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原子力工学専門家・大前研一氏:テルル132検出隠ぺい日本政府を徹底批判する 傑作(7)
2011/6/15(水) 午後 1:07技術経営工学 Yahoo!ブックマークに登録 新ベンチャー革命2011年6月15日 No.387
タイトル:原子力工学専門家・大前研一氏:テルル132検出隠ぺい日本政府を徹底批判する
1.元原発エンジニア・大前研一氏、隠ぺいだらけの日本政府を徹底批判
本ブログNo.382(注1)にて、3.11東電福島原発事故の翌日3月12日朝8時、事故現場から7kmも離れた浪江町などで、テルル132が検出されたという重大事実を原子力安全・保安院が3ヶ月近く経て、ようやく発表した事件を取り上げました。
6月14日、同じ話題を大前研一氏が日経BPネットに投稿しています(注2)。同氏は大昔、日立の原発プラント・エンジニアの経歴をもっていますから、さすがに目の付け所が違います。今回の当該原発事故機4基にも、日立がGEから受けた製造ライセンス契約に基づいて建設した原発が含まれています。その関係で、大前氏はすでに、何回か、自身の意見を公に執筆・投稿していますが、上記、日経BPネットへの投稿もそのひとつです。
ところで菅首相は事故後の3月末、田坂広志・多摩大教授(東大工学部卒・原子力工学博士)を、原発事故対策の内閣参与に指名しており、大前氏が選ばれる可能性は低いので、政府批判もし易いと思われます。
2.大前氏の批判の矛先は、国民の安全より米国を優先する日本政府に
大前氏は、事故当時の事実関係を振り返って、3月12日朝の事故現場近郊でのテルル132検出情報は、早期に、米国には伝えられていたとはずと述べていますが、そのとおりでしょう。このような対米隷属政府・対米隷属政権を大前氏は強く批判しています。
政府や官邸におべっかを使う識者が多数、テレビに出て、国民の顰蹙(ひんしゅく)を買っているなか、政府を堂々と批判する大前氏は貴重な存在ですが、原発事故の件で、同氏がテレビに出演しているのを観たことがありません。政府批判する識者はテレビに出してもらえないことがよくわかります。
政府・官邸に逆らえない大手テレビ局を含む大手マスコミが、これほど重大問題に全く言及しないのは、実に情けない話です。
原発事故問題に限って、特に、首都圏を含む東日本の国民は、大手マスコミ情報のみに依存するのは非常に危険です。当該原発事故は、自分の健康、家族の健康に直結する身近な重大問題です。大手マスコミのみならず、ネット情報、本、週刊誌、月刊誌などから多角的に情報を取らないと、後で大損するのは自分や家族です。その意味で、上記、大前氏の投稿は非常に重要です。
3.大前氏は、福島県で検出されたテルル132は原発事故機から放出されたと信じている
上記、大前氏の投稿にて、同氏は、検出されたテルル132は当該事故機から放出・放散されたという前提で自論を展開しています。
一方、本ブログNo.382(注1)では、テルル132放出源に、二つのオプションをもたせています。(1)当該原発事故機から放出されたオプションと、(2)当該原発事故機以外から放出されたオプションです。
そして、オプション(1)だとすると、いくつか矛盾が生じることを指摘し、オプション(2)の可能性を追究するよう示唆しています。
さて、大前氏は、オプション(1)だけで、推論しており、当該事故機が当初の予想より早く炉心溶融したとみなしています。しかしながら、事故発生後間もなく、なぜ、テルル132が事故現場から何キロも離れた場所で検出されたのか、首をかしげているようです。
大前氏は経営コンサルティング企業・マッキンゼー出身なので、合理思考や推論に長けていますから、当然、上記オプション(2)についても、心の片隅で想定したはずですが、上記、投稿には残念ながら、触れられていません。
それより、政府が3月12日朝から午前にかけて、事故機のメルトダウンを認識していたはずなのに、それを国民に隠していたことに怒っています。そして同氏は、政府の発表は信用できないとしています。
4.米国人を妻にもつ大前氏も典型的日本人だった?
大前研一氏は米国人女性を妻にもつ、日本有数の国際人ですが、シナリオ発想の点において、やはり米国人的ではなく、正真正銘の日本人だったという気がします。
筆者も含め、日本人は有能な米国人に比べてシナリオ発想力が乏しいというのが、本ブログの仮説ですが(注3)、あの大前氏もその例外ではなかったと思われます。ということは、日本人識者にシナリオ発想力を期待することは難しいようです(笑)。
シナリオ発想法を、上記、テルル132検出事件に適用する場合、その発生源を原発事故機に違いないと最初から決めつけてはいけないのです。
5.有能な米国人はなぜ、シナリオ発想力を身につけているのか
筆者の日米組織両体験からいうと、有能な米国人はシナリオ発想をしますから、上記のように、テルル132発生源をすぐには特定せず、当該原発事故機以外の可能性を常に視野に入れて推論します。
なぜ、こういう習慣と言うか、本能があるかというと、彼らは戦争経験が豊富だからと思います。
たとえば、戦争の最前線にて、繁みの向こうにいる何者かから自分が突然、攻撃を受けた際、その攻撃者は(1)敵、(2)敵ではない第三者、(3)味方(誤攻撃)という三つのオプションが想定されます。
もし、攻撃者を敵と決めつけて、ただちに反撃したとき、上記オプション(3)味方の誤射だったら大変なことになります(味方同士の相撃ち)。戦闘の最前線では、味方同士の相撃ち事故が多発するのが常です。
ちなみに、筆者の所属したSRIインターナショナルでは、米国防総省向けに攻撃者が敵か味方かの瞬時識別技術(パターン認識技術)の研究開発を行っていました。
6.テルル132発生源がオプション(2)だったら?
上記、テルル132検出事件に話を戻しますと、その発生源がオプション(2)、すなわち、当該原発事故機以外の発生源であったら、上記、大前氏の推論は根底から崩れてしまいます。
原発技術の専門家であった大前氏は、本心では、緊急運転停止した当該事故機の炉心は、そんなにあっさりと、すぐにメルトダウンしたのかと不思議に思っているはずです。
大前氏のような原発プラント専門家の常識が“原子炉運転緊急停止後、制御棒の挿入された炉心への冷却水循環が止まったら、数時間後に、炉心燃料棒が完全溶融する”というものであったなら、テルル132検出の有無にかかわらず、3月12日か13日の段階で、メルトダウンしているはずという声が挙がっていたはずです。しかしながら、日本のみならず、海外からもそのような声はなかったわけです。だからこそ、政府も東電も、3ヶ月近く、事故機の早期メルトダウン事実を隠し、国民を欺いてこられたのです。
7.3月12日朝検出のテルル132発生源を徹底究明すべき
以上、分析したように、3月12日朝のテルル132検出事件にシナリオ思考法を応用すると、オプション(2)の当該原発事故機以外の発生源の可能性を否定することができなくなります。
大前氏の投稿のように、オプション(1)の当該原発事故機がテルル132の発生源であるなら、政府・東電は、なぜ、制御棒の挿入された炉心のメルトダウンがそんなに早く起きたのか、そして、テルル132がなぜ、早期に、7qも離れたポイントまで飛散したのかを徹底究明する義務があります。
もし、それが、十分合理的に説明できないなら、オプション(2)について、至急、調査を開始する義務があります。
最後に、蛇足ですが、筆者は昔、大前氏の経営するビジネススクールで通信講座ビデオを収録した経験があり、個人的には大変お世話になったと恩義を感じています。
注1:本ブログNo.382『東電福島原発事故:非常にあやしい?水素爆発前のテルル132検出』2011年6月8日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/24951086.html
注2:大前研一『国民より米国を優先する政府・保安院の欺瞞』2011年6月14
日、日経BPネット
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110614/273955/?ST=business&P=1
注3:本ブログNo.384『東電経営者:シナリオ発想に乏しい日本人経営者の典型だった』2011年6月12日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/25020567.html
ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm
テックベンチャー投稿の過去ログ
http://www.elmstadt.com/news/techventure.html
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/8285/column-top.html
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