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『自衛隊救援活動日誌』を読んで
テーマ:ブログ
『自衛隊救援活動日誌〜東北地方太平洋沖地震の現場から』(扶桑社)と題する新刊が話題となっている。
著者は陸上自衛隊東北方面総監部政策補佐官の須藤彰(すどう・あきら)氏。
3月16日から4月24日までの自衛隊統合部隊の生々しい記録に他ならない。
いわゆる公式記録ではなく、大災害の現場で戸惑い、悩み、涙する、ありのままの姿を描いた日記である。
3月11日、八戸市内の会議に参加していた筆者が大地震に遭遇し、所属する本部や家族のいる仙台にたどり着くまでの緊迫した様子から始まり、3月14日に編成された災害派遣では初となった陸海空統合任務部隊の一員として現場で奮闘する一部始終を書きとめたもの。
本人曰く、「疲れていても、深夜、どうしても気持ちの整理がつかないまま、なかなか眠りにつけない。そんななか、自分の感情を抑えることなく、そのまま表した備忘録のようなもの」。
遺体を見たのも初めてなら、その横で大人が大声で泣き崩れる姿を見たのも初めてだった。
「人間というのは、こういう悲しい声を出すのか、、、」。
その時、筆者の中で「スイッチ」が入れ替わったようだ。
「自分に何ができるかは分からない。しかし、たとえ微力であっても、自分にできることは何でもするし、しなければならない」と。
とはいえ、被害甚大の現場にいると、部隊は必死に頑張っているが、「広い校庭の中を動き回る小さな働きアリ」のように感じることもあったという。
なぜなら、隊員たちの思いや必死の活動をよそに、現実は厳しく立ちはだかるからだ。
本書を読むと、その厳しい現実とは地震、津波、原発事故がもたらした物理的な被害だけではないことがよく分かる。
かけがえのない家族や大切な仕事を失ったことによる精神的な苦痛は計り知れない。
また、自治体の「縄張り」に始まり、行政の「縦割り」「リーダーシップの欠如」「予算の不足と非効率な配分」など、頭の痛い問題が次々に襲ってくる。
そうした課題や理不尽な現実が赤裸々に語られながらも、明るい読後感に包まれるのは、筆者が随所に紹介している未来を夢見る子供たちとのエピソードのお陰であろう。
米海兵隊員とのユーモアあふれる非常食談義にもほっとさせられる。
是非、ご一読をお勧めしたい。
http://ameblo.jp/hamada-kazuyuki/entry-10970820125.html#cbox
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