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【8月9日 AFP】アルゼンチン軍事政権(1976-83年)下で、産まれてすぐに母親のもとから連れ去られた「盗まれた子どもたち」の105人目の事例がDNA検査の結果確定したと、活動家らが8日、発表した。
「盗まれた子どもたち」の1人であることが確定したのは、ローラ・ラインホルド・シバー(Laura Reinhold Siver)さん(33)。人権団体「5月広場の祖母たち(Grandmothers of the Plaza de Mayo)」のエステラ・デ・カルロット(Estela de Carlotto)代表は「これで105人まで確定した」と語った。
軍事政権下の秘密出産施設で、産まれてすぐに母親から引き離された赤ちゃんたちは数百人に上る。ラインホルドさんは、自分がその1人ではないかと感じて、人権団体に接触したという。
ラインホルドさんは1978年生まれ。母親は、ブエノスアイレス(Buenos Aires)の海軍機械学校に投獄されていた。同学校は、独裁政権下で拷問が行われた場所だ。
投獄された女性の多くは反体制派で、妊娠している間は生かされていたが、子どもを産むと即座に殺された。女性の多くは軍用機から生きたまま裸で海に落とされた。女性たちは出産時には顔に覆いをかぶせられ、赤ちゃんの顔を見ることができなかったという。産まれた赤ちゃんは軍政幹部やその親族に引き取られた。
カルロット代表は「出生に疑問を持ったローラが、自ら進んで『5月広場の祖母たち』に接触し、DNA検査を受けた」と説明した。
一方、ラインホルドさんの母方の祖母は、1982年にラインホルドさんと両親が失踪したと、『5月広場の祖母たち』に接触していた。両親の行方は現在も分かっていない。
カルロット代表によると、当時、約500人の赤ちゃんが拘束下で産まれ、母親のもとから取り上げられ軍政幹部に引き取られた。軍事政権下で死亡または行方がわからなくなった人の数は推計3万人に上る。
1976年3月24日に軍事クーデターでイザベル・ペロン(Isabel Peron)大統領政権を転覆させた元独裁者のホルヘ・ビデラ受刑者は、当時の幹部らとともに、反体制派の赤ちゃんを誘拐したとして実刑判決を受けている。ビデラ受刑者は、2010年12月に人道に対する罪で終身刑の有罪判決を言い渡された。(c)AFP
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どこの国であれ、軍事独裁政権というものは常識では考えられない野蛮でおぞましい行為を行なうものだ。かつてのアルゼンチン軍事独裁政権が、反体制派と見なした数多くの人々を、飛行機から洋上に生きたまま投げ落として殺害したことは、同じく反体制派と見なした妊婦から生まれた赤ちゃんを奪い取ったことと共に、世界の多くの人たちがよく知っている。
『5月広場の祖母たち』のメンバーによる地道な活動に敬意を表したい。
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