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http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-20969620110508?sp=true
[イスラマバード 5日 ロイター] 米海軍特殊部隊によって殺害されたウサマ・ビンラディン容疑者がパキスタン国内に数年間潜伏していたという事実は、同国の核兵器がアルカイダの手に渡ることを恐れていた人にとっては震え上がるようなシナリオだろう。
パキスタンの首都近郊アボタバードの住居施設に身を潜めていた間、ビンラディン容疑者は仲間を核施設に忍び込ませることはできたのだろうか。
専門家たちの大方の見方は「ノー」だ。しかし、ビンラディン容疑者が安全に身を潜めていたということは、核不拡散にとって極めて重要なパキスタンの安定性そのものに疑問を生じさせるものだ。
ワシントンにある戦略国際問題研究所(CSIS)のアナリスト、アンソニー・コーズマン氏は、ビンラディン容疑者がパキスタンで長期間にわたって拘束を免れていたことという事実だけで、同国の核兵器の安全性に新たな警告を発するべきではないと語る。
人の動きを監視するのに必要な手段と、核兵器を追うために使われる手段は全くの別物であり、ビンラディン容疑者がパキスタンの軍事施設と目と鼻の先のアボタバードに潜んでいる間でも、現地の実情には変化がなかった。
専門家らは、核兵器は持ち運べるようになっておらず、たとえアルカイダに核科学者がいたとしても、その使い方をマスターするのは何年もかかるだろうと指摘する。そうであれば、アルカイダなどの勢力が核弾頭を発射するという事態は想定しにくい。
武装勢力がパキスタン情勢の混乱に乗じ、放射性物質をまき散らす「ダーティー・ボム(汚い爆弾)」を作るのに十分な量の核物質を盗み出そうとすることはあるかもしれない。
数々の政治的・経済的危機を繰り返してきたパキスタンだが、核兵器については、これまで安全性が守られていると強く主張してきた。しかしながら、ビンラディン容疑者の存在が明るみに出たことで、パキスタンの情報機関である統合情報部(ISI)の中に、アルカイダやタリバンの支援者がいるのではないかという疑念は深まった。
全米科学者連盟のハンス・クリステンセン氏は「ビンラディン容疑者の潜伏を情報機関の一部が知っていながら、政府レベルでは知っていなかったとすれば、こうした反体制派の隠れみのが組織内に存在するのではないかという数々の懸念が新たに持ち上がる」と語る。
パキスタンで核施設に配属される人員は例外なく、情報機関による厳しい検査の対象となっている。
<波乱万丈の歴史>
ISIがビンラディン容疑者の潜伏を知っていた可能性は、テロとの戦いでパキスタンとの協力関係を重視し、多額の資金援助をしてきた米国にとって頭の痛い問題だ。
英ブラッドフォード大のショーン・グレゴリー教授は「増え続けるパキスタンの核兵器をめぐっては、一連の脆弱性がある。そして、核兵器や核技術を手に入れようとするテロリストたちの動きも増えている」と述べた。
パキスタンの核開発プログラムは、同国の「核開発の父」とされるカーン博士がイランや北朝鮮、リビアなどに核技術を流したとして国際的な批判を浴びたこともあり、2004年から疑いの目が向けられてきた。
専門家によれば、パキスタンはプルトニウム生産拡大による核兵器開発を強化しており、現在までに最大100発の核弾頭数を保有している可能性がある。
ベルファー科学・国際問題研究センターのオリ・ヘイノネン氏は、今後10年でパキスタンは米国、ロシア、中国に続き、世界第4位の核兵器保有大国になるとの予想を示している。
西側諸国は、ビンラディン容疑者死亡後もアルカイダが世界規模での聖戦を続けることを警戒しており、パキスタンの核の安全性には引き続き、厳しい監視の目が注がれることになる。
国際原子力機関(IAEA)の幹部だったヘイノネン氏は、核物質と核施設がパキスタン政府による完全な管理下に置かれ、安全に運用されていることを一層確実にしておくべきだと提言。「パキスタンの核開発プログラムには波乱万丈の歴史がある。ビンラディン容疑者の死亡はパキスタンにとって、新たな核の未来を描き出すチャンスだ」と述べた。
パキスタン国内の安全保障問題の専門家の間では、ビンラディン容疑者が核施設に侵入するのは非常に難しかったはずというのが大方の見方。しかし、同容疑者がパキスタンにいたという事実によって警鐘が鳴らされたとの声も一部で聞かれる。
パキスタンの武装勢力の活動拠点に関する著書「The Most Dangerous Place(原題)」を執筆したイムティアズ・グル氏は、「アルカイダには核施設で下働きを見つけることさえ難しかっただろう。それでもなお、世界最重要指名手配者が自国で気づかれず住んでいたことは、すべてのパキスタン人にとって憂慮すべき問題だ」と語っている。
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