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(回答先: Re: テスト 投稿者 秀五郎 日時 2010 年 10 月 29 日 16:23:09)
一般会計については予算関連の報道でも取り上げられるのでご承知の方もいようが、この特別会計については良く知られていない。但し、最近の「霞ヶ関埋蔵金」の報道でその存在を知った方も多いのではと思う。
それでは、この特別会計とはどのようなものだろうか。一般会計とは異なり、特別会計とは特定の収入を特定の事業に充てるために特別に独立した会計を設けることなのである。そして、特定の収入とは、揮発油税の税収による道路特定財源などの特定財源、特別公債、財政投融資資金、に代表されるようなものである。なお、この財政投融資とは税金や国債とは異なり国の信用で集めた公的資金(=年金や郵便貯金など)を政府が国の政策に関する事業に融資することをいう。
2008年当初では21の特別会計が有りこの歳出総額は368兆円と一般会計の4.4倍にも相当する。但し、各特別会計間の資金の重複計上分を除く実質の純計額は178兆円である。そして、これに一般会計分を加えれば合計261兆円にものぼる。この21の特別会計について以下に示す。
●事業特別会計(16種類が該当し以下の5区分に分けられる)
企業事業
保険事業
公共事業
行政的事業
融資事業
●資金特別会計(2種類が該当)
財政投融資特別会計
外国為替資金特別会計
●区分経理特別会計(3種類が該当)
交付税及び譲与税配付金特別会計
国債整理基金特別会計
エネルギー対策特別会計
特別会計の大きな問題点は、資金の出入りが複雑で不透明なことである。つまり、各特別会計毎に会計基準も違うことからも、何にどれ位の資金が使われているのかが把握し難い。従って、無駄が多いと指摘されているのもそのような背景があるからである。
各特別会計を管轄する省庁が自由にその資金を使い、族議員や官僚達の既得権益の温床になっていると言われている。確かに、そのとおりだと思う。その証拠として、厚生年金特別会計や国民年金特別会計において巨額の資金が不採算の保養施設「グリーンピア」建設や関係団体である特殊法人に天下った厚生労働省OBへの高額な報酬などに使われていた。ともかく、特別会計に関する情報開示が重要かつ急務である。
2003年2月の国会答弁において、当時の塩川正十郎 財務大臣は、切り詰めている一般会計とは全く対照的な大盤振る舞いの特別会計を称して「母屋でお粥を食っているのに、離れでは子供がすき焼きを食っている」と述べたことは有名である。
資金特別会計には大きな問題がある。
その一つの財政投融資特別会計について年金資金や郵便貯金資金という国民から預かった大切な資金を無駄な事業や政治家或いは官僚自身の既得権益に使う(正確には「融資を受けて無駄に使う」)などの問題はあるが、もう一つの資金特別会計である外国為替資金特別会計にも大きな問題がある。
外国為替資金特別会計とは、円やドルの売買といった為替介入のための特別会計である。円売り介入の資金は外国為替資金証券(=政府短期証券の一種)を発行して調達する。介入で得たドルは外貨準備となり米国債などで運用される。すなわち、円で資金調達をして外貨を資産として保有し運用する訳である。この外国為替資金特別会計を利用して、政府は過去多額の米国債を買い続けてきた。小泉政権時代には、例えば2003年から2004年にかけて約30兆円以上も購入していた程であり、現在の米国債の政府保有残高は約53兆円にも昇る。現在は中国が米国債の政府保有残高1位になったとはいえ、日本から米国への資金流出が続いていると言わざるを得ない。
政府或いは財務省は日本の輸出を支えるため、すなわち円高状況を回避するためにもドルを支え続けなくてはならないという論理で買い続けているが、この論理には無理がある。その論拠は後ほど述べる。
日本などの諸外国(=特にアジア主要国)が米国債を買い続けることによって米国へ大量の資金を流し米国の消費を拡大させ続けた。それがひいては日本を始めとするアジア主要国の米国向け輸出産業を支えたと言える。日本からアジア(=特に中国)への輸出もあったが、それはアジアで組み立てられた後に米国へ輸出され最終的に米国の消費へと循環するものであった。しかし、この世界的経済危機により米国の消費拡大に支えられた日本の輸出産業、特に自動車を始めとする製造業、は急激に落ち込み、日本の経済や雇用や生活に与えるそのインパクトは非常に大きい。米国の大量消費に支えられてきた輸出依存型の経済繁栄は終わった。
そもそもそのような歪な産業構造は長続きする訳がない。その持続不可能な一時の経済繁栄を結果的に支えたのは行き過ぎたドル買い介入だったのかもしれない。米国から圧力が有ったのかもしれないが、自業自得である。「歴史は繰り返される」のたとえのとおり将来米国のような大量消費国が再び現れる可能性は有る。中国、インド、ロシア、ブラジル、中東諸国などの新興国がそうなのかもしれない。
米国ではオバマ新政権の下、経済復興政策或いは銀行などの国有化に約230兆円もの大金が使われるとの話が起きている。その原資として米国債が発行されることになれば再び日本にその購入圧力がかかることは必至だ。
外国為替資金特別会計で管理されているこの多額の米国債は、実は米国政府の許可が無い限り事実上売ることができないと言われている。従って、悲しいかな米国債購入とは結局のところ日本から米国への資金供与でしかないのである。それが実情である。
日本政府は米国債以外にも約100兆円もの外貨準備高を保有(特に2002年から2004年にかけて47兆円分も急増)しているが、米国債と同様にどうしてこのように多額に保有する必要があるのか理解できない。日本の政策は米国政府から毎年提出される「年次改革要望書」に大きく影響されていると言われているが、恐らくそのためではないかと思う。何故ならば、通常に考えればドルが下落し過ぎる場面でドルを買いドルが上昇し過ぎる場面でドルを売るという安定化のための為替介入であれば損失は致命的になり得ずこれ程の多額の外貨準備高が必要とは到底考えられないからである。
従って、他に何か理由があるのか、或いは何の戦略も考えも無くその場その時の内外情勢に右往左往してきた結果なのか、それらのどちらかでしか有り得ない。
なお、2008年10月に財務省が明らかにしたところによれば、急激な円高により外国為替資金特別会計が管理している外貨資産の評価損は23.9兆円にも達したとのことであるが、この多額の損失をどう思っているのだろうか。そんな余剰の外貨資産を保有するくらいなら国民のため有効に使える方法はいくらでもある筈だ。
同年11月には国内各メディアは「金融危機で打撃を受けた新興国向けに国際通貨基金(=IMF)が行う緊急支援融資を後押しするため日本(=麻生政権)が外貨準備から最大10兆円の資金拠出を行う」と報じた。これも同様だ。国内重要課題を優先的に考えるべきである。
この外国為替資金特別会計では年度によって1.3〜30兆円もの大金が使われているのである。
この多くの特別会計には我々国民に知らされていない多額の剰余金が存在している。上記の外国為替資金特別会計でも剰余金の積立てが19.6兆円もあると明らかにされている。従って、この剰余金の積立てを合計すれば膨大な金額になることは容易に想像できるが、これが所謂「霞ヶ関埋蔵金」と言われているものである。これを早急に疲弊しきった国民、特に地方活性化のために有効活用して欲しい。
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