2011年東北地方太平洋沖地震による「原発震災」について
On the "Genpatsu-Shinsai" (Quake and Nuke Disaster Complex) due to the 2011 off-Pacific-coast-of-Tohoku, Japan, earthquake
石橋克彦(神戸大学名誉教授)
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(M9.0)で亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災された膨大な皆様に心からお見舞いを申し上げます。そして、一人でも多くの方が救出されることを切に願っております。 激甚な地震津波災害のうえに、東京電力福島第一原子力発電所で重大な事故が発生し、かなりの放射能が漏出して多くの住民が避難を強いられていることは、痛恨の極みです。 私は、大地震によってこのような事態が生ずることを憂慮し、1997年から警鐘を鳴らしてきましたが、こんなに早く懸念が現実化してしまうとは思いませんでした。 今は、東京電力・協力企業、政府、地元自治体、消防・警察、自衛隊、国際的な援助チームの関係者のご奮闘により、一刻も早く危機を脱して最悪の事態が回避され、住民の被曝と不自由な生活が最小限に抑えられることを祈るばかりです。 私がこれまで書いたり話したりしてきたことは、今の緊急事態に役立つことではないのですが、私が願っていたことを少しずつ纏めておきたい気がしてきました。幸いに危機的状況を脱することができたら、今後の日本社会をより安全に復興するために多少は参考にしていただけるかもしれないとも思います。まずは3点をアップします。 (以上、2011年3月15日記)
「原発震災」の原典: 原発が地震で大事故を起こす恐れは1970年代から指摘されていますが、私は震災論の立場から「原発震災」という言葉・概念を下記で提唱し、震災軽減の重要な一環としてその回避を訴えました。細かい点は古いですが、基本的コンセプトは今も通用すると思います。 石橋克彦:「原発震災−破滅を避けるために」 『科学』(岩波書店) Vol.67, No.10 (1997年10月号) に掲載
2007年新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発の被災の後に書いた下記では、「(地震活動期の)日本の海岸線を縁取る(中略)原発の地震被害が日常的風景になるといってもよい」として、地震列島における原発依存は、原発震災以外にも、電力供給危機の長期継続といった地震リスクを抱えていることを指摘しました。 石橋克彦:「原発に頼れない地震列島」 『都市問題』(東京市政調査会) Vol.99, No.8 (2008年8月号) に掲載
Ishibashi, K., 2003, Genpatsu-Shinsai: Catastrophic Multiple Disaster of Earthquake and Quake-induced Nuclear Accident Anticipated in the Japanese IslandsPresented in Session JSP11 (Geophysical Risk and Vulnerability: The Population-Hazard Interaction) in the 23rd. General Assembly of IUGG (the International Union of Geodesy and Geophysics), 2003, Sapporo, Japan
石橋克彦:「原発震災:日本列島で懸念される、地震と地震による核事故とが複合する破局的災害」 第23回IUGG総会(2003年7月7日/札幌)で講演
(2011年3月18日追加)
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