投稿者 千早@オーストラリア 日時 2010 年 4 月 10 日 20:47:07: PzFaFdozock6I
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2010年4月10日 http://tanakanews.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【田中宇プラスから】━━
◆操作される金相場
http://tanakanews.com/100405gold.php
【2010年4月5日】 従来は、ドルや債券といった「紙」の証券に対する
強い信用が世界的にあり、金地金を物理的に手元に置きたい所有者は少なかっ
た。しかし、ドルや債券に対する信頼が揺らぎだし、今後さらに信頼が崩れそ
うだ。金地金を手元に置かないと安心できない人が増え、金の債務不履行が起
こりうる。それが起きるときには、紙幣を含む証券への信頼が減っている。
地金業者は「金地金が足りないので、代わりに現金で払います」と言うだろう
が、現金が信用できないから金地金を手元に置きたい人々は拒否し「紙切れは
要らない。金地金をくれ」と怒るだろう。これは「金の取り付け騒ぎ」である。
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★カルザイとオバマ
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アフガニスタンのカルザイ大統領が、米政府との対立を激化させている。こ
との発端は昨年8月のアフガン大統領選挙で、カルザイ陣営が大規模な不正を
行ったと米政府がカルザイを非難し、これに対してカルザイは「不正をやった
のは米国の方だ」とする逆非難を強めた。カルザイは「米政府は、私を政権の
座から蹴落とすために、昨夏の選挙で私が不正をやったように見せかける策略
をやった」と、4月2日の演説の中で述べた。米政府広報官は「カルザイはウ
ソをついている」と非難し返した。
http://www.ft.com/cms/s/0/eca9d1e4-3e7f-11df-a706-00144feabdc0.html
Karzai speech provokes White House alarm
昨夏の選挙でカルザイが全く不正をしなかったとは思えないが、同時に、米
政府の要員が不正を手伝ったこともほぼ確かだ。昨年8月の選挙直後、EUが
派遣した選挙監視団が、カルザイの得票の3分の1は不正票で、全アフガンの
投票所の15%は実際に存在していないと発表した。
http://www.nytimes.com/2009/09/17/world/asia/17afghan.html
Europe Says One in Three Karzai Votes Are Suspect
その後の昨年9月、誰が不正を企てたかをめぐって国連内の欧米間で仲間割
れが起こり、アフガン駐在国連代表部の副代表をつとめる米国のピーター・ガ
ルブレイスが、上司である同部代表のカイ・エイド(ノルウェー人)から「選
挙不正を隠蔽しろ」と命じられたと「暴露」して電撃的に辞任した(選挙不正
を糾弾した後、国連の許可を得ずアフガンを出国し、米国の自分の農場に引き
こもった)。
http://news.antiwar.com/2009/10/04/galbraith-was-ordered-to-cover-up-karzai-fraud/
Galbraith Was Ordered to Cover Up Karzai Fraud
http://www.guardian.co.uk/world/2009/oct/04/afghanistan-elections-pete
r-galbraith-un
One in three votes for Karzai fraudulent, says US diplomat
ガルブレイスは、米政府のアフガン担当責任者(大統領特使)であるリチャ
ード・ホルブルックの昔からの側近だ。不正選挙の真相は、ホルブルックら米
国のアフガン駐在が、カルザイに「選挙で負けそうだから俺たちが不正を手伝
ってやる」と半ば命令的に言って、大々的に選挙不正をやって後で暴露する構
図を作り、米国の傀儡になりきらないカルザイを追い落とそうとしたようだ。
カルザイ陣営はそう考え、昨秋から「不正は米国の仕業だ」と言っている。
http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=109040§ionid=351020403
Karzai: Foreigners manipulating Afghan vote recount
ガルブレイスら米国側の「国連は不正選挙を容認した」という主張はおかし
い。アフガン占領は米国の戦略であり、国連や欧州は、覇権国である米国の戦
略に従っているだけだ。もし国連が不正を容認するとしたら、それは米国自身
が不正を容認もしくは企画した場合のみである。
http://www.nytimes.com/2009/10/01/world/asia/01nations.html
U.S. Critic of Karzai Is Fired From U.N. Mission
アフガンの政治構造は、多数派のパシュトン人と、少数派のタジク人やウズ
ベク人などの連合体(北部同盟)との相克で、タリバンはパシュトン人の組織
だ。カルザイもパシュトン人で、一族の本拠地もタリバンと同じ南部のカンダ
ハルだ。カルザイは90年代末に米国がタリバンを敵視する前後から、タリバ
ン敵視の姿勢をとり、そのおかげで米国がタリバンを蹴散らしてアフガンを占
領した後、米傀儡政権の大統領に就任させてもらった。
(カルザイの一族は1973年にアフガン王制が倒れるまで国王の側近として
大臣や大使を輩出した旧エリートで、貧農の若者を集めたタリバンとは身分や
階級の面で対立している)
http://en.wikipedia.org/wiki/Hamid_Karzai
Hamid Karzai From Wikipedia
タリバンはパキスタンのISIが作った組織だ。カルザイら北部同盟系の人々
は、米国のホルブルックがカルザイを敵視する理由について「ホルブルックは
パキスタンと結託し、タリバン以外のパキスタン系の勢力にアフガン政権を
渡そうと考え、北部同盟系のカルザイを潰そうとしている」と思っている。カ
ルザイとホルブルックは、以前から犬猿の仲だ。
http://www.atimes.com/atimes/South_Asia/LD02Df02.html
The alienation of Hamid Karzai
▼米軍の残虐がカルザイを反米に押しやる
米軍は、タリバンの拠点を攻撃して潰すことが重要だとして、今夏、タリバ
ン最大の拠点である南部のカンダハルを攻略することを予定している。すでに
今年2月には、カンダハル攻略の前哨戦として、南部の町マージャを攻撃して
いる。米軍はマージャ攻略が成功したと言っているが、同時に米軍司令官は
「マージャ市民の95%はタリバン支持者だ(つまり敵であり殺害対象)」と
述べ、米軍は多数の市民を殺し、米軍に同行したアフガン軍は市街を略奪した。
http://uruknet.com/index.php?p=m63238&hd=&size=1&l=e
US Poised to Commit War Crimes in Marjah
(新生アフガン軍の兵士の大多数は、タジク人など北部同盟系の人々で、彼ら
は伝統的にパシュトン人と敵対してきた。略奪や残虐行為は無理もない)
http://www.thenational.ae/apps/pbcs.dll/article?AID=/20100315/FOREIGN/703149839/1042
Operation in Marjah Jeopardizes Peace Plan
マージャの惨状を見て、カルザイ一族を支持してきたカンダハル市民の中か
らカルザイに「米軍のカンダハル侵攻をやめさせてくれ」と多数の懇願が寄せ
られた。カンダハルの州知事はカルザイの弟であり、弟にも大きな圧力がかか
った。それを受けて3月末、カルザイはカンダハルに行き、地元の有力者たち
を集めて「国民の支持が得られない限り、米軍にカンダハル攻略をやらせない」
と宣言した。
http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=122469§ionid=351020403
Karzai steps up attack against US war policy
(米英マスコミの評論家ですら、マージャやカンダハルへの攻略は失敗すると
警告している。地元の反対を受け、カルザイが米軍にカンダハル攻略をやめさ
せたいと思うのは当然だ)
http://www.ft.com/cms/s/0/dc5e92f8-1a66-11df-a2e3-00144feab49a.html
Britain needs an Afghan exit strategy
米軍はすでにカンダハル攻略を決めている。カルザイを傀儡とみなす米軍や
米政府のアフガン担当幹部たちにとって、カルザイの宣言は、許しがたい反逆
ということになる。その一方で、米軍はマージャ攻略以外にも誤爆などで市民
殺害を繰り返しており、アフガン人の多くは強い反米感情を持っている。カル
ザイが国民から米国の傀儡と見られる状況を脱却し、政治基盤を強めるには、
米国を批判する方が得策だ。カルザイの反米姿勢は、アフガン議会でも広く支
持されている。
http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=122406§ionid=351020403
Afghan upper house backs Karzai anti-US decree
▼「カルザイは精神不安定な麻薬中毒患者」
カルザイがアフガニスタンの指導者であり続けるには、タリバンやその他の
各派との敵対をやめて協調し、自分の政権に引き入れることが必要だ。カルザ
イは今年1月のロンドンでのアフガン関係諸国会議にタリバンの代表を招待す
ることを画策したが、米国のクリントン国務長官らに猛反対された。2月には、
カルザイはアフガン国内でタリバンと和解する国政会議(ロヤジルガ)を開こ
うとしたが、これにもクリントンらは「タリバンが事前にアルカイダとの決別
を宣言しない限り、会議への参加は許さない」と阻止した。
http://original.antiwar.com/porter/2010/02/02/us-karzai-clash/
US, Karzai Clash on Unconditional Talks With Taliban
タリバンの支持者の多くは、米国に挑戦するアルカイダを心理的に支持して
いる。タリバンがアルカイダを公式に非難することは無理だった。(アルカイ
ダは米英諜報機関の創作物であり、実際にアルカイダに参加しようとする者は、
諜報機関の要員として機能させられる)
http://freedomsyndicate.com/fair0000/latimes00111.html
US Cool to Karzai Plan on Taliban
行き詰まったカルザイは、米国からの離反を強めた。米国に頼れないなら、
中国やイランに頼るしかない。カルザイは3月24日、北京を訪問して胡錦涛
主席と会談し、経済を中心とした国家再建に中国の支援を受けていくことを決
めた。すでに中国企業はアフガンにある世界有数の銅鉱山などを買収し、資源
利権の面でアフガンを傘下に置き始めている。
http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=230756
Afghanistan, China Vow Strong Relations
http://www.atimes.com/atimes/Central_Asia/LC26Ag02.html
Karzai, Hu discuss economic ties
カルザイは訪中の2日後に、ペルシャ暦正月のお祝いを言いにテヘランを訪
問し、イラン最高指導者のハメネイらと会談した。イランは、ヘラートを中心
とするアフガン西部や南部と国境を接し、古くからアフガン西部はイラン東部
との経済的、人的な一体性が強い。カルザイ自身、カブール市民の多くと同様、
パシュトン語のほかにペルシャ語(ダリ語)が話せる。米国のアフガン占領が
混乱し、カルザイ政権がイランとの協調を模索する中で、イランはすでにアフ
ガン西部に領事館を開設し、存在感を増している。
http://beta.thehindu.com/news/international/article245965.ece
Iran to Step Up Afghan Presence
同時期にカルザイは、アフガン政界のパキスタン系の指導者(戦国大名)の
一人であるブルグディン・ヘクマティアルと会談し、これまでの敵対をやめて、
カルザイ政権に取り込んで挙国一致型の政府を作る動きをとり始めた。ヘクマ
ティアルは以前から「米軍を撤退させるべきだ」と強く言い続けてきた。これ
らの動きからは、カルザイが米国に頼らない国家再建を目指す「非米化」の
姿勢を急速に強めていることがうかがえる。
http://www.ft.com/cms/s/0/cca60bc0-35c3-11df-963f-00144feabdc0.html
Karzai in talks with senior militant leaders
カルザイが非米的な戦略に転換した直後から、米政府はカルザイ敵視をさら
に強めた。4月6日、米大統領府の広報官は「米国は、カルザイを同盟者と今
でも考えているかどうか」という問いにまっすぐ返答せず「カルザイは民主的
に選出されたアフガニスタンの指導者である」と杓子定規に答え「(昨夏のア
フガン選挙で米政府が不正をしたというカルザイの主張に)困惑している」と
述べた。
http://news.antiwar.com/2010/04/06/white-house-wont-say-if-karzai-is-still-an-ally/
White House Won't Say if Karzai Is Still an Ally
昨夏の選挙後、国連を非難して米国の農場に引きこもったガルブレイスも久々
に再登場し、カルザイを「精神が不安定だ。(アフガンに多い)麻薬中毒患者
ではないか」と酷評した。カルザイの広報担当者は「ガルブレイスこそウソつ
きだ」と怒りのコメントを発表した。
http://news.antiwar.com/2010/04/07/as-tensions-grow-us-alleges-karzai-drug-abuse/
As Tensions Grow, US Alleges Karzai `Drug Abuse'
カルザイだけでなくアフガン人の全体の怒りを扇動する言動も、米国から発
せられている。たとえば米軍のアフガン駐留米軍司令官であるスタンレー・マ
クリスタルは3月末「私が赴任して以来の9カ月間に、自爆テロリストだと思
って銃撃した自動車の中から、爆弾が発見されたことは一度もなかった。その
多くに(一般市民の)家族たちが乗っていた(米軍は彼らをテロリストと間違
って射殺した)」「われわれ(米軍)は、無害な一般市民を無数に射殺してき
た」という、驚くべき率直さの証言を発している。
http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/LD07Ak01.html
Collateral Pentagon
▼オバマのタリバン和解策を潰す側近たち
いつも私の記事を読んでいる読者なら、ここまで読んで「ははあ、米政府は
カルザイに対しても『隠れ多極主義』の戦略を開始したんだな」と思うだろう。
米国はイスラム諸国など、世界のあちこちで、米国の傀儡になっても良いと思
う指導者たちを意図的に怒らせ、そこの国民の反米感情を扇動し、米国ではな
く中国やロシアに頼らざるを得なくさせて「非米化」を誘導し、世界を多極型
に持っていく画策をやってきた観がある。
カルザイに対する米政府の最近の仕打ちは、構図的に見て、まさに非米化策
の典型である。実は、今回の記事は最初「非米化されるアフガニスタン」とい
う題名をつけようと私は考えていた。
しかし、カルザイをめぐる出来事を読んで分析するうちに、米政府の中心に
いるはずのオバマ大統領自身は、カルザイを敵視していないことが見えてきた。
オバマは、タリバンとの和解にも反対しておらず、それどころか逆にタリバン
と和解して米軍のアフガン撤退を早めたいと考えてきた。今年2月には、米政
府は近々タリバンとの交渉を始め、アフガンを取り巻く地政学的なバランスが
転換する(タリバンを作ったパキスタンが有利になり、反タリバンのインドが
不利になる)という予測も、米マスコミやネット上で流れた。
http://news.yahoo.com/s/nm/20100203/india_nm/india458442
India Rethinks Policy to Keep Afghan Influence
オバマは3月中旬に開いた閣議で、マージャ攻略が一段落したのでタリバン
との話し合いに入りたいと提案した。だが、クリントン国務長官やゲーツ防衛
長官といった側近の多くは「タリバンに対してもっと優勢に立てるまで交渉で
きない。交渉は、今夏にタリバン本拠地のカンダハルを陥落してからにしてく
ださい」と強く反対し、オバマの構想を潰した。
http://www.atimes.com/atimes/South_Asia/LC17Df01.html
Battle over Afghan peace talks intensifies - Gareth Porter
それと前後してオバマは、米大統領が決断したら30日で米軍をアフガンか
ら撤退できる条項を含む新法を米議会に通そうとしたが、これも反対多数で否
決された。
http://www.foxnews.com/politics/2010/03/10/house-rejects-bid-end-afghan-war/
House Rejects Bid to End Afghan War
米国のアフガン戦争がすでに勝てない戦いになっていることは、昨年から関
係者の間でよく知られている話だ。米国に長年取りついてきた英国の元駐米大
使は昨秋「アフガン戦争は意味のない、ばかげた戦争だ」と本に書き、英軍撤
退を呼びかけている。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/Afghanistan/article6879568.ece
Tony Blair's Envoy Attacks Afghanistan War
パキスタンの諜報機関ISI元長官で、長年にわたり米諜報機関と組んでタ
リバンやアルカイダを使って(表向きは戦って)きたハミド・グルも「米国が
巨額の金(3兆ドル)をかけてアフガンを占領して何がしたいのか、政治戦略
が全く見えない。パイプラインを敷くためなら、タリバンと協調した方がはる
かに簡単だ」と述べている。イラク戦争と同様、アフガン戦争は米国にとって
自滅的だ。オバマが、タリバンとの和解や、早期の米軍撤退を模索するのは当
然といえる。考察が必要なのは、クリントンやゲイツらオバマの側近が「タリ
バンに対する優勢を得るまで和解や撤退はダメだ」と主張する理由の方である。
http://www.redress.cc/global/cking20100301
America and world economic meltdown - mystery of the Afghanistan war
▼孤高な戦いに破れるオバマ
表向き、クリントンもゲーツもオバマに忠誠を誓い、忠実な側近として振る
舞っている。だが、ゲーツはもともと共和党系で、隠れ多極主義者かもしれな
い。またクリントンはオバマの部下ではなく、自分が大統領になりたいはずだ。
オバマがアフガンで大失敗して1期で辞めれば、共和党が再起できていない中、
自分が2012年の大統領選挙に出て勝てるとクリントンが思っていても不思
議ではない。クリントンはすでに62歳で、年齢的にも急いでいる。
クリントンが大統領になれば、今さんざんカルザイとの敵対を煽っているホ
ルブルックが国務長官になるだろうともいわれている。論功報償的な人事であ
る。ホルブルックがカルザイを反米に転じさせ、オバマがアフガン戦略の失敗
で大統領を1期で辞め、次期は自分が大統領になって、ごほうびにホルブルッ
クを国務長官にしてやるのがクリントンの考えかもしれない。
http://www.atimes.com/atimes/Central_Asia/LC02Ag01.html
An AfgPak star over Central Asia
これらの推測を総合すると、オバマは側近たちを信用できない事態になって
いる可能性がある。ホワイトハウス中枢の人間関係については、さまざまな分
析記事が飛び交うが、その中には意図的な歪曲が多く、解析は難しい。しかし、
どうやらオバマはアフガン戦略の判断について側近たちを信用していないと思
える出来事が最近起きている。
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304252704575155651654781716.html
U.S. Timetable Isn't Right for Afghanistan
それは3月28日、オバマが大統領専用機を26時間乗り続け、空中給油し
ながら米国からアフガニスタンに直行し、カルザイと30分だけ話をして、再
び米国に戻るという電撃的な行動をとったことだ。報道によると、オバマはカ
ルザイが中国やイランといった米国のライバルの諸国にすり寄っていることを
叱ったという。オバマはカルザイを叱りつけるために丸2日飛行機に乗り続け
てカブールまで行ったというのだ。
http://www.atimes.com/atimes/South_Asia/LC30Df01.html
Karzai's China-Iran dalliance riles Obama
しかし私には、この説明は不可解だ。カルザイを叱るなら、カブール駐在の
ホルブルックに命じれば十分だ。そうではなくてオバマは、ホルブルックに任
せられないことをやるためにカルザイに会いに行ったと考えるのが自然だ。オ
バマ側近の多くはタリバンとの徹底抗戦を主張し、タリバンとの和解を模索す
るカルザイを非難するが、米側の中枢でも、オバマだけはタリバンとの和解を
模索しており、その点でオバマはカルザイと同じ考えだ。オバマは、タリバン
との和解の模索や、早期の米軍撤退など、側近に反対されて実現が遅れている
自分の戦略をカルザイに伝え、中国やイランに頼らず、米大統領である自分を
信頼してほしいと伝える信頼醸成のために、カブールまで行ったのではないか。
米国の大統領は絶大な権限を持ち、オバマがその気になれば米国のアフガン
戦略などすぐ転換できると、多くの人が思っているだろう。しかし現実は全く
逆である。オバマが電撃的にカブールを訪問した直後から、米国のマスコミで
は「カルザイは信用できない」「カルザイは反米に転じた」といった報道が大
量に流され、カルザイがいかに反米か、米政府がいかにカルザイに不信感を持
っているかという話を、やたらに強調する記事があふれた。
911以来、米国では(日本と同様)マスコミ報道が一定方向に偏重するプ
ロパガンダ機関と化しているが、偏重の方向性はオバマの戦略を流失させるも
のになっている。この事態の前に、オバマはむしろ無力である。
そもそも実は、最もこの情報の偏向にまとわりつかれているのは、米国の一
般国民ではなく、歴代の米大統領である。諜報機関や顧問らが毎日、米大統領
に政策決定の材料となる情勢分析の報告を上げてきたが、その中には間違った
判断を誘発する歪曲情報が混じっていたはずだ。間抜けな前任者はころりと騙
され、イラクとアフガンに侵攻した。
オバマはブッシュより聡明らしいので、自分のところに上がってくる情報が
歪曲されていると勘づいているだろう。だからこそ「カブールなんか行く必要
はありません。ホルブルックに任せておけば良いんです」という側近の提案を
無視し、超多忙な日程の合間をぬって無理矢理カブールまで行ってカルザイと
会い、アフガン戦略を立て直そうとした。
しかし、オバマのカブール訪問自体がプロパガンダ機関に都合が悪いらしく、
ほとんど報じられず、訪問直後から米マスコミはカルザイと米国の関係を悪化
させる報道をあふれさせ、オバマのアフガン戦略を失敗の方に押しやっている。
【続きは田中宇プラスで書くつもりです】
この記事はウェブサイトにも載せました。
http://tanakanews.com/100410afghan.htm
★音声訳
http://www.voice-news.net/
筆者への連絡は
http://tanakanews.com/sendmail.htm
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