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(回答先: 「迎撃ミサイル、第三国輸出容認へ 米要請受け政府」(日本もブラックゴースト団加盟?) 投稿者 戦争とはこういう物 日時 2010 年 7 月 25 日 08:45:29)
武力提供により米国戦略に協力せねば『存在意義』が保てないとは、 あまりに悲しい見解。だが超大国の認識は実際その辺りだろう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(引用ここから)
【オピニオン】自らの存在意義に頭を悩ますドイツと日本
マイケル・オースリン
2010年 7月 22日 17:28 JST
http://jp.wsj.com/Opinions/Opinion/node_84565
【ベルリン】「米国が日本に奪われてしまわないか心配だ」。先日ドイツのある国会議員がわたしにこう言った。どういう意味かと尋ねると、彼が見たところ、米政府が世界的な危機や取り組みのかじ取りに悪戦苦闘しているのを目にし、欧州の外交政策担当者の間では、こうした共通の懸念が生じていると明かしてくれた。
彼によると、欧州や欧州連合(EU)は、以前に比べて海外で安全保障上の重大な役割を果たせなくなってきており、世界的な影響力が衰えているという。そのため、米国は欧州の役割をあてにするのをやめ、世界的な安全保障上の責務をもっと担ってくれる他の国々に頼り始めているという。
日本が、英国や、近くアフガニスタンに5000人を増派予定のドイツなどよりも世界で重要な役割を果たしていると主張する人がいることに、日本の専門家は驚くかもしれない。だが、わたしが話をしたドイツの国会議員は、ドイツの防衛予算の縮小やアフガニスタンへの派兵に対する反対世論、徴兵制度廃止への動きといった気掛かりなトレンドがもたらす長期的な効果によって、ドイツは現在の安全保障上の役割を維持することが今後一層困難になることを気にしている。
さらに興味深いのが、この国会議員が独左派政党の1つに属していることだ。それにもかかわらず、彼はEUのみならず、ドイツ自体の世界的な影響力の低下を危惧(きぐ)し、その結果米国に見捨てられるのではないかと心配している。また彼は、日本とドイツをさらに比較し、日本は北朝鮮の脅威に気付き始めているのに対して、ドイツはイランの脅威を認識しようとしないと話す。
これらは、欧州とアジアの多くの米同盟国に共通の懸念だ。日本を訪れた人は、まったく同じ理由による、まったく同様の懸念をよく耳にする。日本の防衛予算は10年以上にわたって縮小しており、2006〜2010年の間は約1000億円減少し、現在4兆6826億円となっている。しかも、自衛隊のイラク、アフガニスタン、インド洋への派遣といった03〜09年に拡大した国際的な活動はすべて終了している。
日本は今、米国の最も強力な同盟国として認めてもらうどころか、昨年米軍沖縄普天間基地の移設条件をめぐって揺るぎかけた日米関係を何とか修復しようと必死だ。欧州も日本も高齢化が進む一方で、兵役が可能な若年層の大幅な減少に直面している。また、日本もドイツも第二次世界大戦に行った侵略行為への反省から、平和主義を根強く掲げており、それが安全保障政策のあらゆる面に常に影響している。
米日関係の黄金時代を象徴する2人。レーガン大統領と中曽根首相の関係は当時、お互いを「ロン」、「ヤス」と呼び合うほど緊密だった
そうした両国の嘆きには、単なる自己憐憫(れんびん)以上のものを感じる。先述のとおり、ドイツはアフガニスタンへの増派を予定している。一方、日本は、弾道ミサイル防衛の技術と能力の開発に多額の費用を継続的に費やしている。また両国とも、海賊対策の任務にあたらせるべく、アフリカ・ソマリア沖に海軍を派遣している。
だが、ドイツも日本も同じ事情を抱えており、懸念を深めるのももっともといえる。両国とも、米国がどんなにしつこく要求しようとも、安全保障の分野で今以上の役割は果たしたくないと考えている。さらにやっかいなことに、いずれの国も社会生活が非常に快適なため、国民、特に若者が、ドイツ人の友人いわく「ハングリー精神に欠けている」。
40年代以降欧州とアジアには常に米軍の存在があった。そのおかげで、ドイツも日本も、自らの防衛のためにさほど犠牲を払わずにすんできたし、自らの経済規模に比例した国際的役割を果たしてもこなかった。
そのため、両国は、本当の意味での戦略的対話をしないまま現在に至っており、それぞれの国にとっての国益は何かという重大な疑問は回答されないままとなっている。先のドイツの国会議員は最後に、日本とドイツは「自らの存在意義」というまったく同じ問題に悩まされていると述べた。いずれも、自らが世界で果たすべき役割が分からず、自らの責任を果たすことには消極的で、新たな世界で生きる覚悟をできずにいる。
ドイツも日本も米国に置き去りにされることを恐れているのは、皮肉な結果かもしれない。こうなってしまった原因は、日本とドイツの能力不足もさることながら、日本やドイツの世界観と米国のそれとが乖離(かいり)してきていることにある。
この違いは、やがて克服できないほどに広がる可能性がある。ドイツ人の友人は、ドイツとEUは「さまざまな価値の統一体」であり、中国をはじめとする他の世界の国々と競うことがますます下手になっていると話す。
今の欧州は、ハードパワーの行使や経済的なインセンティブにあまり魅力を感じなくなっている。これは日本も同じだ。鳩山由紀夫前首相は、自らの政権の外交政策の基本を「友愛」に置くと宣言していた。また、鳩山前首相も現在の菅直人首相も、具体的な行動はともかく、少なくとも口先だけは「東アジア共同体」という漠然とした構想の実現を唱えている。
しかしながら、米国との乖離は、同盟国側だけに原因があるわけではない。最近の米外交政策では、イラクとアフガニスタンは明らかに例外として、世界的な問題の解決に際して、極力対立を避け、事態の改善に努めようとする姿勢がみられる。
中国の台頭は、米国にとっては自らの世界的地位の低下を伴う。だが、米政府は、スーダンやイランをはじめ世界的な問題の解決において、中米関係が何よりも優先すべき重要事項であると自らを納得させるとともに、他国を説得する努力を一貫して行っている。
ブッシュ政権は結局、北朝鮮が核保有国であるという現実をほぼ受け入れることになったが、オバマ政権も今、イランについて、同様の状況に陥る危険があるようにみえる。米政府は、国際的な制度を脅かす脅威にどう対応すべきか明確に理解しておらず、どのような脅威があるのかさえもよく分かっていない。
米国のそうした明確性に欠ける点が、同盟国と競合国の間に一様に波紋を呼んでいる。自由主義的な世界秩序を脅かそうとする者は、米政府の優柔不断な態度に加え、自由主義国家同士が大規模で、効果的な連合を組み、自分たちの野望を阻止しようとするのを心配する必要がなくなったことを知って、今や気を良くしているに違いない。
一方、米国の同盟国は、依然として米国が世界の国々に代わって負担を負ってくれていることに満足しているか、あるいは、安全保障上の脅威や世界的問題の解決に多国間の国際的アプローチが効果をなさないことを認識することさえ避けようとしている。
米同盟国にとって、難しい決断をせずにいられる状況に終わりがくる日は近いかもしれない。米国は、自らの重要なパートナーと密接に協力し、責任感を持って世界の安全保障を引き受けている。
同盟国は、米国のリーダーシップを非難するのもいいが、迫り来る脅威によって、いつの日か、そうした米国の世界における存在の重要性に気付かされることになるだろう。それでもドイツや日本への訪問がこれまで同様楽しいものであることに変わりはないだろうが、彼らの未来は今よりもずっと不確かだろう。
(マイケル・オースリン氏はアメリカン・エンタープライズ研究所の日本部長)
マイケル・オースリン氏
翻訳: 原 尚子
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