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http://mainichi.jp/select/world/news/20110321ddm007030159000c.html
【ブリュッセル福島良典、ワシントン古本陽荘】国連安保理決議に基づく19日の対リビア軍事行動は仏英米主体で始まった。しかし、米軍は中心的役割を担うのには消極的。軍事行動は今後、北大西洋条約機構(NATO)加盟国とアラブ諸国に枠組みを広げたものに移行する見通しだ。
決議に盛り込まれている軍事行動は「市民保護のための必要なあらゆる措置」と「飛行禁止空域の設定」の2種類。19日の軍事介入のうち、仏軍機の空爆によるリビア軍車両の破壊は反体制派市民の保護が目的で、米英の巡航ミサイル「トマホーク」による防空施設攻撃は禁止空域設定の準備の側面がある。
市民保護のため戦車などの地上部隊を破壊するピンポイント空爆は、限られた数の航空機でも可能。だが、リビア全土上空の飛行禁止は湾岸戦争(91年)後、イラク北部・南部に設定された禁止空域の6倍以上の広さとなり、1日50〜70機の軍用機が必要とされる。
初日のトマホークによる攻撃の大半は米軍によるものだったが、戦闘開始後に米国防総省で会見した統合参謀本部のゴートニー事務局長(海軍中将)は「これは国際的な軍事活動」と強調。攻撃目標の設定が「同盟国との共同作業だった」と明らかにした。さらに、今回の攻撃で作戦指揮を執ったアフリカ軍のハム司令官が「近く多国籍軍側に指揮権を移行することになるだろう」とまで明言した。
遠方からピンポイントを狙った攻撃能力で圧倒的な優位性を持つ米軍としては、リビア軍の攻撃能力を無力化する得意分野では先陣を切ったものの、長期にわたり米軍が突出して戦闘を続ける意思がないことを示したものと言えそうだ。
このため初期段階の作戦は仏英米が担ったが、禁止空域についてはNATO加盟国主体の枠組みで維持されるとの見方が有力だ。すでにベルギー、カナダ、デンマーク、ノルウェー、スペイン、イタリアが戦闘機の出撃準備を整え、艦船もリビア沖の地中海に展開している。長期間にわたって禁止空域を維持するにはリビアに近い発進基地が不可欠で、イタリア、スペインは基地使用をNATOに認めている。
また、アラブ世論対策上、カギを握るのはアラブ諸国の参加だ。米英仏は軍事行動が「欧米の介入」と映ることを嫌い、フランスのアロー国連大使によると、アラブ首長国連邦(UAE)とカタールが航空機とパイロットの派遣を表明しているという。
軍事介入に反対してきたトルコは「安保理決議の枠組みで必要な準備を進めている」(外務省)とされ、ドイツも「軍事行動には参加しないが、アフガニスタンでより多くの責任を担う」(メルケル首相)と側面協力の構えだ。
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