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(2012年4月10日午前9時03分)
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/society/34083.html
おいしい、すてき、かっこいい…。現代の若者はこれらを「ヤバい」の一言で表現する。日常会話に入り込むメールやツイッターの短い表現。「ヤバい」などの“万能語”や略語の氾濫は、用語力や説明力不足につながるとの懸念が強い。言葉足らずは政治の世界にも露呈している。美しさと奥深さを併せ持つ日本語がじわじわ崩壊していないか。(重森昭博)
「『ヤバい』はよく使うよね。どんな会話でもこれを言っておけば、とりあえず大丈夫かなって」。県内の専門学校に通う女子学生(18)は言う。「テレビドラマで使われて一気にはやった」
「ヤバい」は今や、さまざまな感動を示す言葉。こうした“万能語”が普及する条件として別の学生(18)は▽話しやすい▽携帯などメールが素早く打てる―の2点を挙げる。本来の言葉より短いことが必須のようだ。
憂うつな気分を「ヤむ(病む)」と表現。「メールで『っ』を打つが面倒」と、「しまった」「分かった」は「しまた」「わかた」にするという。「ら抜き言葉」に続いて今後は、促音を省略する「小さいつ抜き」言葉が問題視されることになるかもしれない。
■定型文知らぬ
「普段、何でも『ヤバい』だけで会話を成り立たせるからか、先生と話す際に正しい言葉を思い出せない」。県内の大学生(23)は自らの用語力低下を不安視する。ある県立高校の指導部教諭は「生徒の説明能力が年々低下している。単語の羅列が多く、話がかみ合わない」と漏らす。
こうした言葉の“喪失”は社会人になって、より影響が顕在化する。小学校のベテラン教員は児童が学校で負傷した際、若手の教員にこう質問された。「父母にどう話せばいいのですか?」
ベテラン教員は「『このたびはご心配お掛けしました』など、事実説明の前後に発する言葉を体得していない」と指摘。「メールでやりとりする際、意思疎通を図るさまざまな日本語の定型文を、顔文字で代用した結果でしょう」と分析する。
また、児童がまじめな顔で「あけおめ ことよろ」とあいさつするのも耳にした。「『明けましておめでとうございます 今年もよろしくお願いします』の略語として親が使っているのを見て、それが正しいあいさつと思ってしまっている」
■一言で片付け
「言葉が足りないとサルになる」などの著書で、言語力の貧困が社会停滞を招くと訴える専修大の岡田憲治教授は「単語の羅列だけの表現は政治の世界にもある」とする。
「郵政民営化」「政治とカネ」など、近年の政局の材料になったキーワードを挙げ「単語のイメージだけで政局が生まれる『ワンフレーズポリティックス』と呼ばれる政治がはびこっている」と強調。「言葉の背景を説明せず、一言で片付けようとするのは若者に限ったことではない」と断じ、政治家の姿勢が社会に少なからず影響を与えているとみている。
企業のマナー研修を手掛けるNPO法人「ハートライセンス」(東京)には、新入社員の言葉の乱れやコミュニケーション能力の低下を懸念する企業からの研修依頼が増えているという。
同NPOの道端やす代代表は「言葉の乱れた若者は、そうでない人に比べ社会人になって大きな苦労を背負う。本当に子どもがかわいいのなら、言葉の乱れは厳しくしかって正すべきだ」と指摘している。
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愚民化と、「携帯」という危険物がしっかり普及させられてきた"成果"でしょう。
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