http://www.asyura2.com/10/test19/msg/856.html
Tweet |
http://www.worldtimes.co.jp/special2/kikuti/100824.html
日本金融財政研究所長の菊池英博氏によると、2007年度の一般会計と特別会計を併せた中央政府の総会計の決算は黒字だったという。それで、特別会計を抜本改革するべきだとのことだ。今度の民主党代表選挙は経済政策が大きなポイントになると思うが、昨夏の民主党マニフェストの公約を実現するための財源や、国民新党の亀井静香氏が主張している財政出動(小沢一郎氏の経済政策もそれに近いらしい)の財源は本当は十分あるのではないだろうか。
今の世の中は、政治(政局)と経済(政策)を一体としてみないとよく分からないと思うので、敢えて、政治の掲示板にアップさせていただきました。
経済と財政の再建・日本金融財政研究所長 菊池英博氏に聞く(上)
1997年度の消費税増税を含む12兆円規模のデフレ政策を機に、日本は長期にわたるデフレ不況に突入している。こうした中で最近、米国のバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長が「経済の先行きは極めて不確か」として、金融緩和・ドル安に舵を切った。このためドル不安が再燃、憂慮すべき事態になっている。日本経済・財政の抜本的な再建策について、日本金融財政研究所長の菊池英博氏に聞いた。
(聞き手=編集委員・野村道彰)
●政府純債務は粗債務の半分以下
――菅直人首相は財政状態は「危機」だとして、財務省に消費税増税を柱とした緊縮財政・金融緩和政策への里帰りを許している。
世界大恐慌(1929〜33年)の時の米国は世界一の対外純債権国でありながら、財政支出の削減とガソリン税などの増税でデフレを深刻にし、税収を激減させた。現在の日本も世界一の純債権国(昨年末269兆円)で、海外からの利息配当(毎年10兆〜15兆円)や国内の預貯金の増加(同10兆円規模)、特別会計の積立金・次期繰越金(約50兆円超)など財源が豊富にありながら、財政支出を削減し増税に走ろうとしている。ドル安に直撃されている今こそ、国民の金融資産を有効活用して民間投資を誘発するよう政府投資を行うべきだ。日本はすでに平成恐慌と言うべき事態に陥っている。
――財務省は財政は「危機」だとしているが、財政の正しい姿はどうとらえるべきなのか。
予算編成の時にマスコミで説明される予算はほとんどが一般会計だが、一般会計で調達した歳入のうち、一般会計から支出されるのは40%にすぎず、残りの60%は特別会計に移されて、特別会計で調達した歳入と合わせて支出されている。だから、日本の財政を正しく理解するためには、一般会計と特別会計とを合わせてとらえる必要がある。
――財務省は2009年12月末に中央政府の債務残高は872兆円、国内総生産比(GDP)比で180%に上ると発表しているが、その実態はどうなのか。
その数字は粗債務であることに注意が必要だ。872兆円のうち、一般会計の債務は577兆円で、特別会計のそれは295兆円。しかし、財務省は一方で513兆円の金融資産を保有しており、これは(国民の目に触れないよう)すべて特別会計に計上されている。だから、粗債務872兆円から金融資産513兆円を差し引いた359兆円が中央政府の純債務である。粗債務の41%にすぎず、GDP比でも70%程度だ。財政の実態は、国際的には純債務で計ることが国力を表す適切な方法だ。実際、米国は中央政府債務を純債務で発表している。日本が世界一の対外純債権国であることも考えると、日本は「財政危機」とはほど遠く、財務省は財政危機を「偽装」している。
●特別会計収支は毎年大幅黒字
=積立金と繰越金に分散=
――特別会計に隠されている金融資産の姿を明らかにしてほしい。
特別会計は全部で21あるが、主なものは財政投融資特別会計と外国為替特別会計の二つだ。前者では財投債と借入金で集めた185兆円を政府系金融機関を通して、外国政府や地方自治体、企業・個人にまた貸ししている。外為特会でも財務省が国民に対して110兆円にものぼる政府短期証券を発行して円資金を調達し、これでドル買い介入を行って購入したドルで米国債を買い、日本の大手銀行にドル建てで預金している。こうした内外投融資活動で、特別会計は305兆円の金融資産を保有しており、毎年10兆円を超える利ざやを稼いでいる。特別会計は巨大な国立投資銀行として自己完結しており、同会計の債務295兆円の最終借り入れ人は、米国など外国政府や地方自治体、企業・個人であり、国民が負担すべき債務ではない。
――特別会計には年金などの国民の金融資産も積み立てられている。
厚生年金などの社会保険の収支を計上する社会保障基金の純資産は208兆円ある。これは、内閣府が発行している「国民経済計算年報」に資産として計上されており、国民の金融資産だ。1998年のアジア通貨危機の際に、マレーシアのマハティール首相は社会保障基金を担保にして新規国債を発行、景気振興策を発動して経済再建に成功し、国際通貨基金(IMF)から高く評価された。わが国では80兆円の国債を購入しているが、民間投資を引き出すための政府投資を行うための担保として、有効活用すべきだ。
――一般会計、特別会計合わせたわが国の総予算の状況はどうなっているか。
2007年度は一般会計の歳出81・8兆円のうち33・9兆円(全体の41%)は教育・防衛・公共事業・その関連経費支出などで同会計から直接支出されたが、残りの47・9兆円(59%)は特別会計に移され、複雑な会計処理が行われている。驚くべきことに、一般会計からの繰り入れ後の特別会計の剰余金は42・6兆円の黒字だった。財務省は余った剰余金を一般会計に戻さずに、特別会計の内部に留保して次年度の繰越金と積立金に回している。これが、「霞ヶ関埋蔵金」の正体だ。もし、特会の剰余金を一般会計に戻しておけば、同年度の25・4兆円の国債発行は必要なかったし、17・2兆円が税外収入となっていたので、一般会計は黒字になっていた。09年度も特会の剰余金は15・9兆円あり、一般会計に戻しておけば、同年度の財政赤字は半減していたはずだ。
――特別会計の歳入の原資は国民の貴重な預貯金だ。財務省はこれを使って投資銀行まがいのことを行っておきながら、その利益は埋蔵金として隠し持っていて、財政危機を煽り、消費税増税路線に走ろうとしている。本物のトータルな財政構造改革が必要ではないか。
段階的に特別会計を抜本改革していく必要がある。第一段階は、財政投融資特別会計が存続している場合の改革の処方箋で、―毎年度の剰余金をすべて翌年度の一般会計に移す―積立金の積み増しは廃止する−ことが必要だ。そうすれば、剰余金がすべて一般会計に戻され、(景気対策のための)財源になる。
――特別会計の第2段階の改革は。
財政投融資特別会計は廃止し、政府系金融機関(日本政策投資銀行や国際協力銀行、沖縄振興開発公庫など)の発行する政府保証債や地方自治体が発行する地方債はすべて、市場で直接発行して調達する方式に変更すればよい。そうすれば、政府が発行している財投債と借入金の2つの項目がなくなり、政府債務の二重記帳が解消する。埋蔵金などの不明朗な資金の存在もなくなる。なお、財特会計は廃止しても政府系金融機関の存在意義は薄れるものではない。新エネルギー開発や海底資源の掘削、大型社会的共通資本整備など民間金融機関が対応できない領域への投融資活動を行い、21世紀型の産業構造の構築に役立てれば良い。官だ民だという時代ではなく、「官民ベストミックス」の投融資活動を思い切って展開していくべきだ。
きくち・ひでひろ 1936年生まれ。東京大学教養学部在学中に国家公務員上級試験合格。卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。ニューヨーク支店、ミラノ支店長、豪州東銀頭取を歴任後、文京女子大学(現文京学院大学)教授を経て現在、日本金融財政研究所長。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。