売ることができないのだろう? ドイツに債務問題は無く、ドイツ経済はEUや米当局によって、財政的健全さに欠けるEU加盟諸国の救済措置において、最も大きな割り当額を担うものと期待されている。
このドイツ国債の入札割れという疑問の解答は、欧州中央銀行によるEU加盟諸国の国債買いつけを妨害するドイツを懲らしめるために、アメリカ、EU当局、特に欧州中央銀行、そして民間銀行が画策したものだろうと、私は考えている。
ドイツ政府は、自国通貨に対する支配をあきらめ、EUに加盟した条件を擁護しようと試みてきた。契約条件の正当性を主張することで、ドイツは、ECBが米連邦準備金制度理事会に成り代わって行動し、加盟諸国政府の債務を収益化する妨げになっている。
そもそもの始めから、EUはドイツに対する謀略だった。もしドイツがEUに留まれば、ドイツは破滅だ。ドイツは、政治的・経済的主権を失い、EU中の財政的に無責任な加盟諸国に代わって、ドイツ経済が血を流すことになる。
もしギリシャ人が暴政に屈しようとしないのであれば、ドイツ人が屈すべきはずがあるだろうか?
Paul Craig Roberts氏は、ウオール・ストリート・ジャーナルの元編集者で、元財務省次官。彼の新刊、HOW THE ECONOMY WAS LOSTは、CounterPunch/AK Pressから刊行されたばかりである。
Paul Craig Roberts氏は、Global Researchの常連寄稿者。Paul Craig RobertsによるGlobal Research 記事
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