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(Japan's indigenous people eye political power: AFP - France24 English)
http://www.france24.com/en/20120815-japans-indigenous-people-eye-political-power
2012年8月15日 11:23
日本の先住民は政治力の獲得を目指す
萱野志朗氏−萱野茂元参議院議員の息子−は、来年の国政選挙で、新政党・アイヌ民族党が10議席を勝ちとり、また、アイヌの人々のために広大な土地の権利を要求するという、野心的な宣言を行っている。これは、かつて日本最北の島・北海道で狩猟採集社会を営んでいた、アイヌ民族の認知が広まることを狙った、最新の動きだ。
先住民アイヌの女性が、日本北部の島北海道・平取の二風谷アイヌ博物館で、ハープのような楽器を演奏している。日本の少数民族・アイヌは、来年の国政選挙で10議席を勝ちとるという野心的な宣言を行った。これは、かつて日本最北の島・北海道で狩猟採集社会を営んでいた、アイヌ民族の認知が広まることを狙った、最新の動きだ。
AFP - かつての萱野志朗氏は、ネオンが瞬く日本の都市に住む何百万人ものサラリーマンたちと、全く同じだった。スーツを着てネクタイを締め、最新の工業技術を買い、東京の広告会社から月給を得ていた。
しかし、20年ほど前にカナダの先住民の家庭を訪問する機会があったことから、いま54歳の萱野氏は別の道を歩み始めた。日本国民1億2700万人の中でも小さな少数民族である、アイヌの人たちのために政治力を獲得することを、萱野氏は模索している。
萱野氏は、来年の参議院の選挙で、新政党・アイヌ民族党が242議席の内の10議席を勝ちとる−また、アイヌの人々のために、広大な土地の権利を要求する−という野心的な宣言を行った。これは、かつて日本最北の北海道で狩猟採集社会を営んでいた、アイヌ民族の認知が広まることを狙った、最新の動きだ。
アイヌの人々は大部分の日本人よりも色白で体毛が深く、森羅万象−木・丘・湖・川・動物、特に、熊−に神が宿ると信じるアミニズムの信仰を伝統的に持っている。
アイヌの男性は顎髭をたくわえ、女性は適齢期に達する前に入れ墨で顔を装飾した。アイヌの服装は、樹皮の繊維で作ったローブ状のもので、幾何学文様が施された。
しかし、世界中の多くの先住民のように、日本の24,000人のアイヌの大部分は、独自の言語や文化を公に禁止される、数十年にわたる強制的な同化政策があったために、自分たちの伝統的なライフスタイルとのつながりを失い、アイヌは現代日本の中で不利な少数派に置かれたままだ。
初期の統計では、アイヌの人口は70,000人を保っていったが、多くのアイヌが社会の本流と統合され、また、一部に自分の文化的な出自を隠すアイヌがいるために、本当の数字は分からない状態だ。
「現代のアイヌに必要なことは、政治への参加だと私たちは考えている」と、現在はアイヌの遺産を保存する博物館を運営している、萱野氏は語った。
「現在は政治が混沌としているので、私たちにもきっとチャンスがあると期待している。」
与党・民主党は、増税と、去年の福島原発の大事故以来の原子炉2基の再開について、激しい批判に晒されており、政界への新規参入の扉は開かれたと、萱野氏は語った。
「もし私が選ばれれば、小中学校でのアイヌ語授業の導入に取り組みたい−私たちの言葉を取り戻すことは可能だと、私は考える。」
萱野氏の父親は日本の歴史でただ一人のアイヌ人国会議員だったが、萱野氏は、単に自分たちの民族の伝統と絶滅同然の言語を再生させるという以上のことを、視野に入れている。
萱野氏は、自分たちが受け継いできた祖国・北海道の島−今や、スキー客やアウトドア志向の旅行者に人気のスポットだ−や、さらには、国立公園など、日本の国土の3分の2ほどを与えて貰いたいと考えている。
歴史的には、19世紀まで北海道はアイヌのものだった。19世紀、北海道への日本人の入植が奨励されると、アイヌは自分たちの土地を押し出され、さらに辺境へと追いやられた。
広大な土地を要求する自分の考えが成就しそうにないことは、萱野氏も認めている。そして、これは新党のマニフェストにさえ盛り込まれていない。
「望みが薄いことは分かっているが、言葉を出さなければ何も始まらない」と、萱野氏は語った。
社会の隅に追いやられて数十年が経ち、変化の兆候が見えてきた。
2008年、画期的な国会決議の中で、日本は初めてアイヌを先住民と認めた。その決議により、収入と教育の水準が平均に満たないアイヌ社会への支援が約束された。
アイヌ語を復活させ、祭祀儀礼などの伝統儀式を開催可能な拠点を創るための政策を、日本政府は検討中だ。
それでも、アイヌ語を流暢に話せる人を捜すことは、容易な業でない。
北海道の小さな農業の街・平取では、81歳の語学教師キバタ・サチコ氏が、アイヌ語を若い世代に伝えることのできる、わずかな1人だ。
キバタ氏自身は、20年ほど前に萱野氏の父親からアイヌ語を習っただけだ。
「それでも、私には子どもの頃、祖母がアイヌ語を話していた記憶があったので、私もその記憶に助けられて学ぶことができた」と、キバタ氏は語った。
萱野氏の場合、彼の奮闘が始まったのは25年ほど前、先住民が住むカナダの村を訪問してからだ。そこでも、歴史的な同化政策のために、伝統的なライフスタイルは希薄化されていた。
「私は、民族が言葉と文化を力によって奪われる非道さを実感した」と、萱野氏は語った。
「私は、アイヌとしてのアイデンティティに目覚めた。」
新党を創るという構想は、去年、ペルーで開かれた先住民の世界大会への旅で思いついた。ペルーの隣にはボリビアがあり、ボリビアには南米初の先住民大統領エボ・モラレス氏がいる。
その決心にもかかわらず、萱野氏は困難な闘いに直面していることを知っている。その相手には、一部のアイヌさえもいる。
「『私たちへの差別はもうどこにもない』と言うアイヌもいる。一方、『むしろ、日本社会の中で勝者になる努力をすべきではないか』と言うアイヌもいる」と、萱野氏はAFPに語った。
「こういった人たちは、アイヌの権利を主張することは、自分たちにとって有害だと考えている。だから、私は自分の考えを無理強いすることはできない。」
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(投稿者より)
AFP通信が配信し、フランス24サイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。
沖縄もそうですが、国民統合を考えるとき、アイヌの問題も避けて通れないと思います。「いやなら自分の国に帰ってよ」という、「自分の国」が、実は北海道だったりします。「あなたたちこそ帰って!」と言われかねない可能性を、この問題は孕んでいます。
"Historically, the Ainu dominated Hokkaido until the 19th century"「歴史的には、19世紀まで北海道はアイヌのものだった」ちょっと粗い訳ですが、これでいいと思います。アイヌは国家意識を持たなかったので、"dominate"を「支配」「統治」とすることはできないでしょう。
勿論、19世紀以前の北海道には、松前藩が存在して、シャクシャインの乱が平定されて、ロシアの南進に備えるために幕府の直轄領となって、、、という歴史はありますが、それは和人の都合です。書く文字を持たないだけで、アイヌの歴史は別にあるはずです。
アイヌ民族党の主張には、「永住外国人への地方参政権付与」もあります。少数意見に心を配る余り、日本の国の根幹が犯されるのは困ります。しかし、日本という国を構成する一員として、アイヌという民族が既に取り込まれている以上、アイヌの主張に耳を傾ける必要はあるでしょう。それは、沖縄も同様だと思います。
「さらには、…、日本の国土の3分の2ほどを与えて貰いたい」"He wants the Ainu to be granted ... even some two-thirds of Japan's territory"私の訳が正しければ、これは途方もない主張ですが、萱野氏がなぜそう考えるのか、私には興味があります。記事は触れていませんが、自然を尊重する心を失った日本人に代わって、日本の自然はアイヌが守る、ということが言いたいのかも知れません。日本の森林面積が、ちょうどそのくらいです。
先住民の問題を扱った記事なので、「社会」板に投稿いたしました。
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