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http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=806
アムネスティ・インターナショナルはイスラエル当局に対し、パレスチナ人の家屋の破壊を停止するよう要請する。今現在、数千人のパレスチナ人たちが、家屋立ち退きの日常的な恐怖の中で生活している。
新たに発表された報告書『家ほど安全な場所はないというけれど イスラエルによるパレスチナ人の家屋破壊』は、違法建築だという理由で、イスラエル軍が被占領パレスチナ地域の家屋や他の建造物をどれほど破壊しているかを明らかにしている。
国連によると、2009年には、イスラエル当局からの命令で住居が破壊された結果600人余りのパレスチナ人たちが住む場所を失った。その半数超は子どもたちである。
「イスラエルの占領下で暮らしているパレスチナ人たちは、何を、どこに建築できるかについて厳しい制限を受けており、適切な住宅を得る権利を侵害されている」と、アムネスティ・インターナショナルの中東・北アフリカ部副部長フィリップ・ルーサーは述べた。
「イスラエル当局はパレスチナ人たちをどうしようもない状況に追いやっている。大多数の人びとは、多くの時間やお金がかかる公的な法手続きを踏んだ後でさえ、イスラエル当局の建築許可を得られない。そのため、公的認可なしに進めていく以外の選択肢はほとんどなくなる。しかし、そうすれば出来た建物がまもなくイスラエルのブルドーザーでぺしゃんこにされるかもしれないことを彼らは知っている。つまりパレスチナ人は、どんな選択をしようと結局ホームレスになることを迫られる」
大抵の場合、取り壊しは日程の予告なく行われ、所有物を持ち出したり避難場所を見つけたりする機会も与えられない。およそ4800件の取り壊し命令が懸案となっていると国連は見積もっている。
イスラエルの法律では、立ち退きにあった人びとには代替住居や補償を得る資格が保証されていない。そのため、親戚や友人およびその他の施しがなければ、多くはホームレス状態となり、貧困に直面することになる。
よく標的にされるのは家屋だが、イスラエル当局はパレスチナ人の学校、診療所、道路、貯水槽、送電用鉄塔、納屋、畜舎に対しても取り壊し命令を下している。
ヨルダン渓谷のキールベット・タナという小さな村に住むパレスチナ人たちは、この5年間に 2度、家屋を再建しなければならなかった。
2005年、イスラエル当局はこの村の多くの家屋や家畜小屋、貯水槽の他に、学校も破壊した。その後村人たちは家屋を再建したが、2010年1月10日に再びやってきたイスラエル軍により、100人のパレスチナ人たちの家屋が破壊された。このため、あらたに34人の子どもたちが家を失った。村の学校はまたも取り壊された。さらにイスラエル軍は、村にとっての主要な収入源である羊と山羊の畜舎を 12軒、破壊した。
2人の子どもの母親である24歳のラエダ・ナザスレは「軍のジープが朝6時にやってきました。村の人びとは谷にいる彼らの姿を見るなり、家から物を持ち出し始めました。私たちには雌山羊の乳しぼりを終える時間すらありませんでした。9時30分には、村はすべて破壊されていました」と、アムネスティに語った。
2009年10月、イスラエル軍はジャバル・アルムカビールのパレスチナ地域にある、リダ・ニムルと彼女の夫であるニムル・アリ・ニムルの家屋を破壊した。5人の子どもたちを含む3世代の家族はホームレスとなった。
「民間の請負人が運転する3台のブルドーザーを引き連れて、約30人の警察官と特殊部隊員が、子どもたちがまだ眠っている間にやってきました。警察官たちはすぐに周りを包囲して地区を封鎖しました。取り壊し部隊は作業前に家から2、3の家具を取り出しただけでした。嘆願して、娘のアマルが大学の勉強に必要なラップトップコンピューターを持ち出すことができましたが、それ以外は何ひとつ許可されませんでした」と、リダは言った。
アムネスティ・インターナショナルはイスラエル当局に対し、東エルサレムを含む被占領パレスチナ地域(OPT)でのあらゆる取り壊し行為を即時停止するよう要請する。
イスラエル当局はまた、建設の計画・実施に関する政策および規制の責任をパレスチナのコミュニティに委譲すべきである。
加えて、入植地に住むイスラエル民間人を退去させる最初のステップとして、被占領パレスチナ地域のイスラエル人入植地の建設・拡大を停止しなければならない。
「取り壊しと立ち退き命令は、たんに人びとの家屋を破壊するだけではない。彼らの所有物、そして平和な暮らしへの希望も奪い去るのだ」と、フィリップ・ルーサーは述べた。
■背景情報
報告書には、さらに多くの調査事例が記されている。
適切な住宅を得る権利はしかるべき生活水準を保つための必須要素である。それが満たされてこそ、家族、勤労、教育の権利など、他の権利がより実現しやすくなる基盤が提供されるのである。
イスラエルは経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約(社会権規約)の締約国であり、それに拘束される。この規約は差別なく適切な住宅を得る権利を明確に保障している。(第11条1項)
占領権力として、被占領パレスチナ地域でのイスラエルの行動は、イスラエルが署名している戦時における文民保護に関するジュネーブ第4条約にも拘束される。第53条は軍事的必要性によって正当化できない財産の破壊を禁じている。国連安全保障理事会と国際司法裁判所はどちらもジュネーブ第4条約が被占領パレスチナ地域に適用されると述べている。
アムネスティ発表国際ニュース
2010年6月16日
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