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善悪が逆転するイラン核問題 (田中宇) http://www.asyura2.com/10/warb4/msg/513.html
(回答先: イラン大統領:日本に原爆を落とした国がどのツラ下げて!(よくぞ言ってくれた!) 投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2010 年 5 月 04 日 06:51:17)
イラン情勢と朝鮮半島が光と影に見えます。 《以下、一部転載》 5月3日、ニューヨークの国連本部で、NPT(核拡散防止条約)の加盟国が5年に一度集まって核廃絶の世界体制を見直す「NPT見直し会議」が開幕した。5年に一度の見直しなので突っ込んだ討論が行われ、会期は5月28日までと長い。世界の核廃絶を目標に掲げ、昨年に早々とノーベル平和賞をもらったオバマ大統領は、核廃絶を推進する機構としてこの会議を重視していた。 ところが、見直し会議の初日、国家元首として最初に演説したのは「核兵器開発疑惑」でオバマの仇敵となっているイランのアハマディネジャド大統領だった。彼は、初日の会議に参加した唯一の国家元首で、国連では各国代表が国内での位の高い順に演説する決まりなので、国連など国際機関のトップ3人に続き、この日の4番目の演説者となった(5番目はクリントン米国務長官)。(Ahmadi-Nejad to attend NPT summit) アハマディネジャドは演説で「すべての核兵器保有国はIAEA(国際原子力機関)の核査察を受け、核兵器を廃棄すべきだ」とぶち上げ「他国を攻撃すると脅す核保有国である米国やイスラエルこそNPT違反だ」と非難した。また「すべての国には核の平和利用をする権利がある。イランなど途上諸国が核の平和利用を認められないのはおかしい」と主張した。(President Mahmoud Ahmadinejad looks far afield for diplomatic help) 日米欧で情報源がマスコミ報道しかない人々は「イランは核兵器を開発している」と思っているだろう。そのような人から見れば、アハマディネジャドの演説は、泥棒が防犯について力説するようなもので、聞くに値しない。しかし実は、イランが核兵器開発しているという指摘は米イスラエルの策略による濡れ衣で、IAEAはイランを何度も査察し、核開発が平和利用に限定されていることを確認している。(歪曲続くイラン核問題) 米イスラエルの影響下にある国際報道の方が間違っていると気づいた上で、アハマディネジャドの演説を聞くと、実は彼がまっとうなことを言っていることがわかる。 彼が言っている2点のうち「すべての核兵器を廃絶する」という目標は、オバマ大統領から広島の秋葉市長まで多くの政治家が言っていることと同じだ。もう一つの点である「あらゆる国に核の平和利用権がある」ということは、従来から国際社会の建前だったが、実際には、先進諸国は途上諸国に対して原子力のノウハウを出し惜しんできた。しかし最近、イランに触発されて、エジプトやヨルダン、サウジアラビア、シリア、トルコ、ベネズエラなどの国々が、ロシアやフランスなどの支援を受け、こぞって原発建設に乗り出している。ブラジルなどは、わざわざイランの原発で使えるかたちのウラン燃料の濃縮施設を稼働し、先進国に楯突く姿勢を強めている。(Brazil Officially Starts First Uranium Enrichment Facility) 5月3日のNPT会議で、アハマディネジャドの次に演説したクリントン米国務長官は、イランの「核兵器開発」を非難したが、イランの核開発が平和利用ではないと主張する新たな根拠を何も示さなかった。(White House Official: NPT Conference 'All About Iran') 途上諸国から見ると、米国を正当に批判するイランに、米国が濡れ衣をかけて攻撃しているという図式が強まっている。クリントンは08年の大統領選挙(予備選)にオバマの対抗馬として出馬した際、軍事(ハードパワー)に頼りすぎたブッシュ前政権を批判して「ソフトパワー(外交力)」を前面に押し出す戦略を主張したが、今回の件では、クリントンよりアハマディネジャドの方がソフトパワーをうまく駆使している。アハマディネジャドを「核問題における途上国の代表」として評価する分析者もあらわれている。(Ahmadinejad steals 'smart power' torch) アハマディネジャドの演説で批判された米英イスラエルの国連代表は抗議の意味を込めて退席し、バンキムン国連事務総長も演説直前に会場を去った。だがバンキムンは、国連内で途上諸国がアハマディネジャドに対する支持を強めているのを受けて、アハマディネジャドと握手する光景をマスコミに撮影させ、政治的なバランスをとった。 (中略) ▼途上諸国が世界体制を転覆する トルコとブラジルによる動きは、米国が覇権国の威信をかけて展開してきたイラン制裁や政権転覆策に、風穴を開けるものだ。米国が隆々とした超大国だった以前なら、米国による報復が恐ろしいので、トルコやブラジルは動かなかっただろう。だがイラク戦争後、米国の威信は揺らぎ、米国が間違っている場合には、報復を恐れずに米国の戦略に横槍を入れられる新時代がきたことを意味している。いまだに対米従属一本槍の日本には想像もつかないような、国際政治の転換が起きている。 今回動いたのがトルコとブラジルという2国だったことも意味がある。トルコは、従来の「欧米化」路線を捨て、昔のオスマントルコ時代のように「イスラム世界の盟主」になることを目指し始めている。トルコは「スンニ派の代表国」として、「シーア派の代表」であり、隣国でもあるイランと、戦略的な関係を持ちたい。(メッカを擁するサウジアラビアは、トルコとイランの動きに脅威を感じているが、対米従属を貫いてきた金満で臆病なサウジは、イスラム世界全体の反米感情の高まりの中で、強いことが言えない。サウジ国王は、イランのアハマディネジャドをメッカ巡礼に招待するなど、むしろ懐柔策をとっている)(Strategy shift in the Middle East) 一方ブラジルは、BRIC(中露印伯)の中で唯一ユーラシア大陸の外にある国で、中露のように安保理常任理事国(5大国)でもなければ、核兵器保有国でもないという自由な立場にいる。だから、核問題であり、ユーラシア地政学の問題であり、国連改革の問題でもあるイラン核問題を仲裁するBRIC(非米同盟)の代表としてうってつけだ。 トルコもブラジルも、今回の動きの前に、ロシアと密接に連絡をとっている。ロシアのメドベージェフ大統領は先日トルコを訪問したし、ブラジルのルラ大統領はテヘランに行く前にモスクワに寄っている。ロシアは、今回の動きの中で黒幕に徹している。中国もおそらく黒幕的に動いている。 国連では、米欧主導のイラン制裁案への反発を皮切りに、トルコやブラジルが他の途上諸国を率いて、米英が安保理を使って国際政治の方針や善悪を決定する現世界体制の転覆をめざす反乱が強まりそうだ。そこにおいて中露は、安保理5大国の一部であるため、前面に出ると途上国の批判にさらされる。だが、米英主導の現体制は、中露にとっても「人権外交」などを振り回される迷惑なものであり、途上国が結束して世界体制を転覆するのなら、それに協力したいと中露は思っている。だから黒幕的に動いている。 トルコのエルドアン首相は今回、イラン核問題の仲裁に成功した後「安保理常任理事国の5大国は、自分たちは核兵器を持ったまま、他の国々には核廃絶しろと要求する。安保理は、イラン核問題を審議する場としてふさわしくない」と発言している。これは、米国の核兵器は少しずつしか削減しないのに、世界に核廃絶を求めるオバマの核廃絶戦略に対する批判にもなっている。(Erdogan questions UNSC 'credibility') (後略)
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