http://www.asyura2.com/10/warb7/msg/213.html
Tweet |
http://www.kinyobi.co.jp/backnum/antenna/antenna_kiji.php?no=1693
フランコ独裁政権時の一九五九年、スペインからの分離独立を目指して結成された「バスク祖国と自由(ETA)」は、武装闘争をその活動の軸としてきた。六〇年代以来、そのテロの犠牲者はおよそ八〇〇人にのぼるといわれる。
ETAが武装闘争放棄の最も輝かしい「戦果」として喝采を浴びたのは、フランコの後継者と見なされたカレロ・ブランコの暗殺(七三年)だろう。しかし民主化後に一般市民を巻き添えにする無差別テロを繰り返すそのやり方は、多くのバスク人やカタルーニャ人の心情的支持を失っていった。
近年ではその政治部門バタスナ党の非合法化に加え、スペイン警察とフランス警察の厳しい追及による活動家の逮捕と武器の押収が相次ぎ、その組織は急激に弱体化している。そしてついにこの一月八日、ETAはビデオによる声明で「停戦」を宣言した。
この種の声明は今までにも数回あり、そのたびに一方的にテロ活動を再開したのだが、今回の声明では「永続的で全面的な停戦」を掲げ、「(独立問題の)解決はバスク民族の多数の意思による民主的なプロセスと対話と交渉を経て訪れる」、「これはETAによる最終的な解決へのプロセスと武装による対決終了の確かな約束である」と、武装闘争路線を放棄したとも受け取れる内容である。
この声明はスペイン語、バスク語と英語で行なわれ、英国やドイツなど欧州の大手マスコミで紹介された。
スペイン政府のルバルカバ副首相兼内相は、「これは組織の解散と武器引き渡しを含むものではなく、とうてい信用できない」と語り、ETAに対する追及の手を緩めない姿勢を明らかにした。またサパテロ首相もバスク州首脳との会談で「不十分である」という認識を表明した。しかし一方で、北アイルランド紛争の平和解決に成功したシン・フェインのジェリー・アダムス党首は、「恒久平和のチャンスとして生かすべきだ」と語り、この声明を積極的に評価した。
もしこのETAの武装闘争放棄が本物なら、フランコ独裁の負の遺産がまた一つスペインから消えることになるだろう。予断を許さないが、今後が注目される。
童子丸開・ジャーナリスト
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。