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「あの米軍がこの美しい島から来ていたなんて想像もしなかった」 高遠菜穂子リポート〈米軍の「残虐性」直視を〉
http://www.asyura2.com/10/warb4/msg/671.html
投稿者 読書中。 日時 2010 年 5 月 29 日 20:50:55: ak3IxOSAEFjas
 

http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=103

《全文転載》

高遠菜穂子リポート「破壊と希望のイラク第16回」

米軍の「残虐性」直視を――ファルージャから沖縄へ、ワセックさんの思い

(写真)
「あの米軍がこの美しい島から来ていたなんて想像もしなかった」

 イラク最激戦地ファルージャから来日したワセック・ジャシムさんは、沖縄の辺野古の海岸でそうつぶやいた。鉄条網の向こう側は、ファルージャ総攻撃の主力部隊、米海兵隊キャンプ・シュワブ。それにまつわる記憶はあまりにも残酷なものであったため、この五年は彼の心の奥底に封印されていた。

 ワセックさんは、「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」の招聘で来日し、全国五都市(名古屋、広島、東京、大阪、沖縄)を回るスピーキングツアーを行なった。彼の映像と体験談は、イラク戦争を検証する上で非常に貴重な証言となった。

米軍とアルカーイダの二重苦

 ファルージャの混乱は、市内に侵攻してきた米軍の学校占拠をきっかけに始まる。これに抗議して、市民二〇〇名ほどがデモを行なったのだが、米軍は市民の訴えに耳を貸さず、いきなり銃を乱射し始めた。ピースウォーク≠ヘ死者二〇名・負傷者七〇名以上を出す流血の惨事となった。この事件の三日後に、ブッシュ大統領(当時)が「大規模戦闘終結宣言」を出すのだが、ワセックさんたちイラク人にとっては「本当の戦争の始まり」だった。

 その後、武装勢力≠ェこのファルージャを中心に台頭する。イラク人は武装勢力≠きっちり分ける。イラク戦争以後、米軍の攻撃によって肉親を殺された遺族から成り、イラク市民を標的にしないのがレジスタンス=B戦争以後、外国から流入し、イスラム原理主義を唱え、イラク市民を標的にするのがアルカーイダ=Bワセックさんはファルージャの状況を「米軍とアルカーイダの二重苦だった」と説明する。

 二〇〇四年、ファルージャは大規模な総攻撃を二度も受け、その名を広く知られることになる。

 三月末日、ファルージャ市内で米民間人℃l名が殺害され、遺体が橋に吊り下げられるというショッキングなニュースが世界を震撼させた。ファルージャは一気にテロの巣窟≠ニ位置づけられ、米国内ではファルージャへの報復を支持する世論が盛り上がった。

 では、ファルージャ市民にとって米民間人≠ヘどう映っていたか。ワセックさんは言う。
「彼らは軍服を着てはいないが、重武装をして米軍に同行し、その残虐性は米兵と何も変わらない」

 ワセックさんは米軍に拘束された経験がある。手錠をされ、頭に黒い袋を被せられた状態で炎天下に二時間近く晒された。その間ずっと米兵は歌を歌いながら、彼に石を投げつけていたという。尋問官には椅子を投げつけられ、鉄製ワイヤーでむち打たれ、武装勢力メンバーだと自白するよう強要された。ワセックさんの友人の場合、これが米兵ではなく民間傭兵によるものだった。

「広島・長崎」をイメージ

 ワセックさんは、二度目の総攻撃の直前(二〇〇四年一一月六日)までファルージャ市内に住んでいた。自力で避難できない人たちの救助活動の後、自身も郊外の村に出た。物資の調達や配布などの緊急支援をそこで行なったが、攻撃はその村にまで及んだ。支援物資を運ぶトラックやボートはアパッチヘリの攻撃を受け、道路は封鎖され、村は孤立した。

 攻撃初日から七日目。米軍は、ファルージャの市民調査団が遺体確認のため市内の一部に入ることを許可した。ワセックさんはカメラマンとして同行したが、ビデオ撮影は禁じられたので写真撮影だけをすることになった。凄まじい破壊の様子を目にした時、「ヒロシマ・ナガサキをイメージした」と彼は言う。悲しみと怒りが入り混じった感情を持て余すが、目の前では米兵たちが、路上の遺体をミートフックでひっかけ、装甲車で引きずり、黒い遺体袋に詰め込んでいた。その光景を目の当たりにして彼の怒りは憎しみとなり、本気でレジスタンスになろうと思ったという。しかし壮絶な葛藤の後、武器ではなくカメラを持つと決める。

 この日、米軍は市民に七七体の遺体を返還した。郊外の空き地に集まった数百人の市民が、ブルドーザーで集団墓地の穴を掘りながら、身内かもしれない遺体を待った。到着したトラックの荷台から漂う腐臭は一キロ先まで届いていたという。黒い袋のジッパーを開けると、全身にウジがわき、真っ黒に焼け焦げ、犬に肉を食い尽くされた遺体が現れ、大きなショックが人々を襲った。「神は偉大なり!」という叫びと泣き声は、次第にアメリカへの報復を誓う怒号に変わっていった。ワセックさんは、その一部始終をビデオカメラに収めた。映像を公開した二〇〇五年当初は名前を伏せていたが、世界に「本当のファルージャ」を伝え、米軍の違法性と残虐性を明らかにしたことは間違いない。

 撮影を終えた夜、彼は一晩中泣いたという。一カ月間、食事が喉を通らず、眠れない日々が続き、臭いを消そうと何度も手と身体を洗ったそうだ。今回、五年ぶりに封印を解いたわけだが、記憶と共に強烈な臭いが蘇ったらしい。

抑止力から恨みの標的に

 冒頭のつぶやきを聞いた時は、せつなかった。ファルージャ市民を沖縄に連れて来たのは酷だったとも思った。けれども、「オキナワ」が残虐なイメージのまま帰ってほしくなかった。

 ワセックさんの沖縄訪問は大きな意味があった。沖縄にはイラクと同じようにたくさんの家族が住み、イラクと同じように米軍に苦しんでいることを知ってもらえた。県民大会で、米軍に抵抗する九万の群衆を見たことも大きい。ファルージャ市民には、「群衆は撃たれる」というトラウマがあるが、武装闘争以外の可能性を感じてくれたと思う。沖縄の学生たちと今後も交流を続けるという約束も交わした。互いにエールを交換していけたらと思っている。

 もう一つ重要だったのは、私たちに在日米軍の本来の姿を認識させたことだ。それは、イラク復興支援≠ネどではなく、明らかに殺戮の加害行為≠セということだ。そして、私たち日本人は加害の後方支援≠していた。私はこのことを理由に在日米軍基地にNOと言い、わが国のイラク戦争支持とイラク復興支援≠ノNOと言う。

 時代は変わった。抑止力≠フはずの米軍基地は、もはや世界のあちこちから恨みを買う標的≠ニなりつつあることを私たちは知るべきだろう。

(高遠菜穂子・イラク支援ボランティア)
 

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コメント
 
01. 2010年5月30日 02:16:08: P5EoBf8LJ1
さすが高遠さんだ。いい記事だと思う。

オバマは拷問を禁止したがそれは表面上であり、今でも委託業者(民間傭兵)による拷問は合法だと聞く。元々、アメリカ政府関係者による拷問は極僅かだったとか。
所詮、オバマも戦争屋アメリカの大統領ということか。
有事法制がある以上、日本でも同じような事態が起きないとは誰にも断言できない。


02. 2010年5月30日 05:44:59: Get9aY0xRA
日本は戦争協力者=殺人破壊魔の仲間なんだよ戦後ずうっと
抑止力なんて傲慢インチキなんだ
基地をアメリカに提供するってのはそういうことだ
美しい海ならグアム・テニアンも同じこと
「移設」なんてして欲しくないね
「完全撤去」してうちに帰って真面目に働けってんだ

だから基地NOなんだ


03. 2010年5月30日 10:31:26: vD9WYa3O82
このようなイラク内部でテロ組織掃討作戦の名で行なわれて残虐な虐殺行為を論文で見るにあたり、義憤とイラク人達に対して哀悼の意を感じます。

このような真実は日本の大手マスコミでは、テロ組織の恐怖感を国民に誘導する為に報道が使われる。非情な米従組織であるが為、日本の大手マスコミから悲惨な状況は国民には通たわりにくい。テロ組織がやったとみられる自爆テロが殆んど。(何年も経て先月やっと夜遅く編集された、米ヘリによるカメラマン掃射のNEWが報道されたが)

米軍のこの残虐な行動はかって第二次大戦中起きたユダヤ人虐殺と疑似しており米国はイスラム人を仇敵として、報道統制した中で平気で人殺しをしているのだろう。小生自身ハチャメチャな気持ちになるがアルカイダも米国従属勢力との仮説すらある。この様な両対立軸を常に作り緊張状態と戦争のきっかけを醸造している
のが米国であると最近は考えてしまう。

兵器産業も戦争状態が続くなか残虐な最新兵器を開発し、イラク、アフガンの戦場で使用し手応えを確認し更に多量殺人兵器の開発に勤しんでいるようだ。これが現実であるようで恐ろしい。

沖縄の人たちがこの海兵隊(殺人部隊)の保養地として提供されている。
精神的に疲弊し、気が立った兵士達は地元民とトラブルを起こすことは充分予想される。
沖縄の住民は挑戦事変、ベトナム、湾岸、イラク、アフガンと兵士達に休養地
として差別的な地位協定の中、何十年も提供してきたことは本土の小生として沖縄住民に感謝に耐えない。辛抱強く米国基地返還を推進しましょう。


04. 2010年5月30日 13:10:23: 5I1SZjd0Is
この人の救出にも官房機密費は使われたのだろうか?

05. 2010年5月30日 16:16:44: P5EoBf8LJ1
>>04
だとしたら、官房機密費もごく稀に正しい用途に使用されていた、ということになるね。
官房機密費は問答無用で全廃でいいかと思ってたけど、考えなおそうっと。

06. 読書中。 2010年5月30日 16:39:52: ak3IxOSAEFjas: FNrUqdiGn6
救出ではなく、自己責任論や自作自演説を日本国中に吹き荒らすために使われたのではないですか?

高遠さんらの救出を目的と称した逢沢一郎外務副大臣御一行様は、ヨルダンの高級ホテルに陣取り優雅に滞在。
実際に救出に向けて治安の悪化したイラクで動いたのは、外務省が接触すらしなかった、高遠さんの活動を知るイラクの人々や宗教関係者、そして国籍を問わず現地で活動していたジャーナリストや国際協力団体。
無事救出後、日本政府からアラブ世界へのメッセージを流す放送枠を、在カタール日本大使にアルジャジーラが申し出てくれたにも拘らず、本庁に連絡とって戸か何とかいって逃げた。
日本を代表する形でお礼を言ったのは、救出への協力を呼びかけた市民団体メンバー。
あのときの日本政府そしてバッシングは、本当に情けなく、悔しかった。

岡田外務大臣が、当時日本政府がどこで情報収集をしたのか、何に20億円を使ったのか、領収書とともに公表すればはっきりします。
これは外交機密ではないですから何の問題もないはず。


07. 2010年5月30日 16:59:45: qfNKW03MTY
日本の心をうしなったウヨウヨ団の連中にはとうてい受け入れられないような、あたたかいまなざしを感じるいい投稿です。
ほんとうに心が伝わり、真実・本質が伝わるいい記事だと思います。

今から7年前年あの小泉ウラ官邸の情報作戦部によって仕掛けられた。
”自作自演”説にはめられたネット世論にはじまる心無い日本中からのバッシングにさらされた高遠さんがこうして健在なことを知れてうれしいです。
実を言えば自分がネット投稿を始めたのもイラク戦争での怒りが出発点です。

逆境から逃げず、あえてそれをうけとめ乗り越えたものだから発することができるこころがこもった高遠さんの記事を今後も期待します。


08. 2010年5月30日 17:04:09: bstuWcLNKU
ファルージャ戦はイラクの戦争の勝利を決定付けた記念すべき戦い。
太平洋戦争でいえばノルマンジーや硫黄島のような象徴的な意味を持っています。

09. 2010年5月30日 17:17:59: FqDvXxU8vI
ファルージャ虐殺は米軍がナチスと同等の「道徳レベル」にある事を内外に印象付けた包囲虐殺だった。
ファルージャすら数回に及び包囲虐殺されたし、それ以降にアフガニスタンでもマルジャ虐殺が同じ包囲虐殺だ。
ジュネーブ条約に明らかに違反し、米国は悪の帝国としてイスラム世界に認識された。
「米国の終わり」を決定できた歴史的なターニングポイントであり、以降、現在の天安沈没問題に至る「一強時代の終焉」を齎した。

10. 読書中。 2010年5月30日 17:52:57: ak3IxOSAEFjas: FNrUqdiGn6
〉08さん
「ファルージャの戦い」は、外国人を追い出し「密室」になったところで、数度にわたって市民の殲滅を図った、おぞましい記念すべき虐殺事件。
ベトナム戦争で言えば、ソンミ村事件と同じ象徴的な意味を持っています。

11. 2010年5月30日 22:29:23: jXuCyuQauw
>>04-05
それが機密費というものの本来の使い方の一つでしょう。
地元有力者への情報収集・仲介の依頼料や、「テロに屈しない」という各国の建前の下で、犯人側との直接交渉にあたる民間交渉業者への代金とか。

12. 2010年5月31日 10:24:14: ImKicPLINw
戦争の話は、いつも心が震え辛く苦しくなります。
もともと白人の歴史は、戦争と殺戮の歴史です。それが彼らの文化の基本だと以前から硬く思っています。キリスト教と言う戒律の厳しい宗教を取入れても、その解釈をねじ曲げ人殺しを続けています。「十戒に、人を殺してはならない。地獄に行く。」日本人は、この戒律に忠実に守ろうとするが、彼らは、正当防衛なら、戦争なら、かまわないとか屁理屈を並べて、何千年も人殺しを続けています。日曜日には、教会に行き「神よ!救いたまえ!永遠の命を与えたまえ!」とお祈りし、また人殺しに出かける。こんな様は、日本人には、想像し難いのですが、彼らには、日常なのです。
戦後日本は、戦争をしなかった。と言っているが、すべてのアメリカが起した戦争に日本は参加しています。日本にアメリカの基地が、沖縄にアメリカの基地がなければ、朝鮮戦争も、ベトナム戦争も、イラク戦争も、アフガン戦争も、アメリカはやらなかったと思います。アメリカ本土から全て遠く、補給ができないからです。これから先アメリカの考えている戦争(北朝鮮、イラン)にも、日本の基地がいるのです。


13. 2010年5月31日 10:27:54: kIGHMeEoMM
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100531/t10014782611000.html

米軍 イラク撤退に変わりない
5月31日 6時16分
イラクで、ことし3月の国民議会選挙後、治安が急速に悪化するなか、アメリカ軍の撤退が計画より遅れるという憶測が出ていることについて、現地のアメリカ軍の責任者は、イラクの警察や軍が治安回復の最前線に立つべきだとして、撤退のスケジュールに変わりはないことを強調しました。

イラクでは、ことし3月の国民議会選挙のあと、新政権の発足が大幅に遅れている政治的な空白をついて、イスラム教の宗派間の対立をあおることをねらったとみられるテロや、イラク政府の治安組織を標的にしたテロが相次ぐなど、治安が著しく悪化しています。こうしたなか、アメリカ軍のロウ少将は、30日、首都バグダッドで記者会見を行い、一連のテロをきっかけにシーア派とスンニ派の宗派間の対立が再燃するおそれがあるとしたうえで、警戒を強めていることを明らかにしました。その一方で、「市民に向けられるテロは、今後、イラクの警察や軍が最前線に立って止めるべきだ」と述べて、当初の方針どおり、ことし8月末までに戦闘部隊を撤退させる計画に変わりはないことを強調しました。イラクでは、過激派組織が今後も新政権の発足の遅れにつけこんでテロ行為を活発化させるとみられていることから、アメリカ軍が撤退のスケジュールを遅らせるのではないかという憶測が広がっていました。


14. 2010年5月31日 21:41:52: 7AxVRrD2yw
イラクからの撤退≠本国帰還、アフガニスタンへの兵力のシフト、増強でしかない。出口戦略を設定しないまま、シャイロックの末裔に仕える(MONEYMONGERS+W‐ARMONGERS)が惹き起こしたイラク・アフガン戦争の泥沼化。(米軍は自軍兵士の死者数すら操作している。負傷兵の扱いで救急車、救難ヘリ搬送の時点で「既に死亡」の兵士のみボディカウント。搬送中〜その後死亡者についてはカウント数にいれていない。実態は公表数値の数倍であるとも)
 イラク・アフガニスタンの一般市民の死傷者数については、民間機関の調べ(ネット情報)では2010年4月末時点で89万余にのぼるとのこと。 
 
 米英軍にとっては、まがりなりにも自前で遂行できたヴェトナム戦争と違い、当初から他国の懐をあてにした借金でまかなっている戦争である。世界金融崩壊が惹き起こす自らの国内瓦解を目前にして、今度はイラン・イスラエル戦争? 第二次朝鮮戦争?停戦協定なぞ終に交わされることのない、無間地獄に他ならない。
 
 しかも日本はこの戦争に軍資金を上納し、兵まで派遣している。イラク・アフガン勢力から反撃を受けても、文句言える立場ではないこと自覚すべきである。

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