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社会保障財源を100とした場合の事業主が負担する保険料の占める割合と消費税が占める割合を書き出してみます。
事業主保険料 消費税
日本 25.9(%) 8.8(%)
イギリス 32.4 11.4
ドイツ 35.0 10.7
フランス 44.7 4.5
イタリア 41.7 8.8
スエーデン 41.0 12.3
日本の企業は保険料をあまり払わないのがよくわかるでしょう。ヨーロッパはたしかに消費税は日本より高いですが、企業が負担する保険料も高額を支払っているのです。しかも、消費税より高率の負担を負っています。
日本は企業の負担をさらに減らそうとして、法人税引き下げが要求されています。ところが給与は、非正規労働の増加と残業代カットで減っているのです。老人には年金から高額の介護保険料や後期高齢者医療制度の負担が天引きされます。
これは何度も言われていることなのですが、
「消費税が導入されて以来の22年間で、消費税の総収入は224兆円に達しましたが、同じ時期に企業の納める法人三税 (国税の法人税、地方税の法人事業税、法人住民税) の収入は累計で208兆円減りました。消費税は企業負担の税金減税の穴埋めに当てられてしまい、社会保障に回せる余地がなかったのです」(「学習の友」2010年6月号より)。
消費税は所得が低い人ほど、負担が重くなる仕組みの税制です。所得に対する負担率を考えてみますと、わたしひとりの年間総収入(所得税・住民税、健康保険料など考えない)で370万、
消費税が5パーセントなら、370÷1.05=352万円が実際に使える額です。
では消費税が10パーセントになるとどうでしょう。370÷1.1=336万円です。
16万円暮らしが苦しくなります。
今度は年間総収入が1000万円の人を考えてみましょう。
10000000÷1.05=952万円。
10パーセントなら、909万円。
非正規労働者の年間総収入200万円でみましょう。
200÷1.05=190万円。
10パーセントに増税されれば、200÷1.1=181万円。
収入が950万円から909万円に減った場合と、350万円から330万円に減った場合、190万円から180万円に減った場合、それぞれの階層の暮らしに加えられる圧力の違いがわかりますか。
さらにこれらから天引きされるほかの税もあるのです。
「消費税は所得税とちがって、『貧困な人には非課税』というわけにはいかない税金です。生活保護世帯も、失業者も、ホームレスの人でさえも、生活している以上は消費税を負担することになります。もっとも社会保障による支援を必要としている人々が、『社会保障財源』の口実で重い消費税の負担を押しつけられることになるのです」(上掲書)。
わたしは税金を払うのがいやだなどと言っているのではありません。税を払うのはかまわない。でも税は公正に負担しあうべきです。払える人たちの負担を軽くして、暮らしの苦しい人に重く税をのしかからせる税制はもう暴力です。日本の税制の不公正さの実態を示しましょう。
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「日本の法人税は高い」とか「金持ちに増税すると海外に逃げられてしまう」などという議論は財務省によるマインド・コントロールのためのプロパガンダです。
たしかに、表面的な数字だけを比べると、日本の法人課税の実効税率(国税+地方税…の税率)はアメリカとほぼ同じで40%、ヨーロッパは30%前後ですから、日本のほうが高くなっています。しかし、日本の大企業の実際の税負担率は、もっとずっと低くなっています。たとえば、自動車、電機などの大企業は「研究開発減税」などを受けているために、実際の税負担率は30%前後です。
また、企業の公的負担は税だけではなく、社会保険料の事業主負担も含めて比較するべきです。そうすると、日本なんかよりもドイツやフランスのほうがずっと高いということが、財務省の資料でも明らかになっています。
■大企業の税・社会保険料負担の比較(情報サービス業)
国税 地方税 社会保険料 合計
日本 15.8(%) 9.2(%) 19.2(%) 44.2(%)
アメリカ 27.1 7.9 11.7 46.7
イギリス 23.0 − 16.3 39.3
ドイツ 14.2 12.4 29.1 55.7
フランス 12.3 − 57.8 70.1
高額所得者に対する所得税などの税率(最高税率)も日本のほうが低くなっています=優遇。たとえば、株式の配当や売却益に対する税率は、日本では地方税を含めても10%ですが、アメリカでは国税だけで15%、地方税を含めると25%以上です。オバマ政権はさらに5パーセント引き上げを提案しています(=税負担の公正を図るため)。イギリスでも、株式配当への税率が最高32.5lだったのが、この四月から42.5%に引き上げられました。
先進諸国のほうが税金が高いのです。日本で税がフェアに増えるとなって、さあ、お金持ちはもっと税の高いどこの国に逃げてゆくのでしょう。
(上掲書)
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管さんは、消費税増税を公約に掲げました。自民党もです。消費税増税を掲げても、消費税増税反対の党がなければ、どっちにしても消費税増税で選挙で敗れることはないだろう、という計算です。
消費税を上げるなら、企業側も法人税や社会保険料負担負担を増やす、公正な税制にするなら反対はしません。ところが、法人税は引き下げ、非正規派遣法事実上ザル法=所得減少、、社会保障事実上削減…。
こんな、上層部階級以外は死んでくれてもいい、といわんばかりの不公正税制でいいんですか。マスコミはすでに、「消費税増税はしかたがない」調の話しぶりをはじめています。世論形成の宣伝工作が始まっているのです。TVニュースで、街頭インタビューではみんな「しかたがないのかな」、「自分たちもできることがあるのかも」なんていう映像ばかりが流される、あるいは増税反対のインタビューでは、最初に話し下手なおじさんの映像であるのに対し、最後にファッショナブルな若者、好感の持てる青年ビジネスマンのさっそうとした、はきはきと「増税もやむをえない」と話す映像が流されたりすると、自然と後者の映像に説得されてしまう、というあいまいな感覚というのがわたしたち人間には備わっています。でも、ちょっと待った!
簡単に、「ああ、世間はみな消費税増税でまとまっているんだな…」などと思わないでください。
公正な税制をつくるためにも、企業側にも「できることがある」のです、多分に、ね。消費税を上げるなら、法人税の増税、企業の社会保険料負担増加、累進課税のフェアな徹底、そして社会保障の実際の整備など、まず先にするべきことがあるのです。みなさん、今の日本は冗談抜きの「越後屋さん」支配の世の中になっているのです。越後屋さんと、「おまえも悪(ワル)よのう」という悪代官と結託した社会になっているのです。だまされないでください。とにかく、地元の民主党支部、自民党支部、市会議員、県会議員、そういうところへ抗議の文書なりを自分の実名入りで訴えましょう。
自分が安全に生きるため、なのです。
高齢者は増えているのに、社会保障費は毎年削られてきた。弱い者や年寄りは見捨ててしまえばいいとする国なのか。最近の政治に対する論調で気になることがある。新聞も、週刊誌の特集も、TVのコメンテーターも、成長論が見えない、経済成長の戦略が示されていない、とばかり騒いでいる。なぜそんなに経済を成長させたいのか。弱者や老人を見捨ててしまえと思っている一方で、やっきになって経済を成長させて、いったい何をどうしたいというのか。(「成熟日本への進路」/ 波頭亮・著)
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