【時視各角】中国の軍艦が爆沈していれば…（１）
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　軍艦が沈没したその海から底引き網漁船が魚雷推進体をすくい上げた。 推進体は北朝鮮製魚雷の設計図と同じで「１番」というハングルも書かれ、腐食の程度が沈没した軍艦と同じだ。 韓国政府と船長が操作したものでなければ、この推進体は北朝鮮が発射したまさにその魚雷だ。 こうした証拠が出てきたにもかかわらず、民主党や参加連帯など迷妄の勢力は北朝鮮の仕業と認めない。 推進体が発見されなかったとすればどうなっていただろうか。 魚雷推進体は神がかりの証拠物だ。 そして底引き網漁船の船長は虚偽勢力から真実の海を守った２１世紀の張保皐（チャン・ポゴ）将軍だ。

「天安（チョンアン）」は科学と正義の問題だ。 船は魚雷の爆発で破壊され、推進体を残した者が犯人だ。 これを認めるのが科学であり、４６人の命を奪った殺人者を指定して代価を支払わせるのが正義だ。 明白な事実に顔を背ければ非科学であり、卑怯や小利のために殺人者を名指ししないのは不義だ。

ある国や文明の尺度は、非科学と不義を統制し、科学と正義を勃興させるのに比例する。 中華人民共和国は１９４９年に人類の前に登場した。 中国は文化大革命（１９６６−７６年）という非科学と不義で人類に苦痛を与えた。 しかし中国は改革と開放を通して新しく巨大な文明として再登場した。 古代黄河文明と中国文明が２１世紀に華麗にまた息を吹き返しているのだ。 特に世界が経済危機に陥る度に中国は救命ロープになっている。

その中国が「天安」事件で文明の危機に陥った。 集団殺人の有力容疑者を国内に呼び入れ、韓国内で憤怒が強まると、中国は正しい方向で行動することを約束した。 ５月２８日に温家宝首相は金炯オ（キム・ヒョンオ）国会議長に会い、「中国は責任ある国家」とし「中国は正義を実現する」と強調した。 温首相は「私たちは韓国が他国と共同で進行した調査を非常に重視している」とも述べた。 しかし中国は国連安保理で結局、北朝鮮の魚雷という科学と北朝鮮問責という正義に背を向けた。

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=131083&servcode=100

　中国の高官は韓国内の反対勢力に言及したという。 第１野党が対北朝鮮糾弾決議案に反対し、参加連帯が安保理に‘不信の書簡’を送った事実を取り上げたのだ。 中国に問う。 中国は大きなことを決定する時、誰に従うのか。 多数の合理勢力か、それとも少数の迷妄勢力か。 天津沖で中国軍艦が沈没し、米国魚雷の推進体が発見されたとしよう。 そして中国内の反政府グループと少数民族抵抗勢力が「米国の仕業と信じることはできない」と叫んだとしよう。 ある国連安保理常任理事国がその主張を聞き入れ、攻撃者を問責することをためらえば、中国は納得できるのか。

イスラエル特攻隊がパレスチナへ行く補給船で捜索作戦を行い、抵抗する民間人１０人を殺した。 軍事テロでなく、論議を招く軍事行動だった。 それでも国連安保理は６月１日に議長声明でイスラエルの武力使用を非難し、船と人を即刻解放しろと要求した。 もちろん中国も賛成した。 テロでなくとも人が死亡したという理由でこのように糾弾しておきながら、なぜ４６人を犠牲にしたテロには犯人を名指ししないのか。 中国が言う正義とは何か。

科学と正義を重視する多くの国が国際調査団の結果を認めて北朝鮮を糾弾した。 米国・日本・ロシアなど主要８カ国（Ｇ８）、欧州連合（ＥＵ）、そしてアジア・中南米のほとんどがそうした。 中国はこれら隊列を離脱して違う道へ行った。 今回の件は中国の精神史で幾度にも負担になっていくだろう。 ４６人の水兵とともに沈没した軍艦の名前は「天安」だ。 「天安」は天の平和であり天の道理だ。 特に儒教文化圏でその意味は格別だ。 北朝鮮との関係という地上の小利のため天の意味に背を向ければ、それは文明の道ではない。

金ジン（キム・ジン）論説委員・政治専門記者