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十数年前から痛風発作を繰り返すようになり、足の関節が変形して古い登山靴が履けなくなったりして、昔のように自由な山歩きができなくなったが、25〜40歳くらいまでは年間50回以上のペースで山歩きを続けていた。
20歳頃から意識した日本百名山は前世紀の90年頃、とりあえず完全踏破することができた。(噴火立入規制などで山頂を踏んでいない山がいくつかあるが)
今は友人などとともに二巡目の百名山ハイキングを楽しんでいる。
通算では40年ほどの登山歴ということになり、まだ死んでいないところをみると、おそらく自分の山歩きが間違っていなかったように思っている。
そこで今回は、おこがましいながら、私なりの山歩きの知恵をブログに書き残しておきたい。
このところ冬山登山の遭難ニュースが非常に多いので、ハイキング気分で冬山に入るような甘い考えの人たちに警告を書かねばとも思っていた。
私は若い頃から道に興味があり、登山道についても数千回の経験から、それが、どのように変遷するのか、ある程度理解することができたと思う。
そこで、「登山道」の成り立ちについて私なりの考えを書いてみたい。
山の主は基本的に人間ではない。それは獣たちである。人間は、獣たちの道を借りながら登山道を造り出すのである。だから、ほとんどの山で、登山道の原型は「獣道」であることを知っておかねばならない。
山では、人道と獣道が無数に交差している。有名山岳では、しっかりした登山道が造られ、まず迷うことも少ないが、無名の藪山では、人道と獣道の区別はないと思う必要があり、その見分け方を叩き込んでおかねばならない。
獣たちだって、通過の大変な藪漕ぎなんかしたくない。だから、山の中では一番歩きやすい場所を歩くことになり、そこに道ができる。
ただし、人間ほど背の高い獣は希なので、おおむね狸や狐、イノシシや熊などの背丈に合わせた道ができあがることに注意が必要だ。
すなわち、獣道と人間道を見分ける原則は、その高さにある。多くの場合、踏み跡だけでは見分けがつきにくいが、獣道は、すぐに人間が通るのが困難な腹より高い位置の枝葉や藪が出てくるから分かる。顔に枝葉が当たるような道は獣道である。
それに人の道よりも歩幅が狭いし、多くの獣は人より軽いので人道ほど踏み固められていない。そこで、紛らわしい踏み跡があったとき、踏み込んでみれば獣道は柔らかく、人道は固いものだ。
獣道は生活道路だ。餌場と水飲み場、寝場所を行き交うために踏みつけられる。
獣たちがもっとも多く通う道は水飲みの道で、したがって沢筋に踏み跡が多く、これを利用するために人道も沢筋が第一になる。
山の道は基本的に沢筋である。人が山菜採り、炭焼き、木材運搬などに利用するのも9割以上が沢筋である。しかし日本の沢には多くの滝があり、急峻危険なため、大滝やゴルジュ(水流に掘られた洞窟状水路)などで迂回路や他の安全な沢筋に移るトラバースルートが成立することになる。
「沢筋に危険箇所が出てくると避難路がつけられる」これも覚えておく必要がある。
次に、テリトリー拡大のため獣の峠越えルートもある。獣だって一番安全なルートを探すから、人様の峠道も獣道を利用することが多い。
最後に、藪の多い道よりも歩きやすく、かつ外敵に遭遇したとき、いち早く逃げられる視界良好なルートということで尾根筋が利用される。もっとも、尾根筋に関してだけは、獣よりも人間の利用がはるかに多い。
それは、一番高い場所で見晴らしが良いので、里などとの位置関係を確認できるからであり、尾根道というものは動物よりも人間が、より多く利用するものである。
だから、尾根道は下界集落にまでつながっている場合が多く、山で迷ったときは、決していきなり沢筋に降りず、最初に尾根に登り、道を確認してから人間様ルートを利用して下界に向かうのが遭難しない大切なコツである。
迷うと喉が渇くから沢に降りたくなり、そのまま人里につながっていると安易に想像してしまうが、決してそうではない。日本の沢は滝の連続であり、沢を下るのは危険に満ちている。
冬山遭難以外の大半は、迷って沢に迷い込み、そのまま下って滝で滑って負傷・死亡するというケースである。
ちなみに、獣たちは尾根道のてっぺんを歩くことは少なく、笹や藪の少ない北側の斜面の尾根より5〜20mほど下側に尾根に沿った獣道があることが多い。ベテラン猟師たちは、この道を使って猟を行う。
歩きにくい笹藪が繁茂するのは南側の日当たりの良い場所で、北側の風雪に晒される場所は植生が悪く、逆に歩きやすいものだ。
尾根のてっぺんにつけられた踏み跡は人間様のものであることが多い。日本中の尾根で、人道の皆無というルートは希で、そんなとき、その尾根は断崖絶壁に消えると覚悟すべきだ。
山の道は、1・沢筋 2・尾根筋 3・峠道 4・滝・ゴルジュ迂回路 5・トラバース というように整理して覚えよう。今歩いている踏み跡は、獣道か人道か? 沢か尾根かトラバースか? などと、その属性を考え、記憶しながら歩けば、まず迷うことは少ない。
最近は、わかりにくい場所に赤テープなどをつけても「クリーン作戦」などと余計なお節介の環境美化運動で剥がされてしまうことも多いが、迷いやすい藪山で、目印をつけるのは登山の大切な基本テクニックである。
赤テープがダメなら、昔のようにナタで目印をつけよう。下山時の目標であるから、必ず上から降りてくるときに見えるよう人間の目の位置の皮を剥ぐ。これは自分の記号であるから、独特の分かりやすい形にする。
マタギは目印に数十種類の共有暗号を含ませていた。形を見れば、この道が持つ情報が分かる仕組みになっていた。
木を傷つけるのも良心が咎めるが、迷わないよう帰路を確認し、命を守る方が大事だ。必要もないのに、むやみに傷つけるのはもってのほかだが、安全のために、ためらってはいけない。
最近は、警察検問で、車にナタやナイフが置いてあると逮捕されるらしい。必ず登山ザックに入れて、「理由なき所持」にならないように工夫する必要がある。
私が山で目印をつけているとき、たまたま見ていた人から「自然破壊」と糾弾されたこともあった。山も難しくなったものだ。
十分な標識が設置されているなら別だが、藪山でテープもアカン、目印もアカンじゃ困る。冬山では細い赤布をたくさん持参し、頭より高い位置の枝に縛りながら行く。一晩で2mも積もることもあり、低い位置では雪に埋もれてしまうことがある。木のない場所では、細い竹などを刺して結ぶことになる。
結び目の作り方で、どちらが上下か分かるようにする。帰路、回収するのが常識なようだ。もちろん上から見る下山標識であることを忘れずに。
次に、歩き方のコツを伝授する。
歩き始めは、必ずゆっくり、最初の30分は持てる実力の三分の一しか使ってはいけない。これが準備運動だ。次の30分は二分の一の力でゆっくり歩き、十分に休んでお茶や菓子を飲食し、いよいよ本番だ。
準備運動をしないで、いきなりハイペースで歩くと、必ずバテることになる。そんな人たちは結局、上の方で息が切れて苦しくなり、我々カメさんに追い抜かれてしまい、山歩きが楽しいものではなくなってしまう。
1時間歩いてから、実力の8分目を出して山頂に向かう。休憩はおおむね1時間に5分程度。ほとんどの人が同じように休憩するので、有名山岳では、その位置に休憩所のような場所ができていることが多い。
決して休みすぎてはいけない。軽く息を整える程度で、できるだけお菓子などを飲食しよう。糖尿病になりそうな甘いジュースも山ではOKだ。
疲れてきたら、休むのではなく、「ゆっくり歩く」ことを心がける。休んでしまうと疲労が吹き出し、ますますバテることになる。
飲食しながら、ゆっくり歩いていれば、疲れは消えてゆく。老人だって、若者のように早く歩けないが、ゆっくり山頂に着くことができる。体力のない人だって、ゆっくり歩けば、高体力の人と同じように楽しめる。
最近、経験不足の中高年による遭難事故が多発しているが、最大の問題点は、「自分を知らないこと」である。
自分を実力以上に過剰に評価するクセのある人は遭難しやすい。自分の実力に対して謙虚な姿勢が必要だ。
山は大変なスポーツだ。準備があれば、困難を克服できる。装備を準備するだけではダメだ。体力・精神力を準備しなければならない。
最初から苦しい大変な山など行ってはいけない。まずは高尾山や筑波山のような山を十数回も登り、基本的な歩き方の訓練を行い。普段から2時間程度歩く訓練を重ねる必要がある。
そして、体力の必要な重い登山では、必ず「ゆっくり歩く」ようにすれば大丈夫、バテこそ遭難の第一歩であることを肝に銘ぜよ。
バテない基本テクニックは、第一にゆっくり歩くこと。第二に、頻繁に軽い飲食を行うこと。第三に、こまめに衣類を脱着することだ。
衣類を調節して、体温を一定に保つことは、非常に重要なテクニックで、山では非日常的な体験をしているので、普段の感覚が分かりにくくなる。
体が寒がっているのに、本人は暑いと勘違いしている場合があり、着重ねしなければならない状況下で、強風に吹かれて体温が低下し、意識が朦朧としながら、そのまま死亡することも珍しくない。
寒いと疲労度が加速する。体が熱を作るために余分なエネルギーを浪費するからだ。だから暖かく快適にすることが疲労を少なくするテクニックなのである。
最近ではトムラウシ・ツアー登山の遭難が風に吹かれた低体温遭難だったようだ。
強風で、少しでも寒さを感じたら、必ず、防風ヤッケ(雨具でもよい)を着ること。肌着は登山用か純毛薄手セーターを着ること。
汗や雨に濡れて肌着の保温性が落ちたなら、純毛セーターを直接肌に着込むこと。純毛セーターは最後の命の綱である。どんなハイキングでも持参すること。
雨中登山では、稜線に出ると凄まじい強風に遭って、とてもじゃないが、着替えなど不可能なことが多い。
だから稜線に出る前に、藪の中で状況を予測して、先に着替えや着重ねを済ませること。
冬山は、同じ山であっても、他のシーズンとは基本的に別世界だと思う必要がある。
私は若い頃から鈴鹿の鈴北岳・御池岳をトレーニング場所にしていて鞍掛峠などから百回以上も登っているが、慣れきって地図も持参しないで、すべて知っているつもりでいた。
ところが、ある冬、もの凄い暴風雪のときに登って、ホワイトアウトという現象に出くわした。これは降雪と薄い太陽光により、雪と空間の境目が認識できなくなる現象である。
このとき、隅から隅まで知り抜いているはずの鈴北の地形が、今どこにいるのか、まったく分からなくなった。積雪で地形も変わり、自分が歩いている場所が尾根なのか、いつものルートなのかも完全に見失い、彷徨する羽目になった。
このとき冬山が、どれほど恐ろしい魔物であるのか思い知らされることになった。
ゲレンデとして百回も通っている地形でさえ、まったく理解できなくなる。
1000m前後の低山でさえ、そんな現象が起きる。まして3000mの世界は凄い。
正月に、吹雪の中で立派な登山道や標識のある間ノ岳から北岳に向かう尾根が、どうしても発見できなかったことがある。1時間も彷徨い、奇跡的に北岳への稜線が見えて助かった。
冬山をなめてはいけない。数千回の登山経験があっても、見るも無惨に打ちのめされることがあるのだ。 迷ったとき、行き先を確かめるのは、地図とコンパス、それに踏み跡や視界などだが、位置を確認するのに、一つや二つではダメで、高度計やGPS、無線機など、少なくとも五つくらいのアイテムを用意しておきたい。
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続 山の歩き方
前回は獣道と人道の見分け方、疲れない歩き方などについて説明した。
まだ少し言い足りない部分を補足しておきたい。
前回、安全登山のために大切な姿勢は「ゆっくり歩く」ことだと説明したつもりだが、これでは説明不足で、急傾斜の山道を歩く上で意識しなければならないことは、ゆっくり歩き、かつ歩幅を狭くするということである。
筆者は若い頃、先達から「猫のように、しなやかに歩け」と教わったことがある。一歩一歩、無理のないダメージの少ない歩き方を心がければ、長丁場では大きな違いになって返ってくる。
「ゆっくり、歩幅を狭く、しなやかに歩く」
これが基本だが、これでも、まだ足りない。筆者は16歳から今日まで約二千回程度の山歩きを行っていると思うが、この経験の蓄積から言わせていただくと、「余分な力を抜いて歩く」ということが一番大切である。全部力を抜いてしまえば当然歩けないので、歩くために本当に必要な筋肉だけを瞬時に使い、必要でなくなったら、瞬時に休ませるのである。
必要なときにだけ筋肉を働かせ、必要でない筋肉は瞬時に完全にリラックスさせていることが、登山で疲れない、バテない最大の秘訣であると指摘しておきたい。
このために、本当に力が必要な瞬間だけ筋肉が働くように、普段から感覚を養い、「無駄な力は使わない」訓練が必要である。
もちろん、登山だけでなく、あらゆるスポーツに共通する深い奥義というべきだが、フリークライミングに凝った経験のある人なら、これがもの凄く身にしみて理解できるはずだ。
クライミングを上手に行うコツは「力の抜き方」であり、必要な筋肉だけを、必要なタイミングだけに使い、それ以外では完全にリラックスさせ、疲労回復するテクニックがクライミングの真の奥義であることを思い知らされるはずだ。
登山でも同様に考えるのである。「力を抜きなさい」
この奥義こそ、普段は酒かっくらって寝ているだけの中年メタボ、ダメ親父が、10クラスの難ルートをあっというまに登って見物人を驚かせる本当の理由である。
さて、ここまでは少しスポーツを囓った人なら誰でも知っている。この先は筆者のオリジナル奥義を伝授しよう。
山頂から下山するとき、下り坂で滑って転倒した経験を持つ人も多いだろう。これは、単に足を滑らせたというだけでなく、実は山歩きのなかで大切な歩行メカニズムが隠されているのである。
雪国の人なら、アイスバーンでの基本的な歩き方を知っているはずだ。それは、決してカカトで歩かない。つま先で歩くのである。つま先に力を入れ、足指を多用する。これが凍結路で滑らないコツである。
だから凍結の多い寒い地域の人たちは、歴史的に足指が長くなる傾向がある。日本海側の人たちは、太平洋側に比べて足指が長いのである。このため、短距離走は若干苦手ということになる。
実は、急傾斜の山道・坂道を歩くコツも、まったく同じメカニズムであり、滑らないような歩き方は、カカトではなくつま先に力を入れて歩くのである。
これは山の場合、主に下りということになる。急傾斜の下りで、つま先に力を入れて足指を最大に利用しながら下れば滑らない。
ところが、それでも滑って転ぶ人がいる。実は、このとき、つま先に力を入れているつもりでも腓腹筋が疲労して力が入らなくなってしまい、カカトだけで歩くような投げやりな歩行姿勢になっているのである。
本人は登山で興奮しているから腓腹筋の疲労が分からないが、ベテランがまったく滑らない下りで滑ってばかりいる人は「カカト歩き」という状態に陥っていることを知っておく必要がある。
どううして「カカト歩き」だと滑りやすいのだろう?
それは、凍結路における「カカト歩き」と「つま先歩き」の違いと同じもので、つま先歩きの場合は、滑ってバランスが崩れたときに重力バランスを立て直す筋肉の可動域、幅が、足先全体にあって広いため容易に対応できるが、カカト歩きでは、足が棒状になっていて、滑ったときに、それを補正する動きが限定されるために転倒しやすくなるのである。
滑ったとき、つま先に力が入っていれば、膝・足首・足指と三つの関節を動かして対応できるが、カカト歩きだと、事実上、膝だけで対応することになる。
これで、急傾斜の下山時に、つま先歩きが必要なことが理解できると思うが、登山用筋肉が衰えている人、未発達な人は、意識しても、これができずにカカトで歩いてしまい、どうしても滑りやすくなる。
このとき、補助アイテムとして活躍してくれるのがストックである。
筆者がストックを一般登山に使い出したのは、30年前、1980年頃で、当時は、もちろんスキーストックなど無雪期に使う人などいなかったから、すれ違う人は奇異な目で見ていたが、今では、折りたたみの優秀なストックが開発されたこともあり、ダブルストックで歩く人は珍しくもない。
筆者は1970年代、冬になると北鈴鹿の山々で山スキー歩行に凝っていて、ストック歩行が、どれほど役に立つか、さんざん思い知らされていたから、夏山でもスキーストックで歩くようになったのだ。
今では痛風による膝関節のダメージ、衰えもあって、ストックなしでは山を歩けなくなってしまった。二本足よりは四本足の方がはるかに効率よく、山では安全なのである。イノシシや熊に遭遇したときも心強い。
中高年の登山ハイキングには、ダブルストックは膝を守るために欠かすべからざる必須アイテムである。
登山ハイキングで決して忘れてはいけないものとして、次のものをあげたい。
1・ 純毛厚手セーターとヤッケ(雨具も可) これは軽ハイキングも含めて、最後の命綱と思っていただきたい。肌着が濡れたなら、セーターを肌に直接着込むこと。
2・ ライト・スペア電池・地図 当然の装備、この他に水(ペット飲料可)食料、雨具ということになる。
3・冒頭に述べた理由で、折りたたみストック二本を加えていただきたい。これは、どうしても必要とはいわないが、長い歩行積み重ねのなかで、あなたの膝を守ってくれる大切なアイテムだ。
特殊装備について
筆者は若い頃から、一般的な登山に飽きたらず、ロッククライミングや沢登りにも夢中になった。普通の人が敬遠する藪漕ぎも数多くこなした。
そこで、あまり一般的とはいえないが、山のすべてを知りたいと思っている人のために、特殊な装備についても言及しておきたい。
沢登りは登山道の整備されていなかった古典的な山登りでは常識であり、昔は沢道を経由しなければ頂上に立つことができず、今でも北海道では日高などで多くの登山道が沢を利用している。
沢はコケがついていて滑りやすいのが普通で、昔は地下足袋ワラジや荒縄を靴に巻き付けて対処したものだ。80年あたりから沢用フェルト底靴が出てきたが、面倒な大荷物になるので、荷を減らしたい場合、古い穴のあいた毛糸靴下を代用すればよい。
靴の代わりに使う靴下なので、三枚以上履き重ねることになる。靴の上から履ければ、それでもよい。これは凍結路でも役立つことを知っておいて損はない。
下山時や出水時に、希にロープが必要になるときがある。本格的なロッククライミングなら9ミリ・40m以上、沢登りなら8ミリ・30m以上、非常装備なら1パーティで1本、7ミリ・20m程度(1キロ程度)を持参する。
これで簡単な懸垂下降や徒渉を行う。懸垂下降は器具のいらない肩・股絡み下降を普段から訓練すること。
http://members.at.infoseek.co.jp/kuma3_3/kura/1.htm
非常ロープはツエルトを張るときなども役に立ち、転落時に真の命綱になることもあり、誰でも一本は所持しておいたほうがよい。
徒渉のときは、ロープを張るために特殊な結び方を覚える必要がある。筆者はトラック運送で覚えた「万力縛り」を利用することが多い。
http://www1.ocn.ne.jp/~tatsujin/ropework/truck/index.htm
筆者の40年間の登山経験で、ヘルメットが必要だと思ったことは、ほとんどない。氷雪クライミングで確保のとき、上から氷が落ちてくるのに役に立ったくらいだ。ヒマラヤクラスなら必要だろうが、日本の沢登りくらいで持参するのはナンセンスだと思う。ロッククライミングでも、ゲレンデならほとんど無用だ。
山は必要な装備を絶対に忘れてはいけないが、無用な装備を何一つ持参してもいけない。本当に役立つものだけを持って行こう。
あって助かったものはザ・エクストラクター、ポイズンリムーバーという名の毒吸引器(3000円程度)だ。山ではアブ・ヒルから蜂など毒虫にやられることが少なくないので、マムシ・アブ・スズメバチ刺傷に有効な、この器具は必需品と位置づけてもよい。
これまで、どれほど助けられたか分からない。これを使えばアブに刺されても数日で完治する。ブヨに刺されたときも腫れ上がらずにすむ。
沢登りにヒルはつきもので、とりわけ鈴鹿は凄い。一度、足に百匹くらい貼り付いているのを見て卒倒しそうになったことがある。後で完治するまでに数ヶ月を要した。
ヒル避けはいろいろあるが、簡単なのは塩や灯油、酢やクエン酸で、濃い溶液を百円噴霧器に入れて持参し、ときどき膝下に噴霧するだけでよい。帰宅後きちんと洗わないと金属部品が錆びてしまう。
山の危険としては、迷い込みなど地理的条件以外に動物の危険がいわれる。
99%は上にあげたように虫や小動物だが、希にヒグマや熊、イノシシとの遭遇がある。最近では、昨年、秋、御岳「ヒメシャガの湯」の近く巖立峡で子熊と遭遇した。
過去40年間に、熊と遭遇したのは数十回、ヒグマとも5回以上あり、最大数メートルというニアミスもあった。
しかし、熊に襲われたことは皆無で、みんながいうほど心配なものではない。
それでも日本登山界の鉄人、山野井君が奥多摩でトレーニング中に熊に襲われたニュースを聞いて驚いた。おそらく、子連れでいた熊に気づかず、走って近づいたために母熊が母性本能で恐怖して攻撃したのだと思う。
実は、動物が人間を襲うとき、人間のように攻撃してやろうという凶暴な意図で襲うことなど希であって、ほとんどは恐ろしさに震えて無我夢中で攻撃するのである。人間ほど怖い動物はないのだ。
だから、熊に自分の存在を気づかせる鈴などの工夫が大切で、もし「いる」と分かったときは、優しい声で「おーい、おーい」と切れ目なく声をかけるのがよい。
ほとんどの動物は、優しい声なら恐怖せず、その主を確かめようとする好奇心があり、攻撃本能は出てこない。
筆者はこの手で、牛ほどの巨大なカモシカに5mまで近寄ったことがある。
これまでの40年の経験で、イノシシと真正面から遭遇したことは皆無、姿を見たのも数回にとどまる。
もし襲われたなら、ストックを使って対峙するしかないと思っている。襲うとしても、アホな猟師がしとめ損なった手負いくらいだろう。
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