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Re: @test
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投稿者 上葉 日時 2010 年 4 月 20 日 05:15:23: CclMy.VRtIjPk
 

(回答先: Re: @test 投稿者 上葉 日時 2010 年 4 月 19 日 09:28:22)

エコでないエコカーは救世主に非ず 石油問題はリチウムでは解決できない|山本達也
エコでないエコカーは救世主に非ず 石油問題はリチウムでは解決できない JBpress(日本ビジネスプレス)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3266


日本経済・解体新書
エコでないエコカーは救世主に非ず
石油問題はリチウムでは解決できない
2010.04.20(Tue) 山本 達也

「2008年の夏の思い出は?」と聞かれて思い出せなくても、慌てる必要はない。物忘れのせいではなく、もしかして、どこにも行かなかったのかもしれない。

 その夏、WTI(米国産標準油種=ウエスト・テキサス・インターミディエート)の価格は1バレルあたり150ドルに迫ろうとしていた。日本国内のレギュラーガソリン販売価格も高騰、8月には全国平均で185円を突破、地域によっては200円近くまで値上がりした。航空機も燃料費の高騰が「サーチャージ」として付加されたので、この年の夏は「不要不急の長距離移動は控えよう」と考える人が多かった。


■原油価格の高騰は再来する

 この時の原油価格高騰は、一般的には「行き場を失った投機マネーが大量に流れ込んだ」と説明されている。もちろん、ある面では正しい解説だ。しかし、それだけでは原油高騰がたまたま起こった一過性のものなのか、今後も繰り返し起こり得ることなのかがはっきりしない。

 石油地質学者や地球物理学者のグループ、一部の石油産業関係者は、世界全体での石油供給量は、いずれピークを迎え、その後は減耗期に突入すると警告を発している。

 「石油ピーク論」が事実であるとすれば、いずれ世界の石油需要を満たす供給ができなくなり、均衡を取るために再び原油価格は上昇するはずだ。つまり、2008年夏の悪夢は、決して一過性の出来事ではないということになる。

 原油価格の高騰は運輸部門を直撃する。現在、人やモノの移動は、常温で液体である石油の使用を前提に、内燃機関によって動力を得ることで成り立っている。石油価格が高くなれば、当然、燃費にシビアにならざるを得ない。

 最近はプロのドライバーばかりでなく、一般のドライバーの間にも低燃費走行の意識が高まっているし、エコドライブを支援するプログラムが組み込まれたクルマも増えている。
走行はエコ、生産はエコじゃないハイブリッド


■プリウスのブレーキ不具合問題で、米女性がトヨタを提訴

 そして、なんといっても、注目を集めているのはハイブリッド車だ。2008年夏のガソリン価格高騰は、ハイブリッド車人気に拍車を掛けた。日本自動車販売協会連合会の統計によると、トヨタ自動車の最新ハイブリッド車「新型プリウス」は、2009年5月の発売以来、現在まで、販売台数ランキングのトップをキープし続けている。

 電気とガソリンを使って動力を得るハイブリッド車は、燃費が飛躍的に向上する。運転方法や道路条件によっても異なるが、通常のガソリン車に比べて2倍以上燃費が改善することも珍しくない。お財布に優しいのはもちろんのこと、石油減耗時代に適した車のように考えられる。

 「テクノロジーがエネルギー問題を解決する」──このフレーズは、なんとも耳に心地良い。日本の優秀なエンジニアは、それを実現するために日夜努力を続けている。しかし、石油ピークに起因するエネルギー問題は、そう簡単に解決できるものではない。





 当然のことながら、新車を造るためにはエネルギーが必要である。まず鋼板の原料となる鉄鉱石を採掘・精製しなければならない。内装品や化学繊維を使ったシートは石油が原料だ。原料は遠い海外から日本に輸入している。工場を稼働させるにも、もちろんエネルギーが必要となる。

 製造から廃車にするまでの全期間に使うエネルギーを考えた場合、ハイブリッド車は、原材料の輸入や加工などを含めた製造過程において通常のガソリンエンジン車の1.5倍程度のエネルギーが必要と言われている。

 ハイブリッド車が低燃費であることは誰もが知っている。しかし、製造時に使用するエネルギーが大幅に増加していることは、意外と知られていないハイブリッド車の弱点だ。

 さらにエコカー減税・補助金も功罪相半ばしている。インセンティブに刺激されて予定よりも早めに車を買い換えた人も多かった。個人レベルでは購入費用もガソリンも節約できるお財布に優しい選択であっても、大きなエネルギーを投入して造ったクルマを早めに買い替えることは、地球全体の有限のエネルギーの使い方としては、ずいぶんと「もったいない」ことをしていることになる。


■燃費改善が省エネを実現しないパラドックス

 日本が本格的に省エネ技術に取り組むようになったのは、1970年代に経験した2つの石油ショックがきっかけだった。冷蔵庫、洗濯機、電球、エアコン、車などありとあらゆる製品で省エネ技術は飛躍的な発展を遂げた。今や、日本の省エネ技術は世界のトップを走っている。

 しかし、こうした優れた技術がエネルギー問題の解決に結びつくかどうかは別問題である。

 図1は、日本の最終エネルギー消費とGDPの推移を示したグラフだ。ありとあらゆる製品で省エネ技術が飛躍的に向上したにもかかわらず、日本全体での最終エネルギー消費は、石油ショック時代よりも大幅に増大している。

 実はこの現象は、日本に限ったことでも、今に始まったことでもない。





 19世紀のイギリスの経済学者ジェボンズは、著書『石炭問題』(The Coal Question)の中で、蒸気機関の技術向上で個々の機械における石炭の使用効率は向上しているにもかかわらず、全体の石炭消費量は増大していることを看破している。

 この問題は、彼の名前にちなんで「ジェボンズのパラドックス」として知られている。ジェボンズのパラドックスは、「省エネ効率を向上させる技術的進歩は、その資源の消費量を減らすのではなく、むしろ増やす傾向をもたらす」という経験則を我々に教えている。

 効率化によって工場の石炭使用量が減ると、浮いた分で別の製品作りを始める。電力使用量の少ない冷蔵庫ができると、メーカーはより大きな冷蔵庫を売ろうとしたり、付加機能をつけようとする。クルマの燃費が向上すると、今まで歩いて出掛けていたところでも、ついついクルマに乗ってしまう。

 ハイブリッド車や次世代自動車として期待を集める電気自動車も、歴史の例外に漏れず、「ジェボンズのパラドックス」に当てはまってしまう可能性は高い。


リチウムにもいずれ生産のピークがやってくる

 次世代自動車の抱えるもう1つの懸念は、枯渇性資源をめぐる問題である。電気自動車は、その成否を電池に関する技術が決めるであろうと言われている。中でも次世代自動車の電池として有力視されているのがリチウムイオン電池だ。

 リチウムの約8割は、チリ、ボリビア、アルゼンチンなどの塩湖に偏在していると言われている。

 限られた資源を求めて、南米では既に激しいリチウム争奪戦が始まっており、今後の価格高騰は避けられないだろう。さらに、塩水を濃縮してリチウムを取り出す過程で、廃棄物による環境汚染も深刻化している。

 まだハイブリッド車が主流とは言えない現在ですら、これだけの問題が起こっている。世界中を走っている約9億台の車が、すべて電気自動車に置き換えられるという世界は想像し難い。

 また、リチウムとは枯渇性の鉱物資源である。石油という枯渇性資源の問題を、別の枯渇性資源で「解決」することはできない。単に問題の「先送り」をしているに過ぎない。

 我々は「環境に優しい」とされる「エコカー」が出来上がった状態でしか目にすることがない。

 「環境に優しいか」「本当に省エネにつながるのか」という判断は、製品を購入して実際に使用するプロセスのことだけを考えて行われることが多い。ここで抜け落ちているのは、「その製品がどうやって作られているのか」ということに関する想像力である。

 「技術がエネルギー問題を解決してくれる」のであれば、何と幸せなことだろうか。技術は重要であるし、その技術開発を担っているエンジニアには敬意が払われるべきだ。

 しかし、残念ながら技術がすべてを解決してくれるわけではない。石油減耗時代に備え、いま一度、製品の裏側、技術の裏側に想いを馳せながら、次の時代を構想し始める時期にさしかかっている。





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