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http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=892
2008年から2009年にかけて起こった、ガザとイスラエル南部での紛争が終結してから2周年をむかえる。これにあたり、世界中のアムネスティ・インターナショナルの会員およびサポーターは1月18日、国連人権理事会の構成国が2011年3月の同理事会会合に先立ち、正義を求める犠牲者たちの要請にしっかりと耳を傾けるよう、キャンペーンを開始する。
ガザとイスラエル南部で再び緊張が高まっている中、アムネスティは、紛争中に亡くなった数百人の民間人の遺族、および紛争で負傷したり家を失ったりした数千人の人びとの要求に応えるための絶好の機会を逃さないよう、これからの2カ月、人権理事会の構成国に働きかける。同時に、紛争中の国際法違反についてイスラエルおよび事実上の統治者であるハマスによって行われた調査が不十分であったと宣告し、国際的な司法解決を確実に行うため、意義ある措置を求める断固たる決議を3月の会合で採択するための用意をするよう、アムネスティは理事会構成国に要請する。
その決議は、国際刑事裁判所(ICC)の管轄権を受諾するという2009年1月のパレスチナ自治政府の宣言に基づく捜査をICC が実行可能かどうかという問題を解決するために、予審裁判部判事の決定を緊急に求めるよう、ICC検察官に要請すべきである。その決議はまた各国に対して、普遍的管轄権を行使し、自国の法廷でこの紛争中に起きた犯罪を捜査・訴追するよう促すべきでもある。
加えてその決議では、国連総会が行動を起こせるよう、状況を同総会に付託するように人権理事会に対し要請すべきである。総会は、信頼できる調査の実施をイスラエルとパレスチナの当局に要請する2つの決議をすでに出しているが、これらは無視されたままである。
アムネスティは、人権理事会がこのような措置をいまだ講じていないことに失望している。2010年9月の先の会期において、調査が不十分である確固とした証拠があるにもかかわらず、政治的駆け引きが横行し、理事会は、公正な裁きのためのはっきりした道筋をもたない、重大な欠陥を持つ決議を採択した。人権理事会の構成国の中には、ガザ紛争の犠牲者のために正義を求めることは、イスラエルとパレスチナ自治政府の間の交渉の見通しを危うくすると主張する国もあった。
国際社会が犠牲者のための正義を保障できていないこと、そしてイスラエルと被占領パレスチナ地域でなされた人権侵害に対する免責のサイクルが続くこと自体が、同地域での持続的な平和と安全を達成するための重大な障害であると、アムネスティは考える。
背景情報
ガザ地区を対象とした、22日間におよぶイスラエルの破壊的な軍事攻撃「キャスト・レッド(鋳込まれた鉛)」作戦は、2009年1月18日に終結した。大多数が民間人である約1400名のパレスチナ人と、3名の民間人を含む13名のイスラエル人が紛争中に殺された。
2009 年9月には、人権理事会によって設立され、リチャード・ゴールドストーン判事に率いられた「ガザ紛争についての国連事実調査団」が、双方が戦争犯罪および人道に対する罪の可能性のある行為をしたと結論づけた。調査団は、裁きと犠牲者に対する補償を確実にするよう、各当局に要請する詳細な勧告をしていた。とくに調査団は、イスラエル政府とガザの関係当局が、紛争中に双方によってなされたという国際法違反の申し立てについて信頼できる調査を行うために6カ月を与えるべきと勧告していた。両当局は、来る3月の人権理事会の会合までで、そうした調査を行なうための時間を1年半与えられていたことになる。
2010年9月、アムネスティはイスラエルとパレスチナの調査についての評価を発表した。(以下、英語の原文)
http://www.amnesty.org/en/library/info/MDE15/022/2010/en
また、これらの調査を監視するため人権理事会によって設立された独立専門家委員会も報告書を出している。(以下、英語の原文)
http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrcouncil/docs/15session/A.HRC.15.50_en.pdf
アムネスティも独立専門家委員会も、イスラエルの調査が独立性や適切な専門知識、そして透明性を欠いていると結論づけている。65件を超える軍の調査が、犯罪捜査を開始することなく打ち切られた。こうして終了した調査の中には、国連施設や民間資産・インフラ、医療施設・人員へのイスラエルの攻撃、そして白リン弾を使用した攻撃や多くの民間人が死傷したその他の攻撃についての調査も含まれている。調査の中にはいまだ継続しているものもあるが、イスラエル軍(「キャスト・レッド」作戦に関与した部門を含む)が監督するこれらの調査は、中立的でも透明でもなく、重大な違反について起訴が行われる見通しはない。
ガザでは、紛争中に3名の民間人を殺害し、その他の負傷者を出したイスラエルに対する無差別ロケット弾発射を含む、ハマスと他のパレスチナ武装グループによる国際法違反行為の申し立てについて、事実上の統治者であるハマスは、信頼できる調査を行っていない。
2009 年1月22日の時点では、イスラエルもパレスチナ自治政府も、ICCのローマ規程を批准していなかったが、パレスチナ自治政府を代表してパレスチナの法務大臣は「2002年7月1日以降にパレスチナの領域でなされた」犯罪について司法管轄権を受け入れるとICCに対して宣言していた。この宣言は、ガザとイスラエル双方についての事実調査団の報告書に記載されたすべての犯罪を包含する可能性を持っている。
ICCの管轄権の状況とは関係なく、アムネスティは、国際法の下での犯罪に対する普遍的管轄権を行使することで、すべての国家は国際法の下、自国の法廷で、この紛争で行われた犯罪を捜査・訴追できるし、そうすべきであると明記しておく。アムネスティはまた、国連安全保障理事会がガザ紛争についてICCに付託する権限があることも追記しておく。
アムネスティ発表国際ニュース
2011年1月18日
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