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@ 欧州と日本の金融危機の本質は類似している。
日本は1985年ごろから、「円高不況」の脱出策として「内需拡大」に走り、大量の円資金を市場に放出し、結果として「日本バブル」が発生して崩壊した。その後、膨大な信用収縮が発生して株価の下落や地価の下落が発生したが、実体経済も収縮したために企業の「再編・リストラ」が横行した。
そして1997年には「金融危機」によっていくつかの銀行が倒産に追い込まれ、その後は銀行業界に再編の嵐が吹きまくった。政府は金融対策や失業対策や景気浮揚対策などに追われて、赤字国債を乱発して急場をしのいで国家の崩壊を免れたが、その後現在に至るまで赤字国債に苦しむことになったのである。
今の欧州危機の状況は、詳細や経緯は異なるとしても、日本と多くの類似点がある。
A 欧州と日本の金融危機の対処策の根本的な違い。
それは、日本が単一の国家であり、単一の民族であり、「上命下達」の国家であったという点である。日本の銀行は「護送船団」であり、大蔵省・日銀の号令一下、一つの銀行の反乱も無く、迅速かつ適切に対処されてきた歴史がある。
また、日本人は全国何処に転入転出しても同一に保護される点もあった。たとえば今日まで「東京人」であったが明日から「大阪人」になったとしても何の差別も受けないし、不利益を受けるものでもない。また預金にしても銀行名が異なるだけで全国同一の利息であった。
しかし、欧州は多民族であり、多言語であり、宗教や習慣も異なるのであるから、「机上の空論」を並べて解決できるほど単純なものではないのである。
過去の歴史においても、古代には「ラテン民族」が北部ヨーロッパの「ゲルマン民族」を圧迫し「スラブ民族」をも圧迫した。中世や近世には反対に「ゲルマン民族」が「ラテン民族」を圧迫したし、「スラブ民族」も圧迫され、他民族への弾圧が行われたのである。
また、宗教観の違いから「宗教戦争」や「宗教弾圧」がたびたび起きているのである。
B 欧州の金融危機の対処策
第1には、日本が行ったように預金の流出を防止することである。不動産向け融資の債権は、不動産価格の大幅下落により実質価値が目減りしたことは否定出来ない事実であり、今後短期間に地価の上昇も無ければ、融資先企業の収益の好転も見込めない。
だが預金の流出を防止すれば銀行の倒産は免れ、公的資金の注入によって金融システムだけは守れるのである。たとえ数行の銀行倒産が発生しても、欧州連合が金融システムを守る意思を示せば、出血は少量にとどまって欧州連合が出血死することは無いだろう。
(アメリカは、リーマンショック以降に全米で州レベルの多数の銀行倒産に見舞われたが、連邦政府がメガバンクを救済したことによってアメリカ自体の倒産は免れたのである)。
第2には、徹底的な銀行の再編と銀行員の整理解雇を行わなければならない。日本が都銀・地銀・第二地銀・信金・信組などを整理統合して、おびただしい血を流したように、欧州も膨大な血を流さなければならないのである。
C 日暮れて、道遠し
だが、欧州は日本やアメリカと異なって、「多民族」と「国家主権」の壁が大きく立ちはだかり、「一枚岩」ではないから、日米のような強引な手法は取れないだろう。
ラテン国家の国民は、『自国の「愛国銀行」が整理されてゲルマン銀行のラテン支店や出張所になるくらいなら、欧州連合からの離脱を選択する』、かもしれないのである。
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