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「生活保護問題」の本当の問題とは?
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2012年06月11日 田原総一朗 公式ブログ
近ごろニュースを見ていて思うのは、視聴者に迎合して、人気取りのような報道ばかりになっているということだ。
人びとの関心を集める手っ取り早い方法は、ネガティブな情報を流すことである。
誰かを叩き、秘密を暴く。
そうすれば番組の視聴率はあがり、スポーツ紙や夕刊紙、雑誌の売上部数も伸びる。
だから、テレビも新聞も雑誌も、問題の本質をとらえないで、表層的なバッシング情報を流し、ネガティブな言葉を繰り返す。
正しいか間違っているかは関係ない。みんなが見てくれるから流す。
しかもバッシング情報の報道は、正義の味方的なスタンスをとれるので、メディアもいっそうその傾向を 強めていく。
だから、小沢一郎さんや東京電力のように、一度、悪者ということになれば、徹底的に叩くようになるのだ。
そして、誰かを悪者にするのは、とても簡単なことでもある。
最近では、お笑い芸人がネットを中心にバッシングを受けている。
彼の母親が、必要がないのに生活保護を受けていたというのである。
そもそも生活保護制度には、いくつか問題があると僕は思う。
まず第一に、不正に生活保護を受けている人を、どう管理するかという問題だ。
次に、生活保護でもらえる金額が、国民年金よりも多いことだ。
だから、生活保護の金額を減らすべきだとの意見も出ている。
以前、当時の厚生労働省の副大臣に、「生活保護を受けている家庭の平均年収はどれくらいか」と聞いたことがある。
答えは、650万円だった。だたし、額面で650万円あるということではない。
実は、生活保護世帯は税金を支払うこともなく、医療費も無料である。
これらを収入に換算すると650万円に相当するというのだ。
一方、国民年金だが、夫婦で給付される金額は年間約160万円である。
現役時代に何十年も支払った挙句にこの金額なのだ。
これでは、生活保護を受けたほうがましだと考える国民が出るのも、仕方がないかもしれない。
僕は、生活保護の切り下げより、国民年金を増やすべきだと思う。
そして不法に受給しているケースをチェックするために、マイナンバー制の導入も必要だと思う。
現在の生活保護制度に矛盾があるのは明らかだ。
制度の内容に問題があり、修正が必要なのことは、誰もが認めている。
いま僕たちに必要なことは、この制度を日本の社会の現実にどのように対応させるかである。
そして、どのようにすればよりよく機能させることができるか、ということではないだろうか。
僕たちは、そのことこそをきちんと議論しなければならない。
生活保護を受けることがいかに悪いか、どれだけ不公平かを論じている場合ではない。
僕たちに必要なのは、物事の本質をとらえることだ。
そして、その議論のための材料を提供するのは、メディアの役割である。
ところが、議論のための材料が絶対的に足りない。
テレビや新聞、雑誌は、誰かを叩き、秘密を暴くという、感情的、表層的な報道ばかりで、本質に触れる報道をしないからだ。
メディアが、その役割を果たしていないのだ。
メディアにリテラシーが必要なのは当然だ。
だが、メディアが自らの役割を果たしていない現在にあって、情報を受ける側の僕たちが、本質を見極める眼をもつことが必要になってきた、と僕は思う。
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