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環太平洋パートナーシップ 是か非か？
タグ: TPP, アジア・オセアニア, 解説, 日本関連, 国際, 経済
リュドミラ サーキャン 2.11.2011, 14:35
Photo: EPA
アジア経済の嵐のような成長は、今年これまでの１０ヵ月半の間、アジア太平洋地域はもはや、一つの国の利益が別の国にとっての損失である「ゼロサム・ゲーム」の場ではないことを示している。
経済領域における相互依存があまりに高いのだ。地域の国々は積極的に、完全な多面的経済連合への道を模索している。将来そうした連合体になりうるのが、太平洋パートナーシップ（ＴＰＰ）で、その考え方は現時点では、太平洋地域に広大な自由貿易ゾーンを創設しようというものだ。 創設に関する交渉には現在、アメリカを含め９カ国が加わっている。そして近く、日本もこの連合に参加するかどうか、明らかになるだろう。
そうした連合体は、自動車を筆頭にした日本の輸出産業に、主に利益を約束しているが、同時に、国の食糧安全保障に脅威を与える可能性がある。 ＴＰＰ加盟は、日本の農業や漁業にかなりの打撃となるのではないかとの懸念が存在する。この事は、今の条件下では何とも言えない。 決断に向け日本政府に与えられた時間は、あまり多くない。第一に野田首相は、今月１２日に香港で開催予定の アジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）サミットまでに、しっかりと結論を出すと約束している。
これに関連して、ＶＯＲ記者はロシア戦略調査研究所のウラジーミル・テレホフ研究員に、話を聞いた―
「日本人達は、交渉への参加決定が長引けば長引くほど、調整文書のフォーマットに対する日本の影響力が少なくなる事を懸念している。今まだＴＰＰなるものは存在していない。 手続きや諸文書の打ち合わせ段階だ。 国内の農業生産者の抵抗はあるだろうが、日本はやはり、この連合体に入ると思う。その事を、アジア太平洋地域の日本の鍵を握るパートナーであるアメリカも強く主張しているからだ。 日本国内での反対は、ＴＰＰに入ると関税障壁が撤廃され、かなり閉鎖的な日本市場に安い農作物がどっと流れ込んでくる事への恐れから来ている。
加盟のプラス面については、これはまだ疑問だ。日本政府は、競争力を引き上げる必要のある領域の『尻を叩く』事になると言っているが、それがどんなプラスをもたらすのか確信はない。 しかしおそらく、日本には選択肢はない。ＴＰＰは単なる経済同盟ではなく、より深遠な考えを持った統合体なのだ。 何といっても日本は、動揺なしにはすまないだろうが、ＴＰＰ参加の道に踏み出すだろう。
又世界貿易機関（ＷＴＯ）加盟交渉の大詰めを迎えているロシアにとっても、ＴＰＰへの参加は論理にかなった一歩となる。」
ロシアのイーゴリ・シュヴァロフ副首相も、極東ウラジオストクでの太平洋経済会議で「わが国がＴＰＰに加盟する可能性は排除できない」と発言した。
ＶＯＲ記者は今度は、ロシア農業大学のアンドレイ・ラニコフ教授の意見を聞いてみた―
「ロシアにとってプラス要素は、二つのファクターから生じる。 第一に、アジア太平洋地域の基本的な国々の間の交流が改善されれば、地域そのものが、今より安定したものとなる事。 そして第二に、自由貿易ゾーンが作られれば、加盟国すべての経済発展が促進され、加盟国はロシアの農作物や資源の潜在的な購買者となり、いくつかの国はロシアの技術も買うだろうという事だ。 つまり経済や生産が拡大する。そしてロシアの資源に対する需要も増えるだろうという事だ。」
今のところ中国は、ＴＰＰに対する自分達の態度を全く示していないが、これは奇妙でかつ興味深い。 なぜなら、アジア太平洋地域をどう統合してゆくかは、米中の利益の相関性と、その両立の可能性に関わる非常に重要な問題だからだ。
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