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ごくふつうの日常を研究する人、リアルな「モノ」に携わる人と解剖学者(養老猛司)が大事な問題を論じ合う対談集「日本のリアル:農業、漁業、林業、そして食卓を語り合う」があり、それを読んだなかで、日本の食卓の研究を通して日本社会の変化を見つめている岩村暢子(1953年北海道生まれ 著書に『変わる家族 変わる食卓』『普通の家族がいちばん怖い』『家族の勝手でしょう』)の対談を紹介します。
【家族がリアリティを失った】
岩村:私は広告会社でマーケティングの仕事をしていたのですが、1990年代初頭に「主婦」や「お母さん」が大きく変わったと気が付いたのです。一昔のように、自分の事はさておき家族に尽すお母さんではなくなって、「自分が大切」とはっきり言うようになっていた。ちょうどその頃「個化する日本人」ということも言われ始めて、単身者の意識や行動を調べる調査もふえていたんです。私は、「個化する日本人」を調べたいのなら、最も「個化」しにくい集団である家族を調べるべきだと思ったのです。
【岩村の十数年調査した結果】
家族それぞれがますます「自分」を大切にし、個を優先するようになってきている。食卓にはっきりと表れていて、家族が家にいても同時に食卓につかず、たとえ一緒に食卓を囲んでも違う物を食べる「バラバラ食」さらには一日三食も崩れて、みんな自分のペースで好きな時間に勝手に食べる「勝手食い」も増えている。「バラバラ食い」や「勝手食い」の家では、親は子どもが何を食べたかも知らなかったり、無関心になっている。
同じ家を10年くらい後に追跡調査すると、子どもはもっと自分ペースになっているし、お母さんも「自由」を謳歌している。そしてお父さんは「メタボ」「生活習慣病」を指摘される年齢になっているが「食事の健康管理は自分でして」と言われている。
また、マスコミで「震災後家族の絆が見直され内食(家庭で食事を作って食べること)が増えた」と言われていましたが、調査した結果、これはマスコミの願望であって「家族の絆」も「手づくりの内食」も減少方向に進んでいた。家族という共同体というか、もっとも密接な人間関係が内側から怪しくなってきているし、家庭生活や家庭の食事という日常そのものに現実がなくなってきている、と言う事です。
【各世代の特色をまとめると以下のようになります】
1930年後半〜生まれ(祖父母 現在70歳台) 義務教育中に軍国主義教育から民主主義教育に大転換をした為、「容易に物事が信じられない世代」となった。結果、「五感でとらえられるもの≒モノ」を信じる事で生きてきた。裏には「信じられるものは何か」との思いがあった。だから、同時代の多くが工学系や技術系の道に進んだ。その結果、戦後の日本は技術大国になった。また、子ども(1960年以降の生まれ)には「何事も時代時代で変わるから」と言って、子どもに自分のやり方や価値観も伝えようとしない。聞かれても「こうすべきだ」とは言わず、「いろいろな考え方があっていいから、あなたのしたいようにしなさい」というのです。
1960年〜生まれ(親 現在50歳台)マークシート方式で暗記式の試験に対応した勉強をしてきた第一世代で、「答え」は自分で探すものでなく教えられるもの、そして、待つ事が出来ない世代となった。教育内容は、サラリーマン育成教育≒消費者育成教育で知識、情報に重きが置かれ、身につける体験教育ではない。
1985年〜生まれ(子ども 現在20歳台)実際にできたかどうかよりも、前向きな「姿勢」を重視し、評価するようになった。理解したかどうかよりも「関心や要求」を学力として評価しようとするように変った。この世代を「ミーフェチ世代」と呼んでおり、ミー(私)に対するフェティシズムが濃厚である。「私が大好き」で「私」に関心が高い。お気に入りの写真やマスコット、音楽や香りなどを身の回りに集め、持ち歩いたりして、自分の内的世界の心地よさにこだわるのに、外界や他者には余り関心を持たない特徴がある。この世代が入社し始めて「厳しくしてはいけない」「叱ってはいけない」といわれている。なぜなら「へこみ」やすい。「私の世界」が壊されたようになって、立ち直りに時間が掛かるとの事。
対談/サラリーマン育成教育
★岩村:1950年代後半から日本は第1次産業を他産業に振り分ける政策を採ってきて、60年代には、「サラリーマン化」が大きく進みましたよね。
1960年以降に生まれた人たちが受けた教育をみると、サラリーマン育成の教育だし、消費者育成の教育でもあると感じます。人や自然と向き合って、人と協力してものをつくりだす人の教育ではなくなって、単独で自律的なサラリーマンを育成し、賢い消費者を育成する教育になってきた、と。
だから「サラリーマン化した」と言うのは、単に産業構造が変わっただけでなく、第1次産業にいきる人たちの培ってきたものも、教育から落としてきたということなんだと思います。そういう教育を受けた人たちが、もう50代になっているのですから、いろんなことが変わってくるんですよね。
★養老:消費者教育をやってきた結果、教育の現場においてさえ、子どもたちは消費者行動をとるようになっていますよね。
今のこどもたちは授業を商品として見ています。だから、教師が教えようとすると、「その価値を説明してみろ」という態度に出る。授業中、ずっと後ろを向いてしゃべっている小学生は、先生の話を無視することで値切り行動にでているんです。価値の分からないものを買うときは徹底的に値切るというのは、完全に消費者としての振る舞いです。(岸良造)
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