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突然のビンラディン殺害、対テロの新たな目標を慌てて探す米国 [人民網日本語版]
ビンラディンの死は米国にとって、10年間にわたる大戦の終結を意味するものではないが、1つの時代の終結とは言える。中国青年報が伝えた。
■ビンラディンなき後、次の標的は誰か
今世紀初めの衝撃的な米同時多発テロは、過去10年間の米国の戦略的関心および内外政策を一挙に変えた。10年間遠征を繰り広げ、至る所に敵を作り、数千人の兵を失い、5000億ドルを費やした。米国の対テロ戦争は突然、まずまずの「修了証」を手に入れた。
まさに長年待ち望んでいたものが突然訪れたがゆえに、ビンラディンの死は心身共に対テロ大戦の高まりにあった米国人を不意に、振り上げていた拳の下ろしどころがわからなくなったような感覚に陥れた。
国際イスラムテロリズムの最大の象徴が米海軍特殊部隊シールズに抹殺された。これはアルカイダおよび各地のテロネットワークにとって何を意味するだろうか。米国の対テロ戦略、ひいてはグローバル戦略の重心の調整にとって何を意味するだろうか。「ポスト・ビンラディン時代」のテロとの戦いは何を標的にすべきなのか。すでにこれほど大規模化した対テロ戦争はいつ、どのようにして終結すべきなのか。様々な原則的問題、技術的問題が突然浮上した。
■ビンラディンなきアルカイダはどうなるのか
ビンラディン射殺はアルカイダにとってどれほどの打撃だろうか。
米国の多くの専門家は、米同時多発テロ後、ビンラディンを中枢とするアルカイダの中核と他のアルカイダ系組織はすでに統一指揮関係 にはなかったと指摘する。アルカイダ系組織はとっくに中核から離れており、信仰や士気の面で頼っていたに過ぎない。しかもアルカイダを含むイスラムテロネットワーク間には、イデオロギーレベルで様々な相違がある。このためビンラディンの死がイスラムテロ組織に与える打撃は、組織的なものというより、士気に関わる部分が大きい。
カーネギー平和基金で近東・南アジア問題を研究するスティーブン氏は中国青年報の取材に、米同時多発テロ後、ビンラディンが自ら具体的な行動計画に参与することはなかったと指摘する。これはビンラディンの死がアルカイダ系組織や他のテロ組織が計画中のテロ攻撃に影響を与えることはないということを意味する。アルカイダ系組織およびイスラム過激主義はテロに着手するにあたり、中央組織の統一計画を必要としない。
■ビンラディンなきタリバンは方針転換するか
スティーブン氏は、ビンラディンの死が米国の長期的な対テロ戦略に与える影響について結論を下すのはまだ時期尚早だと指摘する。ビンラディン殺害の成功は、米国の情報収集・分析能力の高さを証明するものだが、最も重要なのはタリバン問題の「政治的解決」に歴史的チャンスをもたらした点だ。
もしタリバンがアルカイダとの間に一線を画そうとするのなら、ビンラディンの生前よりも今は容易だ。タリバンはこの歴史的チャンス を捉え、アフガニスタンの現政権など関係方面と最終的な地位に関する交渉を行うべきだ。
■ビンラディンなき後、米国とパキスタンはどう協力するのか
アフガニスタン以外に、パキスタンにも様々な問題がある。
米軍はパキスタン当局に通告しないまま直接ビンラディンの居場所を急襲し、成功を収めた。これによって両国間の対テロ協力は終りを迎えたのかという大きな疑問が生じた。
これまでの情報ではずっと、ビンラディンはパキスタン北西の国境地帯の山間部に身を潜めていると思われてきた。同国の首都からわずか30マイルの軍事的要衝アボダバードに平然と身を隠していたという事実に人々は驚いた。このため米国社会ではここ2日間「パキスタン政府・軍はビンラディンに関する真の情報を一貫して入念に隠蔽してきたのではないか?さらには様々な面でビンラディンを陰で支えてきたのではないか」との疑問の声が噴出している。
パキスタン側は無人機で市民を殺害したり、パキスタン国内で特殊部隊による暗殺を行うという米国の手法に上から下まで強く反発し、主権や社会的安定を軽視し、脅かすものと受け止めている。今回また通告されないまま、国内に深く入り込んでこのような重大な行動を起こされたことが、パキスタン側にとって非常に具合の悪いことであることは間違いない。
スティーブン氏は、米国とパキスタンの関係はここ10年間で最も冷え込んだと指摘する。双方間には対テロにおいて信頼の不足や主権上の懸念などの溝が存在する。だが対テロやアフガン・パキスタン国境地帯の安全問題で利益を共有してもいる。「両国は自らの戦略目標をより透明にし、対テロ協力分野をより明確にすることで、この危機を乗り切るべきだ」とスティーブン氏は指摘する。(編集NA)
「人民網日本語版」2011年5月5日
http://j.people.com.cn/94474/7371079.html
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