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まじめに働くよりも「おいしい生活保護」とは
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120628-00006490-president-bus_all
プレジデント 6月28日(木)8時0分配信
■みんな野球帽を被る西成スタイル
「役所のやることは、もうホンマわからん。どこの馬の骨かもしれん人間がジャンジャン西成に流れてきて、若いのも年寄りも、みんな簡単に生活保護を受けさせよる。で、その金でバクチや、酒や、クスリや。酔って人様に迷惑かけて、全部いらん金やで。ほんまに、困った困った、駒田選手。しまったしまった、島倉千代子ですわ。あ、この言葉、わしが考えたんや、あんたパクったらあかんで」
そう語るのは、大阪市の西成区、通称「あいりん地区」に住む内山真一さん(仮名)。自身も5年前から市の生活保護を受け、この街で暮らしている「受給者」だ。全国的に知られるドヤ街・西成。わずか500メートル四方のこの地域には2010年4月現在、6万9989世帯が居住しているが、その約3分の1にあたる2万4550世帯が生活保護の給付を受けている。近隣には安宿や大衆食堂、安酒場がひしめいており、一部では「受給者の天国」とまでいわれるエリアだ。
「4〜5年前から、ヨソから西成に流れてくる人間がものすごく増えた。ここならすぐ生活保護を認めてくれるゆうて、住民票移してくる。裏でこっそり仕事しているヤツもおる。飛田で女買うのもおる。そいつらをボロ屋に住まわせて、生活保護費をピンハネする業者までおる。おかげで受給日の役所は大行列やで、かなわんわ。困った困った駒田……」
筆者が西成を訪れたのは、この地区の生活保護支給日。区役所には開所前から数百人の受給者が長蛇の列をなし、行列は時間が経つほどに長くのびていった。ゆうに1000人は超えたであろう受給者たちを数十人の職員が丁重に誘導する様は、ほかでは見られない光景だろう。午前9時、10万円ほどのお金が入った封筒が次々と受給者たちに渡されていく。億単位のお金が1時間もせずになくなったのを見て、ちょっと頭が痛くなった。
生活保護関連の公的支出は平成20年度ベースで一世帯あたり235万円である。現金給付に加え、医療費や公共料金、教育費が無料になる。
大阪市の保護費(2863億円)は一般会計の16.9%を占め、人数も年々増加、民主党への政権交代によって受給条件もどんどん緩和されているという。
行列の中で出会った内山さんは、今年で65歳。もともと東大阪市で暮らしていたが、60歳を前に病気を患い、通院が続いて自活できなくなった。頼れる家族もいないため、西成にある救護施設に入所。
「朝5時起きの模範的生活」を1年ほど続けたのち、生活保護の受給資格を認められて、現在は単身で暮らしているという。
「もらっている金額は、生活費が大体8万円。家賃は別で、あわせて月12万円くらいです。料理はできひんから外で食べて、まあ一食500円では済まんなあ。だから1日2000円はかかる。贅沢はできひん。ただ、家にユニットバスはあるけど、銭湯が好きでな。せやからタバコは吸わんで、酒も飲まんで、風呂代と散髪代にまわしてます。やっぱり男は身奇麗にせんとあかんから」
西成の男たちは、なぜか一様に野球帽を被っている。内山さんも「西成スタイル」で外出時は帽子を必ず被るポリシーを貫いているという。
内山さんの住むアパートは、西成区役所から徒歩20分、遊郭街・飛田新地のど真ん中にある。“玄関開ければすぐ遊郭”というすさまじい立地の小さなワンルームで、家賃は月4万7000円。住居扶助費で認められるほぼ上限の金額だという。
「でもあんな部屋、外がボウボウうるさくてかなわん。夜もよく起きるんや。遊郭の客待ちの女と目が合うたびにイヤんなる。あいつら不潔やし不道徳や。こりゃわし不動産屋に騙されたのかもしれんで。3年前は泥棒まで入られた。最近じゃ頭も気持ちも重い。ストレスでもう、わし、あかんです。せやから一回だけやけど、ついつい遊郭でストレスを発散してしまった。皆さんのお金で、ほんまにすんません」
暮らしは質素なりに安定しており、高齢のため就労指導を受けることもない。「西成になじみきれない」という違和感を抱えつつ、内山さんはこの街で生きていく。
■まじめに働くよりも……
「生活保護はその時点での必要性で判断します。だから、財産を遊び尽くして借金を重ね、退職と同時に生活保護の受給を受けることだって簡単です。医療費をはじめ、あらゆるものが無料になりますから、下手にコツコツ生きて年金生活をするより、生活条件がいい場合も多いのです」そう指摘するのは、都内の区役所で福祉を担当するベテラン職員のAさんだ。
「業界では、そういう悪意のある人たちを“福祉ゴロー”と呼んでるんです。生活保護は一回認められると、特別な理由がない限り、支給を切られることはなかなかありません。都心の都営住宅に優先的に安く住めて、医療はタダ、病院に毎日無料タクシーで通うこともできます。それが悪質とまでは言い切れませんが、ワーキングプアで子供の薬代を出せない、病院にいくのも限界まで躊躇するというギリギリの暮らしをしている家庭もあるのに……」
制度の隙をついて、はじめから生活保護に頼って暮らす前提でライフプランを組む人も出現している。
「居住地域や家賃にもよりますが、単身者で月に12万〜13万円くらいの支給額があって、医療費や年金も免除になると考えると、額面で手取りが月収17万円のサラリーマンと同等以上の暮らしができます」
本当にその人に生活保護が必要かどうか、個別に判断するのは難しい点も多い。
「貧困支援のNPOとか、そういう団体の援助があれば受けやすいのは確かですね。ホームレスを囲って生活保護費を集める“貧困ビジネス”も数多く報告されています」
筆者が、区役所の窓口に通りかかったとき、泥酔した男が大声で窓口の担当者に、
「生活保護をよこせ、このままでは生きていけない。お金持ちから金を搾り取ってもっと(生活困窮者に)回せ! 」
と、フロアに響く大声で叫んでいた。そのときはAさんがかけつけ、「酔いが醒めてからもう一度お越しください」と冷静な対応をしていた。
「生活保護以下の水準の生活をしているのに、“税金で食べさせてもらうのは申し訳ない”の意識が歯止めになって、保護を申請していない『潜在的生活保護者』は全国に莫大な人数がいます。この人たちまでに生活保護の給付が始まったら国の財政がもたないでしょうね」
※すべて雑誌掲載当時
呉 琢磨=文・撮影
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