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【カイロ=花房良祐】シリアのアサド政権が反政府デモの弾圧を強めている。中部ハマでは戦車を多数投入し、AFP通信などによると7月31日には発砲により各地で約140人が死亡。1日も鎮圧が続き、死者が発生しているもよう。欧米は非難を強めており、ドイツなどの要請を受けて国連安全保障理事会は同日、緊急会合を開催する。
ロイター通信はハマの住民の話として軍部隊や民兵が無差別に機銃掃射しているために市外へ避難ができない状態に陥っていると伝えた。アサド政権は「反政府デモは外国政府の陰謀」などという主張を繰り返している。シリア国営通信によるとアサド大統領は1日、「敵を撃退することに成功した」と述べ、軍部隊の働きを称賛した。
アサド政権が強攻策に出たのは8月からの断食月(ラマダン)を前にデモを鎮圧するため、との観測が浮上している。ラマダン中は夕方から連日モスク(礼拝所)にイスラム教徒が集まるため大規模なデモが夜間に発生しやすい。徹底鎮圧でこうした動きを未然に防ごうとしたもようだ。
住民の弾圧に国際社会の批判は高まっている。欧州連合(EU)は1日、反政府デモを武力で鎮圧したシリア政府への追加制裁を決めた。シリア政府の5人の資産凍結やEUへの渡航禁止が内容。アシュトン外交安全保障上級代表は「言論・集会の自由、すべての政治犯の迅速な釈放、包括的な国民との対話を求める」との声明を発表した。ロシア外務省も1日、非難声明を出した。
一方、英国のヘイグ外相はトルコとアラブ諸国などにもシリアに対する圧力を強化するよう求めた上で、リビアのような欧米による軍事介入には否定的な見方を示した。
大規模な鎮圧で批判は高まっているものの、シリアのアサド政権の基盤は依然として強固とみられる。これまでに市民への発砲を拒否した兵士の離反がわずかに発生したが、軍や治安部隊は政権にまだ忠誠を誓っている。イスラエル軍の情報担当幹部は7月上旬、シリア軍兵士の離脱は数百人にとどまっているとの見方をクネセト(国会)で明らかにした。
ハマでは1982年にイスラム教スンニ派のイスラム原理主義組織ムスリム同胞団の暴動が発生。アサド現大統領の父親の故ハフェズ・アサド前大統領が「ハマの虐殺」と呼ばれる徹底鎮圧を強行、数万人ともいわれる犠牲者を出した。
シリアの反政府デモはチュニジアやエジプトの政変に触発される形で3月から発生。シリアの市民はスンニ派の住民が多く、反政府デモ隊の鎮圧にあたる軍幹部や政権高官に多いアラウィ派との宗派抗争の様相も見せ始めている。
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