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(回答先: test 投稿者 大自然 日時 2011 年 1 月 30 日 12:05:14)
小沢一郎元民主党代表会見 テキスト版 2011年1月27日
http://iwakamiyasumi.com/archives/6156#more-6156
2011年1月27日、日本自由報道記者クラブ協会(仮)主催で行われた小沢一郎元民主党代表の記者会見のテキスト版です。(会見の動画はこちらのページをご覧ください
)
【小沢一郎氏会見テキスト】
上杉「お待たせしました。小沢一郎衆議院議員においでいただきました。
会の設立と会見の趣旨等は、先ほど、説明をさせて頂いたので省きますが、何と言っても、こういう場を、快く引き受けていただいた小沢一郎さんには、この場を借りて、最初に御礼を申し上げたいと思います。
記者会見ですので、皆さんの挙手の下、きちんと名乗り、質問をしていただきたいと思います。 元々小沢一郎さんは、93年に自由党(自由党結成は98年。「新生党」の間違い)を立ち上げた時に、会見をフルオープンにされました。その後、新進党、自由党、民主党になってからも一貫して、こういう形でフリーランス、海外メディア、雑誌、そして今、インターネットなどの媒体に、色々な話をされていますが、93年の同じ時期に、記者会見で、『こういう会見はサービスだ』という発言を各紙が報道しましたが、その発言の真意はどこにあったのでしょうか」
小沢「(会見はサービスだという)言葉が独り歩きしまして、えらくマスコミの皆さんから批判されたんですけれども、まあ、いわゆる我々の仕事も、政治家も、あるいは行政も、国民の皆さんに対する『サービス』だ、と。それを出来るだけ、国民の皆さんのためにやるということではないか、と。そういう意味で、公共サービスとか、色々な使い方をされてますけれども、それが『してやってやる』、みたいなことに取られたのが、誤解の元だったんでないでしょうかね」
上杉「私自身も当時、新進党の秘書をやっていた関係で、そのあたりの経緯は良く分かっていますが、記者会見というのは公的な機関で開かれているということで、当然ながら、国民と共有する情報です。公人の会見というのは、どの国でも開かれていますが、日本では残念ながら記者クラブというものがあります。小沢さんが言ったのは、まさに『公共、公財』が、記者会見のあるべき姿だと。
だからフリーの記者も、雑誌の記者も、そして海外のメディアの諸君も、全員公平に会見に入ろう、という意味の発言だったのですが、どうも20年間、それが逆に伝わっていた。そういう意味で、20年間も既存メディアから色々と批判されてきましたが、心が折れることはありませんでしたか?」
小沢「まあ、そんな、気分は良くないですけどね(笑) 」
一同「(笑)」
小沢「でも、まあ、メディアっちゅうよりも、報道の中身が正しいか、間違っているかは別にしまして、それを受け取るのは一般国民である皆さんですから、特に最近は、インターネットを始め、色んな形の媒体が増えていますんで、そういう意味で、国民の皆さんに、正確な、そして公正な情報が伝わるようにしなくちゃいけない、と。そのためには我々も出来るだけ、気分的には多少嫌々ながらでも、一生懸命努めなきゃならないと思っております(笑)」
上杉「今日、会見に参加している記者たちは、インターネットの媒体がほとんどです」
小沢「はい」
上杉「『ニコニコ動画』さんも『ビデオニュース・ドットコム』さんも、Ust(ユーストリーム=動画配信サービス)を含めて、動画中継を加工すること無く、基本的に、視聴者に届きます。反論があったり、あるいは厳しい質問が出た場合でも、それに対しての答えを聞けば、視聴者ははそこで判断していけば良いわけです。多様な価値観で構成される社会の下、多様な質問をさせていただいて、そして、ぶれない答えを頂ければと思います」
小沢「(笑)」
上杉「私の方から、もう一問だけ質問をします。最近、記者クラブメディアの報道の中で、小沢さんが中国を訪れた時に、習近平(しゅう・きんぺい)中国国家副主席が、『天皇陛下に会わせて欲しい』と言ったことが傲慢だ、というような報道が流れています。対中政策や対中交渉の中で、果たしてそういうことが行われたのか、ということと、同時にそれは事実なのか、ということを、改めて伺います」
小沢「中国は、今や、超大国の一員でもありますけれども、ま、大きい国であろうが小さい国であろうが、憲法上は日本国と日本国民統合の象徴となっておりますが、事実上、元首の立場にある天皇陛下、しかも、世界で唯一、長く伝統と歴史のある天皇陛下に、外国の、しかも共産主義を国の国是としている、中国の次のヘッドと思われる人が、『何としてもお会いしたい』と拝謁を願い出ているということは、僕は、日本にとって大変良いことだし、誇らしいことだと思っております。
ですから、両国の友好関係を推進するという意味においても、良いことじゃないかなと思って、僕は、天皇陛下にお聞きすれば、『必ずお会いする』と言うに決まっていると。一行政官僚が判断する話では無いだろうという話をしまして、まあ内閣としても、『それは、そうだ』ということで実現しただけのことです」
上杉「小沢さんは非常に優しいので、今、『一行政官僚』と言いましたが、これは宮内庁ですね」
小沢「(笑)」
上杉「宮内庁は別に、必ずしも、陛下の大御心(おおみこころ)に沿ったことを言うわけではないですね」
小沢「(笑)」
上杉「私どもも、記者会見に是非出させてくださいと言い続けているんですが、一向に宮内庁は『うん』と言わない。陛下の大御心(おおみこころ)からすると、そうではないんじゃないかと思う次第ですが、あまり言うと失言になってしまうのでこの辺で止めておきます。
さて、質問をしていただきます。まず挙手の上、名前を言い、更に今日は、普段の記者クラブメディアの様に、『政局報道』というのは止めていただきたいということを私からお願いします。国会日程や、どこの誰に会ったか、という質問はいつでも聞けるので、むしろ、ちゃんと政策についての質問をお願いします。それから、国をどうしたいのか? 何を考えているのか? ということについて、どんどん忌憚無き批判を含めた質問をしていただきたいと思います。
では、質問を。はい、岩上さん」
岩上「一問一答ですか?」
上杉「とりあえず一問一答で」
岩上「フリーランスの岩上です。よろしくお願いいたします。
ウィキリークスが伝えた情報について、関連したことをお聞きします。ウィキリークスが伝えたところによりますと、今年の2月3日、ソウルでカート・キャンベル国務次官補(米国)が、 韓国大統領府の金外交安全保障担当首席補佐官と会談して、『民主党政権はこれまでの自民党政権と全く違う、やり辛い』、と話した。この時は鳩山政権であり、小沢さんが幹事長時代だったわけですけども、当時の岡田克也外相、あるいは菅直人副総理ら、次の世代のメンバーに『働きかけをしよう』という話し合いが持たれた、と。こういう会談内容が暴露されました。鳩山政権時代と非常に違う、今の菅政権、それから岡田さんを見ていると、このアメリカからの働きかけによって、政策、あるいは政権運営のスタイル、スタンスを変えたのかという気がしてならないわけです」
小沢「ほう…」
岩上「この2月3日の前日、2月2日に小沢さんはキャンベル氏と会談されています」
小沢「あの院内での…」
岩上「もし、小沢さんに対しても働きかけがあり、小沢さんが、アメリカの言い分を呑んでいることがあれば、アメリカは小沢さんが支えていた鳩山政権を認めて、その存続を願ったかもしれないと」
小沢「(微笑)」
岩上「しかし、それを引っくり返してでも違う政権を望んだのではないか、という推測も成り立ちます。キャンベル氏との話は、どの様なものであったのか。そして、今、明らかとなった会談の内容に基づいて、アメリカ側からの圧力というのがどの様なものであるのか。その結果として、現在の菅政権はどのように変質してしまったのか。この辺りについて、小沢さんのお考えをお聞かせください」
小沢「ウィキリークスのことについては、私自身、事実確認してませんし、する術がありませんので、本当かどうか分かりません。従って、そのことについての評論は出来ないですが、院内官庁室で確か、彼と大使も一緒だったかな…」
岩上「ルース大使(ジョン・V・ルース駐日米国大使)…」
小沢「うん、うん。『どうしても会いたい』っちゅう(当時小沢氏は党幹事長職)。私は政府の外交は担当してないから、『結構です』って言ったんですけど、どうしても会いたいっちゅうことで会いました。アメリカからどうのこうの、圧力とか何とかっていう類のことは、私は一切自分は感じておりません。ただ、もし、そのやり難い奴という印象を彼が本当に持ったとしたら、僕のことですから、ズケズケいろんなことを言いましたんで、驚いたのかもしれません。
政府や民間にいる僕のアメリカの友人は、私の性格や主張をきちんと分かってくれてる人もいっぱいいますが、(キャンベル氏は)初めてだったんで、ああ、こんな生意気な日本人がいるのか、と思ったのかもしれません。それは分かりません」
岩上「どんな内容を話されたのですか」
小沢「内容はですね…。何でしたかな。両国、二国間関係についての特別な話は無かったと思います。訪米の話があったかな、あの時に。ほんで、『いいですよ』と、『そちらが来いっちゅうなら行ってもいいです』みたいなことを行ったような気がしますが。その中、まあ若干、アメリカ政府の対応について、厳しいことは言ったような気がする」
岩上「どんな内容ですか(笑)。それを聞かないと」
場内一同笑い
小沢「政策的な話じゃなくてね。例えば、中国(の話)ね。あの時、あの*長城計画で、国交回復35年ということだったんで、少し皆で盛大にやろうちゅうことで行っただけの話で、あの大勢の人数ね。僕はもう、20年以上前からやってますし、自民党を出てからは、ずっと野党だったんですね。野党であるにも関わらず、あるいは党首であれ、党首で無くても、中国は準国賓並みに迎えてくれた、と。アメリカではそんなことはないけども、というようなことを言ったかもしれません。
*長城計画:小沢氏が自民党時代に属した経世会(竹下派)から引き継いだ、日中間の草の根交流事業。1989年に始まり、日本の国会議員、社会活動家を含む数百人の各界代表の訪中派遣を主な形とし、両国の政治家の対話に重点を置いている。
だから、そこが、中国っていうのはなかなか先を考えて、僕に対してどうこうするっていう意味じゃなくて、日本との、両国間の先を考えて、読んで、保険になろうがなるまいが、そういうこともきちんとやる。それから、僕は、個人的にも日中関係の草の根交流をやってたから、彼らは非常に『信義』を重んずる、というのは間違いないですから、『私の誠意を汲んでくれていた』、ということが裏打ちになったのかもしれません。そんな類のことを話しました。日米関係だって、僕はずっと、ジョン万次郎の草の根交流をやってますしね。その他の子供たちを呼んだりもやってますし。『そこの違いが若干ある』、という類の話をしたかもしれません」
上杉「岩上さん、いい質問でしたね〜。対米、対中関係関連で何か質問が…」
岩上「関連でいいですか」
上杉「はい」
岩上「ウィキリークスについては、事実関係は言えないということでしたが…」
小沢「僕は分かんないから」
岩上「はい、わかりました。ですが、明らかに、今の政権はですね、前の政権と比べてみると、政策をどんどん変えています。党運営のやり方もかなり強権的です。挙党体制とはとてもいえません。明らかに、われわれが09年に思っていたような民主党とは違うような気がします。これは、どうでしょう。小沢さんはどういうふうに評価されていますか」
小沢「おっしゃった点は、ちょっと私も心配をしております。やはり、本来の民主党の初心を忘れずに、謙虚で、しかも勇敢に、勇気を持って国民との約束の実現に向けて頑張る。やっぱり、そういう姿勢が必要だなと思っております。その他のことについて、アメリカの、そういった『陰に陽に』というか、直接、間接の働きかけが、何かによって変わったというのでは、僕はないだろうと思います。現実に、このあいだも日米関係が基軸だといって突然おっしゃられましたが、それは菅さん自身の、やっぱりそうしたほうがいいと思って、今はやっておられるんじゃないでしょうか」
上杉「はい。続いて。伊田さん」
伊田「週刊金曜日の伊田と申します。よろしくお願いいたします。小沢さんは以前ですね、『グランドキャニオンに柵はない』というような表現で、新自由主義の主張をされているというふうに見られていた時期があると思いますが、今は『セイフティーネットをしっかり張らなければならない』、というようなことを、折に触れて言われています。ということは、マーケットに全てを任すだけでは、やはり、うまくいかないというふうにお考えに変わったのか、もし変わられたとしたら、なぜそういうふうに変わったのかについて教えてください」
小沢「『グランドキャニオンに柵はない』、というのは何かというと、いわゆる、あそこが危険であることは当たり前の話ですけれども、別にみんな仕事で行っているわけではないですね。プライベートな観光で九分九厘の人は行っているわけです。そうすると、たぶん欧米的な考え方でいえば、プライベートのことまで公的な政府なり公的機関が責任を持ってやる必要はない。それは自己責任で、自分で危ないことわかって端っこのほうへ行ったり谷間へ降りたりしてるんですから、それはどうなろうが自分の考えでやってください、ということだろうと思います。私もその意味で、自分自身のことはやはり自分で最終的に判断して、決断し、責任持つ。自立が必要だと、その意味で、全く変わっておりません。
ただ、政治、行政、金融だったり、みんなそうですけども、国民全体の生活と安定、平和、そういうものを考えた場合には、『好きなように勝手にやれ』という範疇のものではないし、それでは政治じゃない。やっぱり、そこは、弱いもの強いもの、能力にも差がありますし、そこを、少なくとも、憲法の条文で言えば『健康で文化的な生活をみんな営む権利を有する』という、そういう、少なくとも、みんながそういった、安定した生活を営めるようにと、その上での自由競争ということが、僕は本当の意味での憲法の精神でもあり、自由主義というものの本来、というか少なくとも近代的な考え方だと思ってます。
ですから、小泉改革なるものが、規制の撤廃ということだけを、バンバンバンバン、その部分だけを一方的に推し進めたがゆえに、格差社会という歪んだ社会を作り出してしまった。これは、自由競争も野放しにすれば『弱肉強食』ですから、当然、政治の立場としては、いま言ったように、大部分の多くの人が安定して生活できるという状況をきちんと作っていくと、それ以上のことは『後はもう自分のあれでやんなさいよ』という考え方が、近代自由主義、民主主義の理念じゃないかと思います」
上杉「『グランドキャニオンに柵はない』、というくだりは『日本改造計画』のくだりで、80万部も売れたそうです。印税がうらやましいです。続いて、田中さん、短めにお願いします」
田中「日本インターネット新聞社の田中龍作でございます。
小沢さんほど、記者クラブメディアにとっての『悪役』のイメージが作られ、国民の頭に刷り込まれた政治家というのは、これまで史上、例がないと思います。私の独断と偏見で言えば、記者クラブなどというものは百害あって一利なしだと思うのですが、小沢さんにとって記者クラブメディアの、新聞テレビ通信社っていうのはどういう存在なのでしょうか。忌憚のないご意見をおうかがいしたいと思います」
小沢「もう、あまり記者会見する意味がないですね」
田中「理由は?」
小沢「というのは、いくら言っても、いくら説明しても、全く分かってくれないし、報道もしてくれない。もう何のために記者会見するんだかわからない。ですから、同じ記者会見でも、今日、外国の方もおられるけど、外国人特派員協会、あそこの記者会見は、その意味ではすっきりしていいですね。要するに、意見が違ってても、自分の意見をきちんと言いさえすれば、『ああ、あんたの意見はそうなのね。はい、わかった』、とこうなりますでしょ。だから、最近はあんまり行かないですけど、また片言節句を取り上げられて、余計なあれになっちゃいかんから行きませんけど、そういう感じなら僕はなんぼでも記者会見はいいと思ってます」
田中「いいですか、一つだけ最後に」
上杉「あとでもう一回」
田中「いや、いいです、失礼しました」
上杉「この会見は*FCCJを準用して*FPAJとしてやっておりますので、また是非おいでください、ということでですね。はい、畠山さん」
*FCCJ: The Foreign Correspondents Club of Japan. 日本外国特派員協会。プレスクラブ、特派員教会としても知られる。【リンク】
*FPAJ: The Free Press Association of Japan. フリーランス、雑誌、ネットメディア有志の会が設立した「自由報道協会」(仮名)。【リンク】
畠山「フリーランスの畠山理仁です。国民の税金の使途に対する目が厳しくなっているんですけれども、首相官邸、それから各省庁には、記者室と称する無料の個室があります。それは、記者クラブの記者たちが独占的に使用しているわけですけれども、現在、各記者クラブメディアは、国の財政というのは、もう、増税をしなきゃいけないくらい厳しいんだということを一生懸命言っているのに、不思議なことにですね、自分たちが提供されている、都心の一等地の記者室の家賃というのは、一円も払っていないわけです。
それで、記者室が報道に携わる者、全てにオープンであるならば、国民の知る権利の代行者として、記者室を無料で使うということは十分ありうることかと思いますが、現在は、記者クラブは閉鎖的で、記者室の無料占有どころか、記者会見の場にも、フリーの記者を入れずに排除して、情報を独占しています。さらに、総務省というところは、記者クラブのために用意された職員の方が、記者室で使う枕を繕っていたりするんです。こういった現状を、小沢さんはご存じなのか、ということと、このように、特権的、閉鎖的な記者クラブへの便宜供与について仕分けをしたり、応分の負担を求めていくお考えはありますでしょうか。今なら、記者クラブの方々の理解も得られると思うのですが…」
小沢「いいや、それはなかなか大変と思いますが。そういう細かなことだけじゃなくて、もっともっと大きな大きな既得権が認められていると思います。ですから、その意味では、おっしゃる通り、やはりもっとフェアーな、お互いのメディア同士の、フェアーな競争、そのためにはオープンにならなきゃいけないだろうと思っております。いまの状況は、言わば政治家の方に、最終的には全責任があるわけですけども、僕はそれはよろしくないと。もっとフェアーに、そして誰にも公平公正にするべきだと、私はそう思ってます」
上杉「はい、続いて。村上さん」
村上「フリーライターの村上隆保と申します。ちょっと厳しい質問になるかと思うんですけども、小沢さんは近いうちに強制起訴される見通しです。それで、起訴されたあと、政治家としての活動は、どのようにされるつもりでしょうか」
小沢「国民の要請に従ってやります。変わりありません」
上杉「はい、続いて。じゃ、七尾さん。(ニコニコ動画の視聴者数は)何万人くらい見てますか、今」
七尾「ニコニコ動画の七尾と申します。現在ですね、47,000人の若い視聴者、いろんな年代の視聴者がこの会見を見ています。小沢さんには初めて質問させていただきますが、視聴者から質問を募集しておりまして、それを代読させていただきますが、よろしいでしょうか。これは私もぜひ聞きたかった質問なんですが、この場でなければ聞けない質問です。
小沢元代表の政治理念についてお伺いしたいと思います。小沢さんはよく、議会制民主主義の重要性、定着についてご発言されます。これは政治家としての小沢さんの基本理念の一つだと思っていますが、小沢さんの言われる『議会制民主主義』とは何なのでしょうか。そして、それがなぜ、わが国において重要なのか、若い人たちも多くこの会見を見ておりますので、改めて教えてください」
小沢「はい。政治は国民みんなのためですから、そして物事を決めるには、みんなで話し合って、そして最終的には多数決で決める以外にないんですけども、いずれにしろ、みんなで話して決めるということです。
民主主義は、『直接民主主義』と間接、『代議制民主主義』というのがありますが、スイスなんかではまだ『直接民主主義』の要素を採ってますが、小さい地域や小さい人数ならば、全員参加して決めればいいことですが、大きくなると、全員参加でいちいち物を決めるというわけにはいきませんので、物理的にも不可能です、ですから代議制ということになります。
そうすると、今は結局、国民の代表を選んでものごとを決めていく、という政治をやっていくということになります。ですから、それが『議会制民主主義』です。言葉としては『議会制民主主義』になりますが、1億2000万人が全員集まって、議論して決める、というわけには、物理的にも、あらゆる意味で実現はできませんから、結局、みんなの代表者を選んで、その代表者を通じてものごとを決めていく。それが『議会制民主主義』ですから、それが、ごくごく当たり前の、当然の帰結だと思います。みんなの意見を交わして、みんなで決めていく。言葉で言えば『議会制民主主義』。別な言葉では『政党政治』という言い方もできます。要するに一人ではできませんから、考え方が似た者同士が集まって政党をつくる。だから議会制民主主義というのは、政党政治ということでもありますね。
いずれにしろ、国民みんなで基本は話しあって、みんなの意見で結論を出そうよ、ということですから、それは一番大事な根本のことだと思う」
村上「その『定着』ということを小沢さんはしょっちゅう言われていますが、今、『議会制民主主義』の定着にはやはり問題がある、ということはありますか」
小沢「ですから日本は、そういう習慣というか発想というか、そういう風土がまだ成熟していませんから。特に明治以降の近代でも、やっぱり遅れを取り戻せということで、中央がすべて指導してやる。中央が全部ものを決めて、全部その通りみんな一致団結して頑張ろうということでやってきましたから、みんなの意見をたたかわして、集約してものを決めるという、いわゆる民主主義の習慣がまだ定着してませんので、それを早く定着させたいということです」
上杉「続いて、記者会見に20年間ご尽力して、悲しい人生を送って来られた神保さん」
神保「もう今は、とってもハッピーでございます。
今日はありがとうございます。政策、具体的なことでお伺いしたかったんですけれども、今、イギリスで、イラク戦争の検証という作業が行われています。これは、イラク戦争が結果的に、アメリカが大義として掲げていた『大量破壊兵器』も見つからなかったし、アルカイダとのリンクということも立証されなかった。要するに、間違った戦争だったのではないか、ということを前提に、なぜイギリスはそれを支持してしまったのかということが今、検証の対象になっています。先週、ブレア元首相が実際に調査会に呼ばれて厳しい質問を受けています。
一方、翻って日本も、ほぼイギリスと同時期に、同じぐらい強い語調で、イラク戦争を支持して、『特措法』も定め、自衛隊も送っています。日本では、これに対して検証するという動きが、今のところ全く見られていません。以前、岡田幹事長に、『政権交代があったんだから、本当はこういう時こそ、それをもう1回検証すべきではないか』、ということを申し上げたらば、『実は、特措法は、民主党も賛成しているからね』と答えられました。検証をしよう、という話をいただけませんでした。
小沢さんご自身は、なぜ当時の日本は、イラク戦争をそのまま真に受けて支持をしてしまったのか、それが正しかったのかどうかを含め、検証が必要だと思われるかどうかが1点。もう1つは、もしそれが必要だということであれば、小沢さんご自身がそのような調査を呼びかけ、先導していかれるつもりはないか、その2点の質問をお願いします」
小沢「英国なんかは、さっき言った民主主義が最も先進国と言われていますし、定着している国ですので、そういう問題だけじゃなくて、たぶんいろんな問題でそのような検証作業というのは行われているんじゃないかと思います。
日本の場合は、私のことで言えば、私自身は参加すべきでない、と。『国連の活動ではないから参加するのは憲法上許されない』という趣旨で、ずっと発言してまいりました。ですからイラク戦争そのものの善し悪しの検討、それと同時に日本のあり方としての考え方、その両面があると思うんです。たとえイラク戦争が大量破壊兵器が現実に見つかって、『アメリカが言っていた通りじゃないか』、ということであったとしても、私は国際社会の合意を得ないものに、日本が軍事力を提供するというのは、憲法に違反しているという考え方です。日本にとってはその1点だけの検証でいいんじゃないかと思っていますが、これはまあ、僕ひとりでどういう形でできるかどうか。やっぱりある程度、党なら党、政府なら政府という中で、きちっとした考え方を取りまとめる作業が、私は必要だと思いますね」
上杉「本会議が長引いたおかげで、時間がなくなってまいりました。最後1問プラス1問、大川さんと日隅さんと、あと島田さんまでトントンと……」
大川「大川興業の大川と申します。よろしくお願いします。昨日まで韓国の延坪島に行っておりました。私は金正日の料理人の藤本健二さんと親しくさせていただいます」
小沢「要人?」
大川「料理人です」
小沢「料理人? はいはい。あぁ、わかりました」
僕は彼とずっと話をしてきましたが、正恩氏の性格からして、最初にまず、哨戒艦の海軍、次は陸軍か空軍に花を持たせるだろうと、お互いに話をしておりました。そうしたら、延坪島の砲撃があった。次は、空軍ではないかなと思っていますが、中国と、太いパイプを持っている小沢元代表に、北朝鮮とどう対処していくのがいいのかお伺いできればと思います。2月16日が(正恩の?)誕生日ですので、何か大きな動きがあるかもしれません」
小沢「今のお話は、たぶん、後継者をめぐる北朝鮮内部のことだろうと思います。北朝鮮全体の話としては何かというと、やっぱり背景は中国ですから、中国が了承せずして戦争も始められませんし、何も実質的には大きなことはできないと思います。
中国の基本政策は、朝鮮半島の現状維持だと思います。ですから、その意味では、今の金王朝をいいと思っているかどうかはわかりませんが、よくても悪くても、これを倒してどういう政権をつくるのかということになると、それは現実には難しいですから、結局、現状維持だろうと思います。ですから、中国が今のままの中国である限りは、大動乱も起きないし、結果としては、今のまま推移する、ということだと思います。だから、あとは中国の動向次第でしょうね」
上杉「はい、日隅さん」
日隅「NPJという、インターネットメディアから来ました日隅と申します。先ほど『議会制民主主義』の定着、ということを言われたんですけれども、その前提として、国民、有権者が必要な情報を入手できるということが前提となっていると思うんですね。例えば情報公開の問題だとか、あるいは『機密費』の問題、あるいは、例えば、捕まった人が自分自身の情報をどういう形で得られるのか、いろいろな場面で有権者、国民が情報を得る場面があると思いますが、それが、日本においては十分機能しているとお考えになっているかどうか。あるいは、その問題について、これまでどのように検討されてきたのか、あるいは党として、個人として、どのように検討していくのかを伺えますか」
小沢「私はずっと以前から、日本の社会をフリーでフェアでオープンな社会に、『フリー・フェア・オープン』という片仮名を使って、一つのキャッチフレーズをつくりましたけれども、日本はもう少しあらゆる部門で、これは官庁とか民間とか問わず、あらゆる分野でもっと、オープンな社会にしなくてはいけない。そうしないと情報が全然、おっしゃるように国民に開示されないということになります。ただ、アメリカほど何でもかんでもオープンにしちゃうというのがいいかどうかはわかりませんけれども、少なくても欧州並みぐらいには、社会そのものとしてですよ、日本はオープンな社会にしなきゃならない。日本とアメリカというのは、どっちかというと両極端ですからね。私はそう思ってます。
ただ、そのためには、やっぱり、国民自身が本当に情報を欲しいということにならないとね。そして、その情報を自分自身が咀嚼して、考えて、判断するという習慣が、あるいは能力が身につかないと、意味がないですよね。だから、そういう意味で、私は国民の側がもっと成長して、官庁も民間もどこもここも、『もっと情報を出せ』というぐらいにならないと、現実には、なかなかオープンな形になってこないんじゃないかなと思っています。要は、やっぱり国民次第ですよ」
日隅「卵が先か鶏が先か、ということですか」
小沢「いや、国民が先です。主権者ですから。国民がきちっとしなきゃね。よく言うでしょう。『国民と同じレベルの政治家しか出ない』という言葉があるでしょう。それが民主主義の本質ですよ。自分と同じ程度のものしか選ばんのですよ。だからそういう意味で、国民がもっと自覚して賢明になることだと思います」
上杉「弁護士からジャーナリストに転職された日隅さんの質問でした(笑)」
一同「(笑)」
岩上「転職じゃなくて、兼職(笑)」
上杉「申し訳ございません、最後です。島田さん、質問を2秒以内にお願いします」
島田「フリーランスの島田と申します。よろしくお願いします。デフレについて伺いたいと思います。今の日銀総裁の人事は、小沢さんが代表の時にいろいろと反対されて白川さんに決定しました。その日銀の金融政策に関しては、まだまだ不十分じゃないかと思いますけれども、総裁の選出に関しては、今、振り返ってどう思っているのか、ということと、小沢さんなりのデフレ脱却の策があれば教えてください」
小沢「基本的に、私は天下りは全面禁止すべきだと思っています。ですから、基本的に考えは変わりません。ただ、そのためには、役人だって食っていかなきゃならないんですから、そういう、ちゃんとした身分保障も考えなくちゃならない。その両方ができて初めて、私は、天下りというのがなくなると思います。これもちょっと、僕は英国ばっかり言って恐縮ですが、英国の『官吏の制度』を勉強されれば、すぐ分かると思います。
今のデフレというか、景気ですね。経済ですね。これは金融政策でもって解決する余地は非常に狭まってきていると思います。ずーっと長い間ゼロ金利でやってきたんですから。そうなると、どうしても、一つは財政の出動だ。これは必要だ。それからもう一つは、個人消費を高める、という手立てを考えないといけない。アメリカではGDPの7割個人消費。日本は6割ですけど。
そのためには、やはり将来の、先行きの見通しを、きちんと国民自身に分からせるような政治を行うこと。それから富の配分を、もう少し、一般の人たちに手厚く配分すること。例えば、『景気いい、景気いい』と、何年か前までは史上最高の景気だなんて言ってましたけれども、その時にも、株主配当と経営者の所得は大きく増えました。けれども、一般勤労者のは、その6、7年の間に7%から8%所得が減っております。だから、それじゃ社会保障も、年金も、何も訳分かんない。所得も減れば、個人消費が伸びるわけがないので。
ですから、私はその2本柱、個人消費を伸ばすための手立てをきちっと考えることと、それから必要な財政出動は、私はすべきだと思う。それが、何もかも──財政出動と言うと、何でもかんでも国債をバンバン発行してやれ、というイメージになるけれども、そういう意味で言っているんじゃないですよ。僕は、何度も言うように、いくらでも有効なお金の活用の仕方はもっともっとあると思っていますので、そういう意味の効果的な財政出動。この2本柱じゃないかと思っています」
上杉「ということで、小沢一郎代議士には政策について本当に丁寧にお話をいただきました。そしてニコ生は最終的には5万4000人ということで、本会議中継より1万人多くて、日本の公務員の数よりははるかに少ないという人数が視聴されました。
私はかつて、新進党の秘書をしている時に、小沢さんは『政局の小沢だ』というふうに新聞等が書いていたので、当時のボスである鳩山邦夫さんに聞いたんですね。『小沢さんて政局の人ですよね』と言ったら、鳩山さんはこう言ったんですね。『バカだな、君は相変わらず。小沢さんというのは政策の人だよ』と。というのは実は知っている人こそ知っているという状況で、別に提灯で言ったわけではないんです。ということで、またぜひ政策の話を、またおいでいただいて、お話しいただければと思います」
小沢「はい」
上杉「今日はありがとうございました」
小沢「はい、どうもありがとうございました」(拍手)
上杉「皆さん、お礼の代わりに拍手で。無料です。出演料もありません」(拍手)
( 了 )
※サポーター・ボランティアのみなさんに会見の文字起こしをお手伝いいただいたきました。ありがとうございました。
◎ デブッチャーさん
◎ 小松信治さん
◎ twitter ID: @hoshigatanoniwaさん
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