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新型F16、台湾へ売却断念 米政府、初期型改良で対応
産経新聞 8月7日(日)7時55分配信
【ワシントン=佐々木類】米政府が台湾への新型F16戦闘機の売却を断念し、すでに配備された初期量産型F16の電子機器の改良で対応する方針を固めたことが、米台関係筋の話で分かった。バイデン米副大統領が今月中旬の訪中で非公式に伝える見通し。米政府には、台湾へのF16売却に反対する中国と、台湾の防衛力強化を主張する米議会双方に配慮した現実策を採らざるを得ないとの判断があったようだ。
台湾は2006年から新型F16C/D66機の売却を求めてきたが、米政府は今回、売却の代わりに配備済みのF16A/B145機の電子機器を改良することで中国に理解を求める方針。
米政府がF16の改良に傾いた背景には、改良型でも中台海峡のパワーバランスへの影響力は、新型F16と遜色ないとの軍事上の判断がある。また、新型の売却を断念することで中国の批判をかわし、10年1月に台湾への武器輸出の方針を決めて軍事交流が中断したような関係悪化を回避できるとの判断もあった。
実際、米中の軍首脳交流が再開したばかりで、米国と経済で深い依存関係にある中国も、対米関係の決定的な対立は避けたいのが本音とみられるためだ。
一方、バイデン氏は米政府の態度を10月1日までに正式決定する方針も中国側に伝える。米空軍が第5世代戦闘機F35に切り替えることに伴い、製造元の米ロッキード・マーチン社がF16の生産ラインを13年までに閉鎖するためだ。それまでの準備期間も含めれば年内にF16売却問題を決着させる必要があった。
バイデン氏が正式決定前の今月中旬に中国側に伝えるのは、外交への影響を極力避ける狙いがある。
11月に米ハワイで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に胡錦濤国家主席が出席し、習近平副主席の年内訪米も調整中と、重要日程が詰まっているためだ。
米政府は昨年、地対空誘導弾「パトリオット」など台湾へ総額64億ドル(約5000億円)の武器売却を決定したが、新型F16や潜水艦の売却を見送った経緯がある。今回も、バイデン氏訪中後、台湾の巻き返しや米中双方の国内情勢の変化で、米政府が再考を迫られる可能性もある。
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最終更新:8月7日(日)10時39分
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