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「絆」を絶たれた人々 大量孤立死社会
2012年07月27日 (16600文字)
くらし事件家庭
1
誰にも看取られることなく、ひっそりと亡くなる「孤立死(孤独死)」の例が後を絶たない。2011年冬から12年春にかけても、都内や埼玉県、北海道など各地で一家や姉妹が孤立死する例が続いた。「孤立死」というと一人暮らしや高齢者のイメージがあるが、働き盛りの30代がいる一家も亡くなっている。東日本大震災後、「絆」を見直す動きが強まっているにもかかわらず、孤立死はなぜ続くのだろうか。各地の現場を回りながら考えた。
◇故郷を後にした一家、死後も戻れず
◇誰にも届かなかった姉妹のSOS
◇母子家庭の危うさ共有されず
故郷を後にした一家、死後も戻れず
だれにも看取られることなく、ひっそりと亡くなる人が後を絶たない。この冬から春にかけても、都内や埼玉県、北海道など各地で一家や姉妹が孤立死する例が続いた。東日本大震災後、「絆」を見直す動きが強まっているにもかかわらず、孤立死はなぜ続くのだろうか。各地の現場を回りながら考えた。
捜していた男性は、秋田県大館市の元左官職人(69)が保存していた写真の隅で、斜に構えたようにレンズをにらんでいた。細面で渋めの雰囲気は、いまふうに言えばイケメンの若者といったところか。
男性の名前は櫻庭三千久(さくらばみちひさ)さん。三千久さんは、写真が撮影されてから約40年後の今年2月20日、ふるさとから遠く離れたさいたま市北区のアパートで、死後2カ月ほどの変わり果てた姿で見つかった。64歳だった。同じ室内には、妻の富士子さん(当時63歳)と長男の豪男(たけお)さん(同39歳)の遺体もあり、発見時は「一家3人が孤立死か」とメディアをにぎわせた。
「孤立死」。今年の冬から春にかけては、とりわけこの言葉を耳にすることが多かった。実は孤立死そのものに明確な定義があるわけではない。ニッセイ基礎研究所主任研究員の廣渡健司さんは、高齢者の孤立死実態調査を行った際に孤立死を「死亡から4日以上たって発見された死」と定義した。日常的に他人との接点がなく社会から孤立しているため、なかなか発見されない死という意味だ。
しかし、櫻庭さん一家は、働き盛りとされる30代の息子と、まだまだ元気なはずの60代夫妻という家族構成だった。一般的には社会との接点が多いと思われる世帯が、なぜ「孤立」したのか。三千久さんの足跡をたどりながら考えてみた・・・
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「絆」を絶たれた人々 大量孤立死社会210円(税込)
著者ノンフィクションライター 橘由歩 出版社朝日新聞出版 出版媒体週刊朝日
誰にも看取られることなく、ひっそりと亡くなる「孤立死(孤独死)」の例が後を絶たない。2011年冬から12年春にかけても、都内や埼玉県、北海道など各地で一家や姉妹が孤立死する例が続いた。「孤立死」というと一人暮らしや高齢者のイメージがあるが、働き盛りの30代がいる一家も亡くなっている。東日本大震災後、「絆」を見直す動きが強まっているにもかかわらず、孤立死はなぜ続くのだろうか。各地の現場を回りながら考えた。[掲載]週刊朝日(2012年7月13日号、20日号、27日号、16600字)
http://astand.asahi.com/webshinsho/asahipub/weeklyasahi/product/2012072000001.html?ref=recd
孤独死問題
<男女遺体>姉と弟が病死か…埼玉・富士見の民家
7月30日20時39分配信
29日午後4時ごろ、埼玉県富士見市羽沢の民家に住む姉と弟の姿を約1週間見ていないと、近くの住民から110番があった。駆けつけた県警東入間署員が民家内で60〜70歳代の男女2人の遺体を見つけた。司法解剖の結果、2人は病死とみられ、死後約1週間が経過していた。同署はこの家に住む姉と弟とみて身元の確認を進める。
[記事全文]
弁当を前に4歳児が餓死? 立川母子孤立死の惨状(週刊朝日)7月19日 - 7時12分
紀ノ川で男性遺体 和歌山市(産経新聞)7月18日 - 7時55分
孤立死の姉妹 生活傾き始めたきっかけは...(週刊朝日)7月14日 - 7時9分
背景
2008(平成20)年3月に厚生労働省が発表した「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議(「孤立死」ゼロを目指して)−報告書−」(PDFファイル)において、発生要因として下記の背景等を上げている。
「孤立」が発生している背景
家族構成・人口構造の変化 戦後、高度経済成長時代を通じて日本の家族構成が他世代同居型から核家族型に変化。子どもの独立後、夫婦2人またはその後1人という構成の世帯が増加し、退職後は地域や社会から孤立した暮らしになりがち。
居住形態の変化 核家族化の進行による小家族化や大都市地域における借家住まいやマンション居住が急増。近所づきあいのわずらわしさから逃れ、匿名性は確保できるが、孤立した暮らしに。
高齢者がいる世帯の構成割合をグラフ化してみる(2011年分反映版) - Garbagenews.com(2012年7月9日)
核家族の中身の推移をグラフ化してみる(2011年分反映版) - Garbagenews.com(2012年7月18日)
核家族比率は幾分減ったが…? 種類別世帯数の推移をグラフ化してみる(2010年分反映版) - Garbagenews.com(2011年12月21日)
熟年離婚問題
同居期間が20年以上の離婚件数は、1975年には6810件だったのに対し、2006年の結果では38922件と増加し、この30年あまりで5.7倍に増えたと報告されている。All About「恋愛」ガイド記事「増加する熟年離婚。危険度の高い夫婦は?」(2010年5月15日)
孤独死への意識
身近な問題としてとらえる人々が多い
第一生命が2007年10月〜11月に行った調査「全国の30〜69歳の男女800名に聞いた『自殺と孤独死に対する意識」(PDFファイル)では自身の孤独死の「可能性はほとんどない」と確信している人は約2割にとどまり、多くの人が孤独死を人ごとであるとは捉えていない。
また、孤独死を防止するために必要だと思う対策を3つまで挙げてもらったところ、
日ごろから、家族が連絡を密にする(51.2%)
日ごろから近所の人たちが声かけをしたり、心配りをしたりする(43.0%)、
緊急連絡先や助け合える友人などを確保しておく(33.6%)
など、特別な対策を必要と考えているわけではないことが分かる。
どうすれば孤独死を防げるか
相次ぐ孤立死どう考える 医師、識者らに聞く - 神戸新聞(2012年5月15日)
視点・論点 「餓死・孤立死をどう考えるか」 - NHK解説委員室(2012年4月20日)
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孤立死への対策、取り組み
単身高齢者や高齢者のみの世帯数は今後も増加が予想され、地域のコミュニティ意識の希薄化が指摘されていることから、コミュニティ意識を掘り起こし、活性化することが最重要であるとして、厚生労働省は孤立死ゼロを目指した「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議(「孤立死ゼロ」を目指して)」を開催し、以下を推進するとしている。
各地域において実践されている孤立死ゼロに向けた取り組みの普及
高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくりに向けての提言の策定
高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議(「孤立死」ゼロを目指して)−報告書−の公表について - 厚生労働省
自治体に通知
孤立死防止へ情報集約求める 人命に関わる場合、個人情報保護の適用外 厚労省 - 産経新聞(2012年5月12日)
孤立死の防止対策について都道府県などに通知 - 厚生労働省
地域、団体の取り組み
防ごう孤立死:単身の知的障害者を地域ぐるみで支援…神戸 - 毎日新聞(2012年5月27日)
「雑談しませんか」…孤立防ぐ見守りの手紙 - 読売新聞(2012年5月23日)
知的障害者:孤立死防止へ「お元気ですか」 奈良の団体が「手紙運動」 - 毎日新聞(2012年5月9日)
企業と連携した安否確認システム
情報共有で「孤立死」防げ 電気・ガス業者と連携探る - 産経新聞(2012年3月7日)
大阪ガス
象印マホービン
独居老人やシルバーマンションの安否確認・自動通報システム - 福祉介護ヘルスケア。
公営住宅の見守り
シルバーハウジング - 高齢者の見守りや安否確認、相談対応などを行う生活援助員を配置
孤独死ゼロ運動 - 千葉県松戸市の常盤平団地では団地自治会が中心となって「孤独死ゼロ作戦」に取り組んでいる。常盤平団地自治会ホームページ
高齢単身者の1割は公営借家住まい…高齢者と居住住宅の種類の関係をグラフ化してみる - Garbagenews.com(2011年11月8日)
課題は
クローズアップ2012:孤立死、制度のはざま 定義・統計なし 防ぐ仕組み未確立 - 毎日新聞(2012年4月10日)
特集
[特集]孤独死を追う - 東京新聞
[政治クローズアップ]政治は「社会的孤立」を救えるか - Yahoo!みんなの政治
「孤立死」も出現
家族単位で人知れず死んで見つかる「孤立死」も出てきている。
関連トピックス
飯島愛さん死去 | 高齢化社会|無縁社会
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/solitary_death/
孤独死のリスクと向き合う−H22年度老人保健健康増進等事業「セルフ・ネグレクトと孤立死に関する実態調査と地域支援のあり方に関する調査研究報告書」から
2012/01/25
ジェロントロジージャーナルNo.11_014全文ダウンロード(246KB)
■見出し
1――孤立死のリスク
2――孤立死の実態と支援拒否への対応
3――個人に求められるもの
■introduction
東日本大震災により多くの被災者が避難生活を強いられ、今後も仮設住宅等での生活を余儀なくされる中で、マスコミ等では阪神大震災後の経験から改めて孤立死防止対策の必要性が唱えられている。しかし災害時に限らず、今後単身高齢者が爆発的に増加していく社会構造の中では、孤立死は誰もが自分に降りかかる可能性のあるリスクとして理解し、備える必要がある課題といえる。ニッセイ基礎研究所が行ったH22年度老人保健健康増進等事業による調査研究の中から、私たちの身近に潜む孤立死のリスクと実態を紹介し、備え方についての私見を述べたい。
廣渡 健司
研究・専門分野
勤労者生活・雇用制度、企業の両立支援、次世代法関連制度、勤労者に関する健康問題
自分自身の加齢と同じように着実に進む日本社会の高齢化の行く末がどういう姿になるのか、少しでも明るく、希望が持てる社会になるための研究や提言ができればと思い、高齢社会の問題を中心に取り組んでいます。また、先行きが不透明で、将来の不安が語られる今だからこそ、シンクタンクとしての研究の成果を、より多くの方々に知っていただくことも、とても重要なミッションだと考え、今年度から研究所全体の広報担当の役割も担うことになりました。経済、社会、金融、生活、さまざまな分野での研究員の研究成果の情報発信を活性化するための窓口担当として、情報の交差点になれればと思っております。是非お気軽にお声がけください。
経歴
プロフィール
【職歴】
1989年 日本生命保険相互会社入社
2010年3月 (株)ニッセイ基礎研究所へ
活動実績
レポート
2012/02/20 東京ゲートブリッジが人を惹きつける3つ目の理由 研究員の眼
2012/02/03 大雪の中で考える節電の夏 研究員の眼
2012/01/25 孤独死のリスクと向き合う−H22年度老人保健健康増進等事業「セルフ・ネグレクトと孤立死に関する実態調査と地域支援のあり方に関する調査研究報告書」から ジェロントロジージャーナル
2011/02/28 「無縁社会」における握手の効用〜孤立死調査の中で感じた地域での関わりの重要性〜 研究員の眼
2010/06/18 デンマークを乗り越えて 一段高いステージへ 研究員の眼
受託調査実績
2010年度 セルフネグレクトと孤独死に関する実態把握と地域支援のあり方に関する調査研究事業 厚生労働省
http://www.nli-research.co.jp/company/lifedesign/kenji_hirowatari.html
東日本大震災により多くの被災者が避難生活を強いられ、今後も仮設住宅等での生活を余儀なくさ
れる中で、マスコミ等では阪神大震災後の経験から改めて孤立死防止対策の必要性が唱えられている。
しかし災害時に限らず、今後単身高齢者が爆発的に増加していく社会構造の中では、孤立死は誰もが
自分に降りかかる可能性のあるリスクとして理解し、備える必要がある課題といえる。ニッセイ基礎
研究所が行ったH22 年度老人保健健康増進等事業による調査研究の中から、私たちの身近に潜む孤立
死のリスクと実態を紹介し、備え方についての私見を述べたい。
1――孤立死のリスク
孤立死を「自宅にて死亡し、死後発見までに一定期間経過している人」として、東京23 区における
孤立死の発生数から算出した発生確率(死後4 日以上)は65 歳以上高齢者全体で死者100 人あたり
1.74 人であるが、性と年齢によって大きく異なっており、最も発生確率の高い65-69 歳男性でみれば、
死者100 人のうち8.36 人が死後2日以上、5.69 人が死後4日以上、3.90 人が死後8日以上経過して
発見されるという実態がある。(図表-1)
その確率を元に全国の推計を行うと、全国において年間15,603 人(男性10,622 人、女性4,981 人)
の高齢者が死後4日以上を経て発見される状態で亡くなっていることになる。(図表-2)
2――孤立死の実態と支援拒否への対応
全国から収集した孤立死事例についてみてみると、要介護度が高い事例やフォーマルサービスの関
わりが多い事例ほど、死後経過日数が短い傾向にあり、約80%の割合で「汚れた衣類着用」や「室内の
ゴミ放置」、「閉じこもり」や「医療拒否」といったいわゆるセルフ・ネグレクト状態にあることが想
定される事例が含まれていた。また、死後発見までの期間ごとに事例を整理してみると、生前の本人
の生活における他者との「物理的な距離」「日ごろの関係の深さ」「関わりの頻度」によって差異が見
られ、より近くに、より深く、より頻繁に関わっている方がいることが早期発見につながっており、
他人との接点が少なく、かつ薄いケースでは長く発見が遅れているようである。
特に、死後発見が遅れた多くの事例から浮かび上がってくるのは、「周囲の支援を頑なに拒否する高
齢者像」と「近隣に親族が居住するケースや、本人がしっかりと自立生活を維持しているケースにお
いて、周囲の警戒感が緩み発見が遅れてしまうことがある」というリスクの存在である。
特に「高齢者本人による支援拒否」は、多くの自治体が「孤立予防・解消」の取り組みを進める上
でも直面する課題としてあげられているが、積極的に取り組んでいる自治体においても、本人を中心
にした支援者のチームを作り、関係づくりと継続的な関わりを地道に進める局面で、本人の状態を理
解しスムーズな支援につなげるキーマンとしての家族の存在が求められている。また自立生活ができ
ている高齢者であっても、突然死のリスクを踏まえた地域での人間関係が必要といえる。
【全国の収集した事例(参考)】
70代後半女性。以前よりサービス受入拒否があり周囲が心配。
連絡を受け訪問したケアマネジャーが玄関での死亡を発見。死
後11日。汚れた衣類、無入浴等不衛生な状態。他人の関わりに
強い拒否。プライドが高く状態が悪化する自分の姿を他人にさら
すことに強い抵抗があり周囲との関係も次第に疎遠に。
事
例
3
70代前半男性。ほぼ毎日連絡を取り合っていた妹が連絡がとれ
ないことを心配して訪問し、風呂場での死亡を発見。死後11日。
生活は自立し、行政とのコミュニケーションもあった。しかし、玄
関横の窓から異臭がするにもかかわらず近隣からの通報がな
く、付き合いが希薄だったことが推測される。
事
例
4
80代後半男性。認知症の妻と同居。県外の娘から連絡が取れ
ないとの電話を受け、訪問して発見。親戚は殆ど県外。地域住
民とのかかわりも乏しい状況で、妻の介護をしながら生活。妻の
徘徊問題もあり、介護保険サービス利用を勧められるも利用に
は至らず。
事
例
1
80代前半男性。近所に住む息子が死後4〜5日後に発見。金が
入ると全てアルコールにまわして、家に閉じこもる。福祉サービス
は金銭的な問題で中止。本人の性格と行動もあり近隣との関係
は疎遠だったが、すぐ近くに息子がいるので安否確認はできて
いると思われていた。
事
例
2
3――個人に求められるもの
住み慣れた場所で、自分の時間を大切にしながら、ある日突然に最期の時を迎えることは、むしろ
理想かもしれない。しかし、死後発見が遅れれば腐敗等の進行により、本人の尊厳の問題だけでなく、
社会経済的にも多大な影響を及ぼすことになる。そういう観点からやはり、自宅で死亡したケースに
おいても死後できるだけ早期に発見されることが望ましい。
行政や社協、自治会等、地域の中では、訪問・見守り活動等、孤立を防ぐさまざまな取組み、努力
が行われているが、どれだけ周囲ががんばっても、本人が支援を拒否するケースでは対応が難しく、
その取組みの効果も限定的になる。我慢づよさ、慎み深さは美徳ではあるが、周囲の関わりを「監視」
としてではなく、「万一の時に自分の尊厳を守る備え」と理解し、加齢による身体の変化と周囲の思い
やりを受け入れることが、生活の潤いにもつながるのではないだろうか。
震災に直接被災しなかった方々も含めて、誰もが人と人との絆の大切さを痛感した今日、大切な人
や将来の自分が「孤立状態」に陥らないよう、離れて暮らす親やその近隣の方々との関わり方、自ら
の地域での人間関係について再確認していただくきっかけにしていただければと願うところである。
http://www.nli-research.co.jp/report/gerontology_journal/2011/gero11_014.pdf
http://www.nli-research.co.jp/report/misc/2011/sn110421.pdf
http://www.nli-research.co.jp/company/110421self_neglect.pdf
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